日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

艱難辛苦

2014-08-04 20:50:59 | 旅日記
どさくさに紛れたことが二つあると昨日申しました。一つは前歯を折ったことでしたが、もう一つも歯に関わることです。
こちらは折れた、抜いたということではなく、奥歯の矯正治療を始めたというもので、前歯を折る前から決めていたことではありました。自分の場合、歯列が全体的に乱れているわけではなく、一番奥の歯が上顎では外側に、下顎では内側に傾いており、現時点でも歯磨きがしづらいという状況になっていたのです。いずれは加齢とともに傾きが増して、ついには抜けてしまうという話も聞いていたため、その前に先手を打ったというのが真相でした。しかし、その決心は早くも揺らぎつつあります。というのも、日常生活に支障する程度が、想像をはるかに超えていたからです。

最大の問題点は、飲み食いできるものが著しく制約されることです。矯正といえば、思いつくのは歯の外側に取り付ける装置ですが、自分の場合、当面は奥歯の部分矯正なので、内側の上下に弓状の装置を取り付けています。ところが、この装置を取り付けたことによって、上下の歯が一点でしか噛み合わず、噛み切る、すりつぶすという基本動作ができなくなってしまいました。たしかに、元々の状態から奥歯の噛み合わせを変える上では、上顎の歯に外側から、下顎の歯に内側から力を加えなければならず、その過程で上の歯の内側と下の歯の外側が接する状態が必然的に出てきます。そうなると、高さの関係上その一点しか噛み合わないのは当然というものです。このように、よくよく考えれば当たり前の話ながら、そこまで想像を巡らせるという芸当が自分にはできませんでしたorz
もう一つの問題点は、上下の歯の内側を半周するように矯正装置のワイヤーが通っているため、舌の動きが制約されることです。上記の事情によってものが噛めないばかりか、舌が動かないため流動食を摂取するにも飲み込みがうまくできず、気兼ねなくとれるのは百ある食品のうち一つもありません。

以上の結果、何をとってもおいしくない上に、矯正装置に繊維質のものが絡まったり大量の食べかすが挟まったりして、不快きわまりないというのが現状です。これでは飲み食いする楽しみなど望むべくもありません。外食する気が起こらないのはもちろんのこと、そもそも食欲が湧かず、昼はジュース一本など最低限以下のものにとどめ、事実上朝晩二食でやり過ごしています。
その結果体重は落ち、外食をしないため金も使わず、預金を引き出す頻度が格段に少なくなりました。しかし、少なくとも自分の生き甲斐は減量でもなければ貯金でもありません。体重が落ちようが金が貯まろうが、ありがたくも何ともないというのが率直なところです。

こうなると、何のための矯正かという根本的な疑問が湧いてきます。矯正する目的は人それぞれとはいえ、自分の場合には、少しでも長く自分の歯で飲み食いしたいという考えがあってのことでした。つまり、今を犠牲にして将来をよくしようと、柄にもなく長い目で見た上での判断だったわけです。しかし、この有様では今を犠牲にすることによる損失が無視し得なくなってきます。還暦を過ぎれば下り坂が急に角度を増すという事実を考えると、味覚も嗅覚も万全な状態でいられるのは実質あと20年です。限られた人生の残り時間を、矯正治療により一年単位で失うことによる損失が、計り知れないほど大きいものに思えてきたとでも申しましょうか。治療にはいくつかの段階があるものの、少なくとも今の段階に関しては、どんなに長くとも年内限りで終わりにしたいというのが切なる希望です。晩年生涯を振り返ったとき、この矯正治療は「二度とやりたくないこと」の五指には間違いなく入るでしょう。

このような状況だけに、今後の活動にも影響が出ることは避けられません。酒場めぐりを主題の一つにした活動は当分封印、あるいはおまけ程度と割り切らざるを得ないでしょう。従来の活動の延長線上では、楽しみは相当程度減殺されるだけに、不自由な中でどう組立てるかが思案のしどころです。
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