日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2014(46)

2014-07-31 23:21:45 | 野球
開幕から40日目を迎えた昨日は5大会で、41日目の本日はトリを飾る愛知で決勝が戦われ、全49代表の決定とともに地方大会が終わりました。それと同時に、全国各地の戦いぶりを追いかけてきたこの話題も否応なしに終幕となります。最後の最後は視点を変えて今大会を振り返ると昨日申しました。題して「大会講評・私の場合」です。
「講評」といえば、全国大会の閉会式で高野連のお偉方から賜るものです。しかし、対象を地方大会にまで広げた講評はなかなかありません。甚だ僭越ではありますが、このblog独自の視点から地方大会を総括するのも一興かと思い立った次第です。早速地域別に振り返ってみたいと思います。

★北海道
北北海道の遠軽が8強止まりに終わる中、今季最も楽しませてくれたのは南北海道の浦河でした。予選突破でさえ60年ぶり2度目という郡部の小さな町のチームが、あれよあれよという間に勝ち上がり、準決勝でも白熱の打撃戦を繰り広げて、あわや逆転勝ちというところまで攻め込んだのは見事というほかありません。その浦河を下した伝統校の小樽潮陵が、決勝で惜敗したのは残念でした。

★東北
私立の強化校の天下となり、ともすれば興ざめしがちな東北地方にあって、青森大会の見所を再発見した大会でした。津軽、下北、三八上北の各地域にほどよく町が散らばり、それに合わせて球場も県内各所に分散し、しかも地形の関係上直線移動がしづらいため、遠く離れたチーム同士の対戦が毎日のように出現するのは、青森大会ならではの愉しみと気付きました。くじ運によっては初戦からいきなり三連戦という、都会の激戦区にさえ存在しない過密日程も独特。決勝でも県立の伝統校青森が八戸学院光星を相手に健闘するなど、最後まで楽しませてくれたことに感謝しています。
青森に比べると他県の印象はやや希薄ながら、宮城の双璧が4強にすら残れずに敗退したこと、白河と喜多方のラーメン対決などは印象的でした。

★関東
前橋育英が二戦目で敗退し、選手権無敗の記録を保持したのが個人的には最大の出来事でした。霞ヶ浦が過去五年中四度目の決勝敗退を喫するという悲劇的な結末も印象に残ります。今季は二松学舎大付が11度目の挑戦で初の全国大会出場を決めましたが、霞ヶ浦が決勝戦の壁を乗り越える日は来るのでしょうか。

★甲信越
またしても屈折した視点ではありますが、松商学園の出場辞退は特筆すべき出来事でした。これによって六年間全国大会から遠ざかり、同校にとっては戦中戦後の混乱期を除き最も長い空白期間となったからです。その長野大会で4強進出と大健闘したのが上伊那農です。無名校の快進撃という話題性もさることながら、校庭の桜並木が印象的な、個人的に思い入れのある同校が健闘したことに価値があります。
新潟大会では、「ご近所同士の練習試合」と酷評してきた組み合わせが大幅に改善され、シード校を中心にした他県並みの組み合わせとなったのが特筆されます。これにより初戦早々出現した新井対村松の一戦が、延長15回の引き分け再試合となったのは、同大会で今季一の名勝負と個人的に思っています。その一方で残念な話題もありました。佐渡の相川が今季限りで大会から撤退することです。少子高齢化の波はとどまるところを知らず、離島の無名校は年々数を減らしています。同校の撤退により、新潟大会の数少ない見所の一つが失われてしまいました。

★東海
古豪静岡が全国大会出場を決めたのもさることながら、静岡大会で特筆すべきは「オイスカ」なる風変わりな校名が登場したことです。愛知では、大毎山内を生んだ起工と、南海杉浦の母校挙母改め豊田西の直接対決が実現し、取っては取られの打撃戦という試合内容を含めて見応え十分でした。
三重大会では、全国屈指の弱小校として取り上げたあけぼの学園が、初戦敗退とはいえ一桁失点で7回まで戦い抜いたのが印象的でした。同校を破った稲生がその後4強に進出したことを考えると、相手によってはさらに健闘できたのではと仮想させられます。
残念な話題としては、天竜林業が統廃合によって今季から姿を消し、鳥羽商船も部員不足のためか不出場に終わったことが挙げられます。離島勢だけではなく、風変わりな職業高校も少しずつ退潮傾向にあるようです。

★北陸
月並みな話題ではありますが、9回裏に0対8からの大逆転となった石川大会決勝戦の印象があまりに強すぎ、それ以外の話題が思いつきません。仮に全国大会だったとすれば、末永く語り継がれる伝説となったであろうこの試合ですが、何分地方大会の決勝だけに、3年後でも覚えている人々がどれだけいるかについては未知数です。しかし、少なくとも高校野球好きにとっては後年まで記憶に残る出来事となるでしょう。

★近畿
白眉だったのは、予選皆勤記録を保持する山城の4強進出、智辯和歌山を下して全国大会出場を果たした市和歌山の殊勲、初戦でいきなり実現した兵庫と神戸による皆勤校同士の対戦といったところでしょうか。しかし、それ以外の話題がなかったわけではありません。錚々たる古豪が揃い踏みする大阪と兵庫、古式ゆかしい地名に彩られた京都と奈良など、今年も期待通りに楽しませてくれた近畿地方の各大会でした。

★中国
藩校を発祥とする岩国が全国大会に進出し、同じく旧藩校の福山誠之館も8強に進出。予選皆勤記録を保持する大社の決勝進出など、伝統校と古豪の活躍が光った今季でした。

★四国
今季の四国地方といえば、何といっても愛媛大会で実現した松山東対小松という旧藩校同士の決勝戦でしょう。高知大会の初戦で出現した室戸対清水という極地同士の対戦も秀逸でした。個人的には、MOSの店名になったこと「だけ」で注目していた高松桜井が、4強進出という思わぬ快進撃を果たしたのが印象に残っています。

★九州・沖縄
他の地域と違い、今季ならではというべき名勝負や珍事は特段なかったものの、鹿児島の離島勢は今年も楽しませてくれました。その一方で沖縄の離島勢が開幕早々全滅し、見所がほとんど失われてしまったのは残念でした。

以上をもって、一月半にわたった高校野球の話題は完結となります。一日平均でざっと三千字、多いときには五千字を超すという長文を、我ながらよく書き連ねたものだというのが、完結を迎えるにあたっての実感です。
自分自身でも読み返すのを面倒に感じるほどなのですから、読者の方にとってはなおさらでしょう。実際のところ訪問者数は目に見えて減り、最盛期の二割から三割程度で推移しました。とはいえ、興味のない人には見向きもされない反面、受ける人には受けるというのがこの話題の特徴でもあります。もとより万人受けを狙ったblogではなく、自身の日常を記録するのがそもそもの目的です。あまりに話題が膨らみすぎてblogにまとめきれないという状況が、過去三季にわたって続いただけに、心行くまで書き尽くしたという点では満足しています。
最後はもちろん、長きにわたって楽しませてくれた球児たちへの感謝で締めくくります。また来年…
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この季節の楽しみ 2014(45)

2014-07-30 22:38:26 | 野球
高校野球の地方大会はいよいよ大詰め、本日は過去四日間の試合結果を振り返ります。

・第36日(7/26)
27大会65試合の開催となり、7大会で代表が決まりました。中でも秀逸だったのは、市和歌山が智辯和歌山を下して予定調和を覆したことです。1対1で延長戦に入り、11回表に勝ち越されて万事休すかと思いきや、その裏に1点取り返して同点に追いつき、12回にサヨナラ勝ちという劇的な幕切れでした。予選皆勤記録を保持する島根の大社は惜しくも敗退したものの、これで痛み分けといったところでしょうか。
初戦と二戦目で冷汗をかいた静岡は、三戦目を大勝して8強に進出。大阪でも関大北陽、明星、上宮、大体大浪商、PL学園といった錚々たる強豪が揃って8強進出を果たしました。藩校を発祥とする山口の岩国は、春夏連続の甲子園出場に王手をかけ、同じく藩校を発祥とする小松は4強に進出しています。
その一方で、奇跡の快進撃を続けてきた上伊那農と高松桜井は準決勝でついに散りました。特に惜しかったのは、1点差でサヨナラ負けを喫した上伊那農です。しかし、高校野球界では全く無名の、しかし個人的には思い入れのある両校が、ここまで健闘したことについてはあらん限りの賛辞を送りたいと思います。両校のほか、この日は関西学院、興譲館、米子東といったところも同じく4強で姿を消し、愛知の伝統校明和も惜敗しました。
それにしても呆れたのは、この期に及んでまたしても不戦勝不戦敗が出たことです。これで今季六度目、うち五度までが不祥事を理由とした出場辞退です。単なる暴力沙汰ならまだしも、前回の浜田水産は恐喝、喫煙、窃盗などという破廉恥さで、今回の菊川南陵も、学校側が喫煙と暴力行為を把握しながらいずれも隠蔽していたという事案でした。不祥事もここまで来ると救いようがありません。

・第37日(7/27)
20大会34試合が戦われ、うち11試合が決勝戦と、地方大会最終盤を実感する一日でした。静岡は再び危なげなく勝って4強に進出。大阪ではPL学園対大体大浪商、関大北陽対明星という黄金カードが出現し、PLと関大北陽が4強に駒を進めています。
一方、このblog一押しの畝傍は準決勝で天理の前にあえなく散りました。同じく準決勝が戦われた徳島大会では池田が散り、同大会唯一の私立校生光学園も敗退。これにより、公立校無敗の記録は今年も守られました。

・第38日(7/28)
12大会18試合が戦われ、そのうち6試合が決勝戦でした。この日は終盤戦としては近年稀に見る話題が出現しました。愛媛で松山東と小松が揃って勝ち、藩校を発祥とする両校が決勝で相見えることになったのです。同じく藩校を発祥とする愛知の成章は16強で敗退したものの、岩国がこの日一足先に甲子園出場を決めたため、今季は藩校を発祥とする伝統校2校が甲子園の土を踏むことになります。また、南海杉浦の出身校、挙母改め豊田西は、逆転サヨナラで8強進出を決めました。

・第39日(7/29)
9大会15試合で、うち5試合が決勝戦。愛媛大会では、旧藩校同士の対決を小松が制し、見事初出場を決めました。そしてもう一つ取り上げなければならないのが東東京の二松学舎大付です。過去10度にわたり決勝戦で涙を呑んだこのチームが帝京との延長戦を制し、ついに全国大会初出場を果たしたのです。それにもかかわらず、小松の初出場に比べても特段の感慨が湧かないのは、地域性の希薄な都会のチームだからでしょう。とはいえ、同校のある九段といえば自宅の隣町であり、女子校を除けば最寄りの高校でもあります。全国大会では同校に義理立てする必要がありそうです。

この日を終えた時点で、開催中の大会は神奈川、静岡、愛知、大阪、長崎の5大会しかなく、愛知以外の各府県では本日決勝が戦われました。あとは愛知の決勝を明日に残すだけです。例によって往生際の悪さを発揮し、この際あと一日だけ続けて終わりにします。ただし、勝ち残っているチームの顔ぶれからして、今更試合結果を振り返ろうにも大した話題はありません。最後の最後は視点を変えて今大会を振り返る予定です。

★東東京大会決勝(7/29)
 二松学舎大付5-4帝京(延長10回)
★長野大会準決勝(7/26)
 上伊那農1-2x佐久長聖
★静岡大会
・4回戦(7/26)
 富士東0-10x静岡
 東海大翔洋不戦勝-不戦敗菊川南陵
・準々決勝(7/27)
 掛川東0-3静岡
★愛知大会
・4回戦(7/26)
 明和3-4刈谷工
・5回戦(7/28)
 新城東7-8x豊田西
 春日丘2-0成章
★大阪大会
・5回戦(7/26)
 明星4-3岸和田産(延長10回)
 初芝立命館5-12x上宮
 関大北陽8-6大阪学芸
 上宮太子4-7大体大浪商
 日新0-7xPL学園
・準々決勝(7/27)
 上宮1-5大阪桐蔭
 大体大浪商1-9PL学園
 関大北陽4-1明星
★兵庫大会準決勝(7/26)
 三田松聖7-4関西学院(延長10回)
★奈良大会準決勝(7/27)
 畝傍0-4天理
★和歌山大会決勝(7/26)
 智辯和歌山2-3x市和歌山
★岡山大会準決勝(7/26)
 興譲館1-5関西
★山口大会
・準決勝(7/26)
 岩国2-1宇部鴻城
・決勝(7/28)
 熊毛南1-2岩国
★鳥取大会準決勝(7/26)
 米子東4-16鳥取城北
★島根大会決勝(7/26)
 大社4-9開星
★徳島大会準決勝(7/27)
 池田5-12x鳴門
 鳴門渦潮5-3生光学園
★香川大会準決勝(7/26)
 坂出商7-4高松桜井
★愛媛大会
・準々決勝(7/26)
 新居浜商4-8小松
・準決勝(7/28)
 東温2-3x松山東
 小松9-2西条
・決勝(7/29)
 松山東1-10小松
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この季節の楽しみ 2014(44)

2014-07-29 23:36:55 | 野球
先月下旬に北海道を出発してからというもの、いつ果てるとも分からずに続いてきた高校野球の県別ネタですが、ついに列島の最南端・最西端にたどり着きました。トリを飾るのは鹿児島、沖縄の両県です。

鹿児島
宮城と奈良ほど極端ではないものの、歴代出場校の顔ぶれに関する限り、鹿児島大会には興ざめさせられます。鹿児島県勢が全国大会に出場した63回のうち、八割近い48回を樟南、鹿児島実、鹿児島商の3校が占めているからです。今季大隅半島から初の代表校が出たことで話題となった通り、県都以外の地域からほとんど代表校が出ていないのも鹿児島大会の特徴です。今季の代表校である鹿屋中央を含めても、歴代代表校11校の中で、鹿児島市以外のチームは他に神村学園、出水商、れいめいの3校しかありません。それだけに、終盤になればなるほど、県都の強豪校が勝ち上がるという紋切り型の展開が見えてしまい、否応なしに興ざめするのです。

しかし、それを補って余りある見所が鹿児島大会にはあります。今季も散々取り上げてきた離島勢の戦いです。七つの島から12校が出場するという数の多さもさることながら、何より特筆すべきは分布の広さです。最も遠い与論島は、試合がある鹿児島市から直線距離でも550kmあり、フェリーで一昼夜を要します。北海道でさえ、北方領土を除けば直径500kmの円内に収まることを考えると、最北端から最南端までが600kmにも及ぶ鹿児島大会の壮大さは際立っています。
同じく離島勢が多い長崎と沖縄では、離島のチームの試合を開幕直後の週末に集中させることによって、開会式と初戦を一度の移動で済ませるという配慮があるのに対し、鹿児島大会にそのような気の利いた制度はありません。離島のチームが多すぎて、試合を集中させようにも限度があるからです。その結果、開幕から連日のように二校から三校の離島勢が少しずつ登場します。今季についていえば、開幕初日から全てのチームが敗退するまでの12開催日中、離島勢が1校も登場しなかったのは一日だけでした。初日早々離島勢が全滅してしまった今季の沖縄とは対照的に、細く長く楽しめるのが秀逸なのです。
しかも、それらの戦いが繰り広げられる七月の上旬から中旬といえば、梅雨の末期で雨天中止が続出する時期です。その結果、海路はるばるやっては来たものの、雨に降られて何日も足止めを喰らうという展開が、毎年のように繰り返されます。南の島の球児たちがどんな思いで試合を待っているのか、想像するだけでも楽しめるのが鹿児島大会のよいところです。

上記の通り県都に一極集中し、離島勢が唯一の見所といっても過言ではない鹿児島大会ですが、お約束の伝統校として甲南、鶴丸の二校だけ取り上げておきましょう。県都のチームのほとんどが「鹿児島」の名を冠する中、あえて二文字の固有名詞で言い切る潔さに一家言が感じられ、福岡の修猷館、熊本の済々黌などと同様印象に残る校名です。

沖縄
全国大会への初出場こそ全都道府県中最後となったものの、沖縄県勢といえば今や押しも押されぬ強豪の一つです。出遅れが響いて勝利数こそ歴代19位の64勝ながら、.587の勝率は歴代10位。それより上位は大阪、愛媛、神奈川、和歌山、高知など名だたる強豪ばかりで、京都、東京をも上回っています。その結果必然的に注目される沖縄県勢ですが、少なくとも自身の趣味的見地からは、多くの点において他の大会に一歩譲るのが実態です。

沖縄大会の特徴といえば、まずは本土では考えられない独特の地名ですが、字面と響きの美しさでは北北海道の無名校に軍配が上がり、沖縄の地名には風流というより風変わりという表現が合っています。離島勢に関していえば、数においても分布の広さにおいても鹿児島大会が上手です。しかも、宮古島と石垣島については今や空路で一またぎする以外の手段がなく、フェリーで一昼夜かけて試合に赴くといった壮大さがありません。
そのような中で、いかにも沖縄らしさを感じさせてくれる点が一つあります。土日と休日だけを使い、初戦から決勝までを一月かけて戦うことです。序盤からの連戦も珍しくない激戦区がいくつかある中、平日には一切試合をしないというおおらかさに沖縄人の気質が感じられます。

沖縄最古の伝統校といえば首里です。伝統校といえば旧制中学か旧藩校というのが相場のところ、同校は18世紀末に琉球国王により設立されたという来歴を持ち、このことからして沖縄の文化の独特さを改めて実感させられます。沖縄県勢として最初に甲子園の土を踏んだのもここでした。本島中部のコザは選抜大会に出場した実績を持ち、片仮名のみの出場校名として空前絶後の存在となっていることについては、以前に述べた通りです。

以上をもって、全49大会の見所をさらってきた「全国大会展望・私の場合」は完結となります。過去このblogで高校野球について語るというと、実際の試合結果を振り返るのがほとんどで、地域別にまとめ直すのは初めての試みでした。開幕前の数日を使い、簡単に触れて終わりにするつもりが、当初の構想をはるかに超えて話題が膨らみ、一日二県が限度となって、終わってみれば一月半にも及ぶ「長期連載」となりました。どれだけ地味に思える県でも、一つや二つは見所があるものだというのが、終わった上での実感です。
散々時間を注ぎ込んだこともあり、自分の中で定型化された見所については、これであらかた書き尽くしたつもりです。しかし、追えば追うほど新しい発見があるのが地方大会でもあります。来季はそれらの話題を中心にして、全国をもう一周するのも一興かと考えています。

三日間離れる間に、地方大会は最終盤に突入しました。明日はそれらの結果を振り返って締めくくることにします。
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この季節の楽しみ 2014(43)

2014-07-28 21:59:13 | 野球
北海道から南下してきた高校野球の県別ネタも、これを含めて残り二回のところまで到達しました。本日は東九州の二県を取り上げます。

大分
東九州は自身にとってとりわけなじみの薄い土地です。ただでさえ遠い上に新幹線、高速道路といった高速移動の手段がなく、はるばる足を運ぶに値するほどの見所も、他の地域に比べて特に多いわけではないからです。それはさておき、東九州の影の薄さは高校野球についてもそのまま当てはまります。草創期から公立校が入れ替わり立ち替わり出場した後、昭和末期から私立勢が台頭し、今では完全に立場が逆転したという歴史が、地方部の典型で特徴がないのです。
しかし、宮崎と違うのは、大分には天下に誇るべき古豪が控えているということです。春6回、夏12回の甲子園出場を誇る津久見がそれで、選抜と選手権を両方制覇した九州唯一のチームでもあります。輝かしい戦績も今は昔で、昭和最後の年に春夏連続出場を果たして以来平成の出場はなく、近年では5年前の県4強が目立つ程度。かつては全国大会の常連、今では田舎町にあるごく普通の県立校という点では、岩手の福岡、群馬の桐生、山口の柳井などと並ぶ代表格といってよいかもしれません。しかし、紫紺と深紅の大優勝旗を両方勝ち取った実績はこれらの中でも随一であり、今なおプロを切れ目なく輩出しているのもさすがです。
かくも輝かしい伝統を誇る同校ですが、統廃合によって二年前に新設されたという体裁をとり、形式上一旦消滅していることについては先日申した通りです。甲子園優勝校が統廃合で姿を消した例としては、初代覇者の京都二中改め鳥羽、いずれも選抜無敗の飯田長姫改め飯田OIDE長姫、徳島海南改め海部といったところがあり、同校の記録も当然ながら新設校に引き継がれていました。これに対して記録が引き継がれなかったのは、制度変更により高等教育機関となって消滅した師範学校で、代表的なところとしては長野県勢初の全国大会出場を果たした長野師範があります。

伝統校で注目するのは、県内最古の旧制中学を発祥とする大分上野丘です。創立こそ明治18年と特段早くはないものの、一度とはいえ全国大会の出場経験を有し、五年前には選抜にも初出場、昨年は甲子園まであと一歩に迫るという健闘ぶりは、県都の進学校としては徳島の城南などと並び注目に値するものです。今季も県4強入りを果たしており、来期以降の戦いが注目されます。
この校名からも分かるように、大分は岡山、広島、徳島などと同様に、同じ町の高校を固有名詞で区別するのを基本とします。大分ならば大分上野丘を筆頭に大分鶴崎、大分舞鶴、大分雄城台、大分豊府と続き、別府であれば別府鶴見丘、別府青山、別府羽室台、佐伯では佐伯鶴城、佐伯豊南に佐伯鶴岡といった具合で、「鶴」がやたらに多いのも特徴です。しかるに中津は中津東、中津南、中津北と方角で区別され、大分にも大分東、大分西が例外として存在します。

最後に紹介するのは日田林工です。林業が盛んな土地柄をそのまま表す校名と、林業と工業を組み合わせた物珍しさ、時折甲子園にも出場する戦績、さらには我が国プロ野球史上屈指の珍名「源五郎丸」の出身校という話題性もあり、自身九州の中でもとりわけ注目している職業高校の一つです。

宮崎
今季全国各地で戦われた四千近い試合結果の中で、このblogで紹介したのはごく一部に過ぎません。その中でもとりわけ少なかったのが宮崎大会ではないでしょうか。これも偏に宮崎大会の影が薄いという理由によります。戦前の全国大会出場が一度もなく、決勝に進出したのも去年が初めてです。22校ある歴代出場校の中で、最多の都城でも出場は8回、半数の11校は1回限りの出場にとどまるという状況だけに、熊本工、津久見のようにすぐさま思い浮かぶ強豪もありません。藩校の流れを汲む高鍋、県内最古の旧制中学を発祥とする宮崎大宮を除けばめぼしい伝統校もなく、趣味的見地からは話題に乏しいのです。

しかし、地味に思える宮崎県勢も、改めて調べると思いの外健闘していることに気付きました。まず、昭和20年代以前の全国大会出場こそ1回だけとはいえ、30年代は7回、40年代は8回も出場しているのです。その間大半の期間で沖縄と代表権を争っていたという事情はあるとしても、一県一代表でなかった時代に6度しか出場していない滋賀の例などを考えると、意外なほどの健闘ぶりです。
初戦敗退が少ないのも宮崎県勢の特徴で、昭和末期には七年連続で初戦を突破しており、今世紀に入っても過半の七回で初戦を突破し、通算では14勝13敗と勝ち越しています。全国制覇1回を含む19勝の沖縄には及ばないものの、同じく全国制覇を経験している佐賀でさえ、今世紀の勝利数は13にとどまります。今世紀の勝利数では宮崎が九州一なのです。記録より記憶に残るのが佐賀だと申しましたが、宮崎の高校野球はその対極といえそうです。
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この季節の楽しみ 2014(42)

2014-07-27 22:30:59 | 野球
一月半続けてきた高校野球ネタにもいよいよ仕舞いの時が近付いてきました。完全に時機を逸した感はありますが、長らく中断していた県別ネタの残りを片付けて終わりにします。本日取り上げるのは、有明海と島原湾をはさんで対峙する両県です。

長崎
西日本の弱小県というと滋賀、鳥取、島根、佐賀などが相場であり、これらは県の存在自体が希薄という点でも共通しています。これに対して、華々しい印象とは裏腹に、高校野球に関する限り全く振るわないのが長崎です。昨季まで選手権に58回出場して36勝59敗勝率.379という戦績は、勝数では歴代38位、勝率では36位となっており、ともに九州・沖縄勢では最下位。4強が最高で決勝戦に進んだ経験がないのも、47都道府県の中では岩手、山梨、福井、鳥取、島根を含む6県だけであり、それ以下は8強が最高の山形と富山しかありません。
長崎の特徴として、九州の中ではいち早く私立が台頭してきた点が挙げられます。昭和30年代の海星が嚆矢となり、平成初頭からは佐世保実と長崎日大の二強がこれに取って代わったというのがおおよその流れです。昭和30年代から私立が優勢になった地方といえば、都市部を除くと宮城だけです。しかし、その私立勢もめざましい戦績を挙げたわけではなく、長崎に春夏通じて初めての優勝旗を持ち帰ったのは県立の清峰でした。このような歴史があるだけに、高校野球界で一時代を築いた古豪がなく、かような観点からは今一つ見所に欠けるのが長崎大会なのです。

そのような中で、長崎大会最大の見所を挙げるとすれば、何といっても離島勢でしょう。これまで北海道、東京、新潟、島根、香川、愛媛といった地域の離島勢を紹介してきましたが、出場校の数と分布の広さにかけては長崎、鹿児島、沖縄の各県が格段に上です。長崎の場合は壱岐、対馬、五島の三地域から壱岐、壱岐商、北松西、上五島、五島、五島海陽、対馬、上対馬の各校が出場しており、橋で地続きの平戸島を含めれば10校となります。他県と違って上位に進出するようなチームはなく、一夏に一勝できれば御の字といった程度の戦績ではあるものの、これだけ数が揃えば俄然見応えが出てくるというものでしょう。移動の負担を考慮して、離島勢の試合を週末に集中させるのも長崎の特徴であり、その日全試合に離島勢が居並ぶのは長崎大会の風物詩です。離島同士の直接対決が毎年のように見られるのも、長崎と鹿児島だけの特徴といえます。

お約束の伝統校として筆頭に上がるのが大村です。寛文年間創立の藩校を発祥とする344年の歴史はもちろん九州最古であり、全国的に見ても岡山朝日、和気閑谷などと並ぶ最古の部類に属します。それに次ぐ歴史を有するのは、意外にも平戸島にある猶興館で、こちらの起源は旧平戸藩主が明治13年に創立した私塾です。県都の双璧長崎東と長崎西も、安政年間創立の「長崎英語伝習所」を発祥としますが、戦後の学制改革で旧制中学2校、高等女学校2校の計4校が統合されて、現在の2校に分割されるという歴史により、伝統が損なわれてしまったのは惜しまれます。県下第二の都市佐世保でも、同様に統合と分割が組み合わされており、これによって発足したのが現在の佐世保北と佐世保南です。県別ネタを中断している間に、前者で猟奇的な事件が起きたのは、何とも皮肉な巡り合わせでした。

熊本
ごく一部の都市部を除けば、高校野球の草創期から君臨してきたのは旧制中学か商業学校のどちらかというのが相場であり、工業学校が優勢だった福岡の歴史は特異だと前回申しました。その福岡と並ぶ数少ない例外が熊本です。
甲子園一番乗りこそ熊本商に譲ったものの、熊本県勢として昭和最初の出場校となった年にいきなり4強入りを果たし、戦前だけで2度の準優勝を果たした熊本工は、その後も一貫して県内の高校野球界を牽引し続け、九州勢として最多となる春夏各20回の甲子園出場を積み重ねてきました。選手権に20回以上出場した15校のうち、商業系が7校あるのに対して工業系は1校しかなく、それどころか歴代50傑に広げても同校だけです。3度進出した決勝でいずれも涙を呑み、勝率と優勝回数こそ甲子園無敗伝説を持つ三池工に譲るものの、熊本工が高校野球史上最強の工業学校であることは疑いの余地がありません。岡山と並び、決して弱くはないのに影が薄い熊本県勢ですが、少なくとも熊本工の功績だけは九州でも屈指です。

同校に次ぐ7回の出場を誇るのが済々黌です。藩校の流れを汲む歴史はもちろんのこと、一度聞いたら忘れられない、しかし何度聞いても漢字で書けない独特の校名がまことに秀逸。伝統校が数ある中で、校名からして格式高いところといえば米沢興譲館に修猷館、高校野球の戦績ならば秋田、静岡、桐蔭、鳥取西といったところが代表格ですが、校名と戦績で総合点というものをつけるとすれば、ここが盛岡一と並ぶ双璧ではないでしょうか。

熊本でもう一校注目するのは熊本高専熊本です。間の抜けたチーム名は近年行われた高専の再編により生じたもので、現在熊本高専八代を名乗る八代高専と統合されるまでは、仙台、詫間、熊本と全国に3校しかない電波高専の一つでした。4校がそれぞれ異なる歴史を有する商船高専に対し、旧電波高専はいずれも戦時中に設立された逓信省所管の「無線電信講習所」を発祥とし、文部省への移管、高専への改組、他校との統廃合の全てにおいて運命を共にしました。高校野球界において全く無名という点でも共通しており、同校も今季は初戦敗退に終わっています。
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この季節の楽しみ 2014(41)

2014-07-26 21:33:54 | 野球
連休初日を頂点にして、徐々に試合数を減らしてきた今季の地方大会ですが、昨日は21大会54試合と一挙に半分以下になりました。序盤に戻ったような淋しさで、さすがに話題も減ってきた感があります。一日ごとに試合結果を振り返るのも、どうやら今日が最後となりそうです。

・伝統校
藩校を発祥とする成章が2戦目にも快勝。松山東も快勝で4強進出を果たし、今治西を下した実力が伊達でなかったことを示しました。彦根東は全国大会出場11回の近江に屈しています。

・出身校
杉浦の母校豊田西が2戦目を突破。乱打戦となった初戦に対し、この日は危なげない勝利でした。

・古豪
予選皆勤記録を保持する山城と大社が揃って準決勝を戦い、山城は敗れたものの大社が決勝進出を果たしました。昨日の今日で戦われた決勝戦の結果はもう出ていますが、顛末は最後の最後で振り返ることにします。福井では敦賀が散りました。

・職業校
近大高専が8強で散り、高専の夏がついに終わりました。

・その他
茨城と熊本で代表が決定。霞ヶ浦はまたしても決勝で敗れ、これで過去5年中4度目という悪夢のような結果となりました。初回にいきなり5点、3回にも追加点を奪われて序盤で7点差がつき、この時点で大勢が決するという試合内容は、何かに取り憑かれたかのようにも思えてきます。いつの日かこの呪縛を打ち破る日が来るのでしょうか。

★茨城大会決勝
 藤代12-3霞ヶ浦
★愛知大会4回戦
 名古屋南0-10x豊田西
 東浦3-10成章
★三重大会準々決勝
 稲生5-2近大高専
★福井大会2回戦
 敦賀0-10x武生商
★滋賀大会準々決勝
 彦根東1-11x近江
★京都大会準決勝
 山城0-10x京都すばる
★島根大会準決勝
 安来4-5x大社
★愛媛大会準々決勝
 松山東10-2南宇和
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この季節の楽しみ 2014(40)

2014-07-25 21:42:27 | 野球
高校野球ネタも未踏の40回目に突入です。昨日は33大会116試合が戦われ、北北海道、青森、岩手、山形、大分、鹿児島で一気に6代表が決定しました。一方、愛媛では今治西に続いて済美が散り、終盤の戦いが混沌としつつあります。例年三連休を過ぎると一気に淋しくなるのが地方大会の常ですが、今季はもうしばらく各地の戦いを追いかけます。

・伝統校
決勝に進んでいた青森が残念ながら敗退しました。しかし、結果こそ第一シードの順当勝ちに終わったものの、試合内容は互角でした。序盤に3点を先制し、追いつかれた直後にも再び勝ち越すなど、中盤までは完全に五分の戦いだったのです。7回にとどめともいえる4点を失いながら、最後の攻撃で2点取り返した粘りも見事でした。前日の小樽潮陵と同様、善戦すればするほどあと一歩及ばなかった切なさも募るのですがorz
離島勢が全て姿を消し、高専なども風前の灯火となる中、藩校を発祥とする伝統校はまだまだ健在です。この日は彦根東が8強、岩国が4強、小松が8強にそれぞれ進出しています。準々決勝に臨んだ福山誠之館は、古豪広島商を相手に惜敗しました。

・出身校
中村紀洋の母校渋谷が散りました。しかし、出れば負けという状況が続いていた同校が、全国制覇の経験を持つ明星を相手に9回まで戦い抜いたのですから上出来でしょう。近年では一夏に3勝した三年前に次ぐ健闘ぶりでした。

・よい地名
奈良の畝傍が4強に進出しました。過去5年で決勝に1回、準決勝に1回進出している同校にとっては、この結果もある意味順当ではあります。しかし問題なのはこの先です。次戦には天理が待ち構えており、それに勝っても決勝には智辯が勝ち上がってくると予想されます。筋書き通りの結末を予想して興ざめする、奈良大会のありがちな展開になってきましたorz
なお、愛知では杜若が、高知では梼原がそれぞれ散っています。

・古豪
この日最大の注目だった法政二と東海大相模の直接対決は、東海大相模の圧勝に終わりました。初戦で引き分け再試合にもつれ込み肝を冷やした静岡は、この日も打撃戦を制して勝ち上がりました。あわやという場面を見せながらも最後は勝つという老獪さは、古豪の面目躍如といったところでしょうか。米子東と池田は2戦目にも勝ち、これで4強進出となります。選抜無敗の韮山は3戦目で散りました。
大阪大会では前出の明星の他、上宮、PL学園、大体大浪商といったところが勝ち上がっています。兵庫大会では前日に続いて関西学院が4強進出を果たす一方で滝川が敗退し、両校の揃い踏みは4戦続いたところで終幕と相成りました。

・職業校
上伊那農がまさかの4強進出。高松桜井に続く無名校の快進撃です。高専最後の砦となった近大高専も勝ち進んでいます。

・その他
茨城大会における無冠の帝王として県別ネタでも紹介した霞ヶ浦が、今年も決勝進出を果たしました。今の今まで取り上げなかったのは、決勝進出など同校にとっては特段珍しくもないからです。昨日の今日で臨んだ決勝戦の結果は既に出ていますが、こちらは明日の話題として残します。

★青森大会決勝
 青森6-8八戸学院光星
★茨城大会準決勝
 霞ヶ浦3-1取手松陽
★神奈川大会5回戦
 法政二3-12東海大相模
★長野大会準々決勝
 東京都市大塩尻1-5上伊那農
★静岡大会3回戦
 静清8-9静岡
 韮山5-7東海大翔洋
★三重大会3回戦
 皇学館2-3x近大高専
★滋賀大会3回戦
 彦根東5-2草津東
★大阪大会4回戦
 渋谷1-6明星
 金光大阪3-4x上宮
 大体大浪商12-2天王寺
 早稲田摂陵0-4PL学園
★兵庫大会準々決勝
 滝川3-6神戸国際大付
 加古川北0-1x関西学院
★奈良大会準々決勝
 奈良大付0-1畝傍
★広島大会準々決勝
 誠之館1-3広島商
★鳥取大会準々決勝
 米子西2-3x米子東(延長12回)
★山口大会準々決勝
 岩国6-3下関中央工
★徳島大会準々決勝
 富岡西5-10池田
★愛媛大会3回戦
 帝京五6-7小松
 東温4-1済美
★高知大会準々決勝
 梼原1-6高知商
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この季節の楽しみ 2014(39)

2014-07-24 21:59:19 | 野球
日を追うごとに試合数は減り、昨日は38大会150試合の開催でした。4代表が新たに決まり、開幕から33日目にして全出場校が登場。トリを飾ったのは静岡大会、愛知大会の各8校と福井大会の2校で、午後からの試合開始となった焼津中央、桐陽、相良、伊東商、愛知啓成の5校が今季の大トリを飾りました。一月以上続いてきた今季の高校野球ネタもようやく一巡し、あとは後日談を残すのみとなります。

・北海道
既報の通り、小樽潮陵が決勝で敗退しました。一回裏の先制点が結果として唯一の失点だったというのがなおさら惜しまれます。その代わりというべきか、秋田の角館が春夏通じて初の甲子園出場を果たし、決勝戦で涙を呑んだ昨年の雪辱を果たしたのは見事でした。

・離島
津名が8強目前で散り、地続きの島もついに姿を消しました。

・大差
20点差以上もさすがに見納めかと思ったところが、福井工大福井が21点差の大勝で緒戦を突破し、早くも8強入りを果たしました。

・伝統校
愛知の成章が今季は最後の最後に登場。これはとりもなおさず8枠しかないシード権を獲得したということでもあります。選抜に過去二回、直近では五年前に出場するなど実力はあり、今季のシード入りも決してまぐれではありません。藩校を発祥とする伝統校の中でも、彦根東、鳥取西、岩国などと並んで上位進出が期待できるチームの一つです。
同じ愛知の明和は3戦目に勝ち、興譲館は4強、福山誠之館は8強入りを果たしました。また、松山東が今治西を下す殊勲の星を挙げて8強入りしています。二年連続の決勝進出を目指した大分上野丘は、惜しくも4強で散りました。

・出身校
杉浦の出身校豊田西も今季はシード権を獲得し、最後の最後での登場となりました。しかも特筆すべきは、初戦の相手が山内の母校起工だったということです。結果はシード校の順当勝ちとなりましたが、11点取られながらも7点取り返した起工の粘りは見事で、昭和30年代のパ・リーグに君臨した両雄の母校の名に恥じない一戦でした。

・よい地名
京都の乙訓が8強で散りました。地方大会が終盤戦に突入し、ゆかしい校名にも見納めの時が近付いてきたようです。

・古豪
神奈川大会で一時代を築いた法政二と東海大相模の両校が揃って勝ち、次戦は両校同士の直接対決となります。一方、湘南は横浜に屈しました。静岡では選抜無敗の韮山が2勝目を挙げています。
大阪では関大北陽が近大付を下す一方、阪南大が大阪桐蔭の餌食に。例年展開が遅い大阪大会も、上位校のつぶし合いでいよいよ終盤戦の様相を呈しています。また、兵庫の滝川と関西学院は5回戦にも勝ち、揃って8強に進出しました。初戦こそ一日前後したものの、その後の3試合はいずれも揃い踏みしてきた両校ですが、この先も試合がある日は全く同じで、直接対決が実現するのは両校とも決勝に進出したときとなります。あと何回揃い踏みが見られるかに注目しましょう。
上記の他、予選皆勤記録を保持する山城と大社は揃って4強に進出。しかし、同じく皆勤記録を持つ時習館は敗れ、学法石川、向陽、浜田、観音寺中央といったところも散りました。

・職業校
今更ではありますが、県別ネタでも紹介した天竜林業が統廃合により閉校していたことに気付きました。最後の卒業生を送り出したのは去る3月、創立90年の節目を辛うじて迎えることができたのはせめてもの救いでした。これにより、「林業」を単独で冠する高校は消滅したことになります。
高専では勝ち残っていた福井高専、奈良高専、阿南高専の3校が敗れ、近大高専が最後の砦となりました。

・その他
高松桜井が香川西にも勝って4強へ進出しました。次戦の相手は全国大会出場8度の坂出商ですが、甲子園から20年近く遠ざかっている古豪であり、近年は三年前の県4強が目立つ程度だけに、どちらが勝ってもおかしくはないでしょう。健闘を祈ります…

全出場校が出揃い、例年ならこれにて終幕というところではありますが、中断していた県別ネタが残っています。宮崎、沖縄の各県で代表が決まり、大分と鹿児島でも決勝が戦われたという状況で、何を今更といった感はあるものの、6県だけ残して終わるのもそれはそれで中途半端というものでしょう。沖縄までの残りを三日ほどかけて片付け、最後の最後にその間の試合結果をまとめて完結という流れになりそうです。

★南北海道大会決勝
 小樽潮陵0-1東海大四
★秋田大会決勝
 角館3-1能代松陽
★福島大会準々決勝
 学法石川2-5いわき光洋
★神奈川大会4回戦
 湘南学院0-5東海大相模
 法政二9-2弥栄
 横浜8-3湘南
★静岡大会2回戦
 浜北西4-7韮山
 新居3-4伊東商(延長12回)
 袋井1-0焼津中央
 桐陽5-1磐田東
★愛知大会3回戦
 愛産大三河9-2杜若
 時習館5-9桜丘
 享栄5-8愛知啓成
 日本福祉大付2-6明和
 起工7-11豊田西
 成章8-1小坂井
★福井大会2回戦
 福井高専1-22福井工大福井
★京都大会準々決勝
 東山5-0乙訓
 山城9-3北稜
★大阪大会4回戦
 大阪桐蔭8-0阪南大
 近大付2-3x関大北陽
★兵庫大会5回戦
 市川2-8滝川
 津名1-4明石商
 姫路工1-3関西学院
★奈良大会3回戦
 奈良高専1-6智弁学園
★和歌山大会準々決勝
 向陽3-7市和歌山
★岡山大会準々決勝
 興譲館8-0西大寺
★広島大会4回戦
 広島工2-3誠之館
★島根大会準々決勝
 浜田4-6x安来(延長10回)
 大社13-2松江農林
★香川大会準々決勝
 坂出商5-4観音寺中央(延長10回)
 香川西2-3高松桜井
★愛媛大会3回戦
 松山東1-0今治西
★大分大会準決勝
 大分上野丘3-6明豊
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この季節の楽しみ 2014(38)

2014-07-23 23:52:49 | 野球
三連休を過ぎても試合数が激減することはなく、昨日は36大会170試合の開催でした。最大でも400試合に達する日がない代わりに、細く長く続くのが今季の特徴といえそうです。この日をもって滋賀、鳥取、高知の出場校が出揃い、静岡、愛知、福井のシード校も本日初戦を終えたため、開幕から33日目にして全出場校が登場したことになります。

・北海道
道内屈指の伝統校小樽潮陵が決勝進出を果たし、60年ぶり2度目の本大会に臨んだ浦河の夏が終わりました。しかし、敗れたとはいえ最後の踏ん張りは見事でした。初回に先制点を許した後3回に逆転、その後再逆転されて4点差がつき、敗色濃厚となった9回表に、一挙5点を奪って一時は逆転に成功したのです。その裏に2点を奪われ逆転サヨナラ負けという結末も、高校野球らしい劇的なものでした。
小樽潮陵は昨日の今日で決勝戦に臨み、東海大四に惜敗したことが分かっています。開幕前から注目していたチームだけに、あと一歩のところで甲子園を逃したのは残念というほかありません。しかし、何の期待もしていなかった終盤戦に、これだけの熱戦が観られたのですからもう十分です。最後まで楽しませてくれた球児たちに感謝したいと思います。

・大差
滋賀大会と鳥取大会で20点差以上が各1試合出現しました。間もなく全出場校が登場し、ほとんどの大会が中盤から終盤へ突入する時期だけに、これだけの大差がつく試合はそろそろ見納めかもしれません。

・伝統校
藩校を発祥とする福井の藤島が初戦で敗退。明和と岩国は2戦目に勝ちました。1回戦から登場した明和は3回戦に進出しただけなのに対し、2回戦から登場したシード校の岩国は、これにて早くも8強進出となります。また、愛媛の小松は、全国大会出場5回の川之江に圧勝しました。次戦の相手はシード校の帝京五です。余勢を駆って再び波乱を起こすことはできるでしょうか。
なお、津と膳所と高知小津は2戦目で、済々黌も8強で姿を消しました。

・よい地名
勿来工が8強目前で散りました。勝ち残った顔ぶれからしても、今後新たな話題が出てきそうな気配はありません。聖光学院が足をすくわれるという事態にでもならない限り、自分にとっての福島大会はこれにて終幕となります。
このblog一押しの畝傍は二戦目にも勝ち8強に進出しました。あと1勝すれば次は天理、たとえ勝ってもその先には智辯学園が勝ち上がってくると予想されます。奈良大会も、否応なしに興ざめする終盤戦に入ってきましたorz
梼原は中1日で臨んだ2回戦にも勝ち、早くも8強入りを果たしました。この日初登場した明徳義塾に至っては1勝で8強入りです。2回戦を戦っているのは愛知と同様ながら、こちらはあと4勝してようやく8強となります。激戦区の球児たちの恨み節が聞こえてくるようです。

・古豪
福井県勢歴代2位となる17回の選手権出場記録を持つ敦賀が初戦を突破。静岡は再試合を圧勝で制しました。取り直しに持ち込めば横綱に俄然分があるということでしょう。敗れた駿河総合としては、前日に決められなかったのが結果的には惜しまれます。同じく東海地方では、初代愛知代表で予選皆勤の記録を保持する時習館も3回戦に進出しました。近畿では、明星対興国という全国制覇校同士の直接対決が実現し、序盤の8点差を逆転した明星が、大体大浪商、上宮とともに次戦へ駒を進めています。
一方、横浜商、魚津、愛知商、洲本、箕島、高松商、松山商といったところが姿を消し、甲子園無敗の記録を保持する海部もシード校の前に散りました。ただ羅列しているだけのようでありながら、その大半は全国優勝を経験しており、永久不滅の伝説を残したチームも複数あるなど、文字通りの錚々たる古豪です。

・職業校
近大高専が勝ち進む一方、高専のトリを務める米子高専が初戦で大敗を喫し、豊田高専も敗退。勝ち残っている高専は片手で勘定できる数になってきました。

★南北海道大会準決勝
 浦河9-10x小樽潮陵
★福島大会4回戦
 勿来工4-7若松商
★神奈川大会4回戦
 横浜商0-8平塚学園
★富山大会3回戦
 魚津1-3南砺福野
★福井大会1回戦
 福井農林8-15x敦賀
 藤島0-10x武生商
★静岡大会2回戦
 駿河総合1-10静岡
★愛知大会2回戦
 岡崎北6-3豊田高専
 東海1-8x時習館
 明和11-7津島東
 愛知商0-6刈谷
★三重大会2回戦
 津0-9海星
 近大高専7-4相可
★滋賀大会2回戦
 膳所10-11x長浜
 甲南0-22近江
★大阪大会3回戦
 大阪偕星5-10大体大浪商
 泉陽0-7x上宮
 明星10-9興国
★兵庫大会4回戦
 洲本2-3x西脇工
★奈良大会3回戦
 畝傍10-6奈良朱雀
★和歌山大会準々決勝
 和歌山商8-2箕島
★鳥取大会2回戦
 鳥取育英20-0米子高専
★山口大会3回戦
 光3-10岩国
★徳島大会2回戦
 鳴門渦潮11-2海部
★香川大会3回戦
 尽誠学園4-3高松商
★愛媛大会2回戦
 松山商1-8x新田
 川之江1-11x小松
★高知大会2回戦
 室戸0-10x明徳義塾
 梼原5-3高知東
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この季節の楽しみ 2014(37)

2014-07-22 20:00:20 | 野球
連休中日を過ぎて一気に淋しくなるかと思ったところが、前日とさほど変わらぬ37大会208試合の開催でした。その一方で宮城と山梨で代表が決まり、雨天中止がなければ明日には全出場校が登場します。自分にとっての地方大会はあと少しです。

・北海道
このblog一押しの遠軽が8強で散りました。しかし、思うにこのチームの真価とは、離島勢と同様、逆境をものともせず健闘するところにあります。多少なりとも優勝争いに加わることができれば、勝った負けたはそれほど決定的な問題ではないのです。当然ながら落胆はするものの、過去四度経験した決勝で敗れるというやるせなさを思えば、このような結末も悪くはありません。絶対的な強豪が存在しない北北海道だけに、今の戦績を積み重ねることができれば、いつの日か代表の座を勝ち取るだろうという期待もあります。再び一喜一憂させられるのを楽しみにしています。また来年…

・伝統校
藩校を発祥とする彦根東が快勝し、前年覇者の貫禄を示しました。大阪府第二中学、第三中学を発祥とする伝統校、三国丘と八尾の直接対決も実現しています。
しかし、この日最大の話題は、何といっても青森の決勝進出でしょう。県立では弘前、八戸に次ぐ創立114年の歴史を有する伝統校です。敗色濃厚となった9回表に、一挙5点を奪っての大逆転勝利でした。青森山田の餌食になるという筋書き通りの展開しか予想していなかっただけに、今の今までblogで取り上げることもなかったわけなのですが、ともかく見くびっていたことを詫びなければなりません。私立の強化校の草刈り場となって久しい青森大会ですが、これで去年の弘前に続き、二年続けて県立の伝統校が決勝に駒を進めたことになります。泣いても笑ってもあと一試合です。健闘を祈ります。
なお、岡山の興譲館は3回戦を突破して8強入りし、四国でも藩校を発祥とする松山東が3回戦に進出しています。金沢桜丘は残念ながら二戦目で散りました。

・出身校
新規こそないものの久々の豊作です。まず、8日前に揃い踏みした愛知の双璧起工と西尾東が揃って二戦目に臨み、起工は3回戦に進出。次戦は杉浦を生んだ挙母改め豊田西との直接対決となります。中村紀洋の渋谷も二戦目に勝ちました。一方、杉浦の女房役である野村を生んだ峰山は、予選皆勤の記録を保持する山城に屈し、江夏の大阪学院大も敗退しました。

・よい地名
京都の乙訓が8強に進出しました。前年代表の福知山成美を延長戦で下すという熱戦でした。

・古豪
静岡大会の真打ち、創立136年の伝統校にして選手権出場22回の静岡が、初戦でいきなり引き分け再試合を演じました。静岡に次ぐ9回の出場を誇る静岡商は初戦で不覚をとっています。西日本では予選皆勤にして選手権出場13回の米子東と、やまびこ打線で一世を風靡した池田が揃って初戦を突破しました。
既出のところでは、甲子園優勝経験を有する湘南、洲本、向陽の3校が揃って3回戦を突破。関大北陽、阪南大といったところも勝ち進んでいます。出場39校の和歌山では、3回戦を突破すれば早くも8強進出となります。同じく出場39校の島根大会では、予選皆勤記録を持つ大社と、島根県勢歴代最多となる11回の選手権出場を誇る浜田が勝ち、こちらはわずか2勝で8強進出となりました。しかし、米子東と池田は出場32校未満の鳥取大会、徳島大会でシードされ、1勝で即8強入りしたのですから、上には上がいるものです。
人知れず消え去る古豪もあります。この日でいうなら岩倉、岐阜、宇治山田、高松といったところがそうです。岩倉は選抜無敗の記録を持つ8校の一角、岐阜は山城、大社と同じく予選皆勤記録を持つ15校の一つで、宇治山田と高松はいずれも第一回大会の代表校です。

・職業校
東海地方の職業高校の真打ち、瀬戸窯が満を持して登場したものの初戦で散りました。
既出のところでは、上伊那農が勝って8強入りする一方、更級農と須坂園芸の両校が昨日の今日で散り、明石高専も4回戦で姿を消しています。

・その他
高松桜井が8強入りを果たしています。MOSの店名になったということだけで追いかけているこのチームが、上位に進出するとは思いませんでした。次戦の相手は香川西、一昨年の代表校です。しかし、初戦では三年前の代表校英明を破っており、再び番狂わせが起きないとも限りません。無名校の快進撃はどこまで続くでしょうか。

★北北海道大会準々決勝
 遠軽1-7旭川大
★青森大会準決勝
 青森5-3青森山田
★東東京大会5回戦
 岩倉6-8x
★神奈川大会3回戦
 湘南12-2永谷
★長野大会4回戦
 更級農5-9松本第一
 須坂園芸0-12上田西
 上田7-10上伊那農
★石川大会3回戦
 寺井11-1金沢桜丘
★静岡大会1回戦
 駿河総合2-2静岡(延長15回)
 静岡商1-3浜松工
★愛知大会2回戦
 尾北2-8起工
 豊川工8-3瀬戸窯
 西尾東3-4新城東作手
★岐阜大会4回戦
 岐阜2-5岐阜工
★三重大会2回戦
 宇治山田0-2松阪
★滋賀大会2回戦
 彦根東8-1彦根翔陽
★京都大会4回戦
 福知山成美5-6x乙訓(延長11回)
 山城4-3峰山(延長10回)
★大阪大会3回戦
 守口東0-11x関大北陽
 東淀川2-4渋谷
 早稲田摂陵5-4大阪学院大
 八尾8-0三国丘
 鳳0-7x阪南大
★兵庫大会
・3回戦
 村野工1-2洲本
・4回戦
 明石商4-1明石高専
★和歌山大会3回戦
 向陽9-2高野山
★岡山大会3回戦
 就実0-3興譲館
★鳥取大会2回戦
 米子東2-1境
★島根大会3回戦
 松江工1-11大社
 浜田9-6出雲西
★徳島大会2回戦
 小松島4-9池田
★香川大会3回戦
 高松東3-6高松桜井
 高松1-8x大手前高松
★愛媛大会2回戦
 松山東7-0松山西
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この季節の楽しみ 2014(36)

2014-07-21 19:17:21 | 野球
連休中日となった昨日は46大会252試合が戦われ、沖縄で全国最初の代表が決まりました。しかし、それ以上に注目すべきは前橋育英の敗退でしょう。昨年選手権に初出場して初優勝を飾った同校でしたが、今季は三年前の代表校健大高崎を相手に、二戦目で不覚をとりました。これにより、湘南、三池工を含む3校だけが保持する選手権無敗の記録は守られ、主将一人が優勝旗を返しに甲子園へ出向くわけです。この屈辱を乗り越えて、いつの日か再び代表の座に返り咲くのでしょうか。それとも無敗の記録を保持し続けるのでしょうか。来年以降の戦いに注目です。

・離島
香川の小豆島が離島勢のトリを飾って登場するも、あえなく尽誠学園の餌食となり、長崎で唯一勝ち残っていた上五島も敗退。これによって離島勢の夏が終わり、あとは橋で地続きの淡路島を残すのみとなります。

・接戦
群馬大会がまさしく理想型で、8試合戦われてコールドが1試合もなく、3試合が延長戦にもつれ込みました。しかも3試合が1点差、2試合が2点差、1試合が3点差。残る2試合も4点差と5点差が各1試合です。惜しかったのが福島、茨城、長野、岐阜、岡山の各大会で、7点差のコールド試合が1, 2試合あるのを除けば全試合が9回まで戦われ、二桁得点は一つもないという接戦ぶりでした。中盤から終盤の戦いに移行し、実力が伯仲してきたということでしょう。

・伝統校
藩校を発祥とする若狭は残念ながら初戦で敗退。土佐藩主の私塾を発祥とする高知小津は初戦を飾っています。
既出のところでは、福山誠之館が二戦目を突破。対戦相手の舟入も、市立高等女学校の流れを汲む知る人ぞ知る伝統校です。大分上野丘はこの日も勝って4強入りし、昨年の決勝進出がまぐれでなかったことを示しました。

・よい地名
高知大会で梼原が初戦を突破。「ゆすはら」という難読地名もさることながら、鉄道も通わぬ山奥の立地が高知ならではです。
既出のところでは福島大会の勿来工が勝ち、奈良大会の橿原と磯城野は散りました。

・古豪
岩手の古豪福岡が3戦目で散り、福島では学法石川が只見との遠距離対決を制して4回戦に進みました。関東では水戸商と竜ヶ崎一が揃って敗退。三日前に揃い踏みした法政二と武相が二戦目に臨み、法政二が駒を進める一方で武相は敗れて明暗を分けています。岐阜大会でも、予選皆勤の記録を持つ岐阜が延長戦を制して次戦に駒を進める一方、県別ネタで紹介した岐阜第一が敗退するという形で明暗が分かれました。
古豪の宝庫近畿では、初代大阪代表で全国大会出場10回、予選皆勤の記録も保持する市岡が初戦で不覚をとる一方、全国制覇の経験を持つ興国が順当勝ちしました。同じく全国制覇の経験を持つ明星も2戦目を突破し、次戦は両校の直接対決となります。全国覇者の直接対決が3回戦から見られるのは、大阪大会ならではの楽しみです。浪商、上宮、滝川、関西学院、箕島といった有名どころも揃って勝ち進んでいます。
四国では、高知の伊野商が選抜無敗の記録を持つ8校のトリを飾るも初戦敗退。西東京では日大桜丘が8強を目前にした5回戦で散る一方、香川では観音寺中央がわずか2勝で8強入りしました。この日は選抜無敗の3校が揃い踏みしたことになります。

・職業校
出場校の中では2校しかない私立高専の一角、三重の近大高専が順当に初戦を突破。上位進出を狙える数少ない高専の一つだけに、どこまで勝ち進めるかに注目です。国立では四国の阿南高専と新居浜高専が登場して1勝1敗でした。
既出のところでは長野の須坂園芸と更級農が揃って勝ち、富山高専本郷と津山高専は敗退。高専としては異例の8強進出を果たした大分高専も、明豊の餌食となって消えました。

・その他
福島大会で白河と喜多方の「ラーメン対決」が実現し、白河に軍配が上がっています。

★岩手大会4回戦
 福岡5-10一関工
★福島大会3回戦
 葵4-6田村
 郡山8-1須賀川桐陽
 勿来工4-1福島
 学法福島2-4光南
 福島明成0-3いわき海星
 いわき光洋5-2東日大昌平
 安積黎明1-2x小高工
 福島商3-1会津工
 若松商6-3保原
 喜多方0-7x白河
 須賀川4-5安達
 只見1-2x学法石川
 白河実2-1南会津(延長10回)
★茨城大会4回戦
 水戸商1-6霞ヶ浦
 つくば秀英3-1竜ヶ崎一
★群馬大会3回戦
 中央中等9-6館林
 太田東0-1x明和県央
 伊勢崎清明2-0東農大二(延長12回)
 前橋育英2-6健大高崎
 桐生工1-0勢多農林(延長13回)
 太田市商2-3x沼田(延長12回)
 高崎1-6伊勢崎商
 嬬恋8-6伊勢崎
★西東京大会5回戦
 国学院久我山9-0日大桜丘
★神奈川大会3回戦
 法政二3-1鶴見大付
 武相1-4湘南学院
★長野大会3回戦
 須坂東0-7x佐久長聖
 更級農8-2大町
 須坂園芸4-2富士見
 松本工3-4x小海(延長10回)
 上田染谷丘2-5上田
 中野立志館1-7x小諸商
 篠ノ井4-1岡谷南
 丸子修学館3-6諏訪清陵
★富山大会2回戦
 高岡第一8-2富山高専本郷
★福井大会1回戦
 若狭1-7羽水
★岐阜大会3回戦
 大垣南4-0多治見
 長良6-8岐阜総合学園
 岐阜第一2-4大垣北
 東濃実2-4大垣商
 岐阜7-6市岐阜商(延長13回)
 武義0-7x多治見工
 可児工0-7x岐阜工
 岐阜各務野7-1飛騨高山
★三重大会1回戦
 上野3-5近大高専
★大阪大会2回戦
 上宮16-1美原
 貝塚1-12明星
 興国10-0泉鳥取
 市岡6-7東
★兵庫大会4回戦
 加古川南0-9関西学院
 滝川7-0八鹿
★奈良大会2回戦
 橿原5-6桜井
 磯城野4-12大和広陵
★和歌山大会3回戦
 和歌山東6-8箕島
★岡山大会2回戦
 倉敷商8-0津山高専
 玉島商6-8岡山県共生
 総社南4-7岡山理大付
 岡山学芸館5-2倉敷工
 玉野商3-4x岡山大安寺(延長11回)
 明誠学院9-5高梁
 玉野光南6-1勝山
 岡山城東3-2岡山南(延長12回)
★広島大会3回戦
 舟入0-6誠之館
★徳島大会1回戦
 吉野川1-11阿南高専
★香川大会
・2回戦
 尽誠学園11-2小豆島
・3回戦
 高松北4-7観音寺中央
★愛媛大会1回戦
 新居浜高専2-3新居浜商
★高知大会1回戦
 高知東8-4伊野商
 梼原4-2追手前
 安芸2-8小津
★長崎大会2回戦
 上五島1-7鹿町工
★大分大会準々決勝
 大分商0-5大分上野丘
 大分高専0-3明豊
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この季節の楽しみ 2014(35)

2014-07-20 20:46:10 | 野球
三連休の初日を終えて試合数が再び増加したものの、400に迫った先週末には及ばず、46大会274試合の開催でした。明日も試合数が大幅に増えるとは考えられず、結果としては先週末が今季の最盛期だったことになります。最後まで残っていた福井、高知の両大会が開幕し、沖縄では明日全国最初の代表が決まり、北海道と東北も終盤戦に突入するなど、一月近く続いてきた地方大会にも少しずつ終幕が近付いてきたようです。

・北海道
小樽潮陵と浦河が再び勝って4強入りを果たしました。小樽潮陵はともかく、地区予選突破が60年ぶり2回目という浦河が、ここまで上位に食い込むと誰が予想したでしょうか。準決勝は両校の直接対決となります。つまり、両校のいずれか一方は決勝に進出するわけです。地区予選が終わると例年ほぼ見所のない南北海道大会ですが、今季は最後まで目が離せません。

・遠距離
高知大会はもとより西日本でも屈指の好カード、室戸対清水の一戦は室戸に軍配が上がりました。次戦の相手は明徳義塾ですorz

・離島
徳之島と大島が敗退し、鹿児島の離島勢がついに姿を消しました。両校とも惜敗であり、あと1勝すれば8強だったかと思うと惜しまれます。しかし、試合があった日だけで数えても開幕から12日目、そのうち離島勢が登場しなかったのは一日だけです。ここまで楽しませてくれたことに感謝します。また来年…

・接戦
3回戦で延長15回を戦い抜き、翌日の再試合を延長11回の末に制した朝霞が昨日の今日で敗退。敗れたとはいえ三連戦の疲れも見せず、0対1と最後まで健闘したのは見事でした。2回戦も1点差の接戦を勝ち抜いており、コールド勝ちした初戦を除けば、一瞬たりとも気の抜けない緊迫した戦いの連続だったわけです。三日間で35回を戦い抜いた球児たちに敬意を表したいと思います。
静岡大会では降雨のため24試合中8試合がノーゲーム、2試合がコールドとなりました。コールドとなった2試合のうち、同点だった1試合は再試合となり、1点差だったもう1試合はそのまま試合成立となっています。勝敗が決したのは気賀対下田で、7回裏に下田が2点を取って逆転し、そのまま打ち切りという顛末でした。続けていればどちらに転ぶか分からなかった試合であり、逆に7回の攻撃が終了しない限りは、高校野球の規則によりノーゲームとなっていたわけです。逆転された気賀の選手にしてみれば、まさに最悪の雨だったということになるのでしょう。無情の雨がまたしても明暗を分けた一日でした。

・大差
大阪大会で26対4のスコアが出現しました。20点差以上をつけられながら3点4点取り返すという試合が、今季は突出して多いような気がします。

・伝統校
石川大会で金沢桜丘が、滋賀大会で膳所がそれぞれ初戦を突破。和歌山大会では嘉永年間創立の耐久が全出場校のトリを飾って登場するも、あえなく初戦敗退に終わっています。弘化年間創立の藩校を発祥とする岩国は難なく初戦を突破し、春7回、夏4回の甲子園出場経験が伊達ではないことを示しました。同じく藩校を発祥とする小松も快勝しています。
既出のところとしては、岡山の興譲館が3回戦に進出する一方で、藩校を発祥とする会津、小田原、萩、山口の4校が相次いで散りました。前橋も3戦目で敗退となっています。

・よい地名
地名ではありませんが、ゆかしい校名として県別ネタでも紹介した杜若が、愛知大会の初戦を飾っています。

・古豪
選抜無敗の記録を持つ静岡の韮山と、選手権史上初の延長引き分け再試合を演じた富山の魚津が初戦を突破。予選皆勤の記録を保持する15校のうち、最後まで残っていた愛知の旭丘と島根の松江北はいずれも初戦で不覚をとりました。しかし、同様の記録を持つ15校のうち、初戦で敗れたのは旭丘、市岡、神戸、桐蔭、松江北の5校だけであり、そのうち神戸は同じ記録を持つ兵庫との直接対決でした。最大でも14勝という条件下で10勝を挙げているのは、さすが古豪というべきでしょう。四国では、甲子園無敗伝説を持つ徳島海南の後身海部と、2度の全国制覇を誇る四国屈指の古豪高松商が、いずれも大差で初戦を突破しました。
既出のところとしては、岩倉、横浜商、関大北陽が勝ち進み、済々黌は8強入りを果たしました。その一方で東日本では磐城と上尾が散り、西日本では第一回大会の代表校でもあった鳥羽、広島国泰寺、鳥取西の3校と、全国制覇の経験を持つ芦屋、柳井の両校が相次いで散っています。柳井を破ったのは津田の出身校として知られる南陽工で、翌日に迫った命日に捧げる勝利となりました。球場が周南市野球場、別名「津田恒美メモリアルスタジアム」だったという偶然も心憎いものがあります。

・職業校
全国的にも珍しい芸術系の名古屋市工芸が登場するも初戦敗退。高専は沼津高専、豊田高専、福井高専、奈良高専、香川高専詫間、高知高専と6校登場して3勝3敗というまずまずの結果です。香川高専詫間は初戦でいきなりシード校の丸亀城西に当たるという不運もあり、現校名に変わってからの初勝利を挙げることはできませんでした。同校の敗退により、全国3校の旧電波高専の夏が終わりました。
既出のところでは、上伊那農が次戦へ進み、置賜農、下伊那農と日田林工は敗退。高専では群馬高専、長野高専、岐阜高専、石川高専が散り、明石高専だけが次戦へ進みました。

・その他
県別ネタで紹介した近江兄弟社と神戸高塚、分校の星日高中津が揃って姿を消しています。

★南北海道大会準々決勝
 浦河6-4札幌創成
 恵庭南6-8小樽潮陵
★山形大会3回戦
 置賜農4-7鶴岡南
★福島大会3回戦
 磐城2-3x日大東北
 福島北11-4会津
★群馬大会3回戦
 群馬高専2-8太田工
 前橋工6-0前橋
★埼玉大会4回戦
 朝霞0-1山村国際
 南稜8-0上尾
★東東京大会4回戦
 修徳4-6岩倉
★神奈川大会3回戦
 横浜商2-0日大
 小田原1-5平塚学園
★長野大会3回戦
 下諏訪向陽0-7上伊那農
 東海大三16-1下伊那農
 長野高専4-6長野商
★静岡大会1回戦
 清水東0-4韮山
 気賀2-3下田(7回コールド)
 佐久間2-2熱海(7回コールド)
★愛知大会1回戦
 名古屋市工芸2-8高蔵寺
 旭丘0-7x至学館
 一宮北4-6杜若
 豊田高専5-4吉良
★岐阜大会3回戦
 岐阜高専2-3x揖斐
★富山大会2回戦
 砺波工5-6魚津
★石川大会2回戦
 津幡1-4金沢桜丘
 飯田7-4石川高専
★福井大会1回戦
 福井高専11-4丹南
★滋賀大会
・1回戦
 能登川0-8膳所
・2回戦
 近江兄弟社0-1x八日市(延長10回)
★京都大会3回戦
 桂5-2鳥羽
★大阪大会2回戦
 枚方なぎさ0-8x関大北陽
 太成学院大26-4南
★兵庫大会3回戦
 明石高専2-1尼崎小田
 県芦屋3-4x東播工
 市川4-1神戸高塚
★奈良大会2回戦
 奈良高専4-3王寺工
★和歌山大会
・2回戦
 那賀3-2耐久
・3回戦
 日高中津3-10x伊都
★岡山大会2回戦
 興譲館6-4備前緑陽
★広島大会3回戦
 国泰寺5-6x西条農(延長13回)
★鳥取大会2回戦
 倉吉東3-2鳥取西
★島根大会2回戦
 松江北1-2江津
★山口大会2回戦
 南陽工11-8柳井
 萩2-3x下関工
 山口2-7下関国際
 下松1-8岩国
★徳島大会1回戦
 徳島市立0-10x海部
★香川大会2回戦
 香川高専詫間0-10x丸亀城西
 高松商13-3高松一
★愛媛大会1回戦
 小田0-11小松
★高知大会1回戦
 清水0-6室戸
 高知商9-0高知高専
★熊本大会4回戦
 熊本一2-6済々黌
★大分大会3回戦
 日田林工3-10x杵築
★鹿児島大会4回戦
 徳之島1-2x川内(延長11回)
 川内商工3-1大島
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この季節の楽しみ 2014(34)

2014-07-19 21:11:22 | 野球
開幕以来五度目の週末を前に相当数の大会が予備日に入り、19大会82試合の開催にとどまりました。その中でも最大の話題は、何といっても東北が準々決勝で散ったことでしょう。仙台育英も既に敗退したため、今季の代表校は二強以外となることがこれで決まったわけです。しかも、勝ち残った4校はいずれも公立、しかも2校は春夏通じて甲子園未経験、残る2校も春または夏が1回のみという顔ぶれです。宮城大会といえば、一県一代表が定着した昭和53年以降、36回中31回で二強が代表を占めるという極端な寡占状態で知られ、終盤になればなるほど興ざめさせられる大会の一つでしたが、これにより一転して面白くなってきました。

・北海道
このblog一押しの遠軽が、三年前の決勝で敗れた宿敵白樺学園を下して8強に進出。創部以来初の本大会進出として話題になったラ・サールは、小樽水産とともに散りました。

・離島
島根の隠岐が初戦で敗退。佐渡は延長戦の末に二戦目を落とし、東日本から離島勢が消えました。一方、大島は鹿児島大会の4回戦に進出しています。12日の初戦が雨で三日延びて15日となり、二戦目となったこの日の試合も、本来ならば16日の予定でした。鹿児島までフェリーで一晩かかる距離だけに、遅くとも前日の晩、開始時刻によってはさらに一日早く出なければたどり着けず、中止になって引き返すのも大仕事です。彼等はこの間島との間を何往復し、何日足止めを喰らったのでしょうか。こんな想像をかき立てられるのも鹿児島大会ならではのことです。

・大差
浜田が22対0の大差で初戦を突破しました。島根県勢歴代最多となる11回の全国大会出場経験は伊達ではありませんでした。

・伝統校
秋田が3戦目で不覚をとりました。秋田はもちろん北東北では最多となる19回の全国大会出場を誇る同校ですが、これで全国大会からは11年遠ざかることになりました。県大会の決勝で敗退した七年前を最後に、目に見えて戦績が低迷しており、それ以降は県8強が一回あるだけです。京都二中と決勝を戦った第一回大会から百年を迎える来年、捲土重来を果たすことはできるでしょうか。
九州では、大分上野丘が佐伯鶴城を下して8強に進出する一方、鶴丸が3戦目で敗退となっています。

・出身校
中村紀洋の出身校渋谷が公式戦の連敗を8で止め、3年ぶりの1勝を挙げました。峰山は中一日で臨んだ二戦目にも勝ち、4回戦に進出しています。

・よい地名
京都の乙訓が二戦目に快勝して4回戦進出を果たしました。

・古豪
愛知県勢歴代4位タイの全国大会8回出場を誇る愛知商が初戦を突破しました。開幕から一週間近く経ってもまだ1回戦というのが、全国屈指の激戦区愛知ならではです。
岩手大会は3回戦に入り、福岡が次戦に進む一方で一関一が散っています。選抜無敗の日大桜丘は5回戦に進みました。京都では予選皆勤の山城が4回戦に進む一方、同様の記録を保持する西京が、平安の餌食となって消えました。

・職業
香川で高松工芸が登場したものの今季は初戦敗退。大分高専が全国大会出場8度の柳ヶ浦を破る殊勲の星を挙げ、高専としては異例の8強進出を果たしました。

★北北海道大会1回戦
 遠軽9-7白樺学園
★南北海道大会1回戦
 札幌第一13-0ラ・サール
 札幌日大5-0小樽水産
★岩手大会3回戦
 一関一1-6盛岡大付
 宮古工2-7福岡
★秋田大会3回戦
 大曲農3-0秋田
★宮城大会準々決勝
 塩釜5-2泉松陵(延長13回)
 東北学院0-1x佐沼(延長10回)
 東北2-3利府
 気仙沼5-3石巻
★西東京大会4回戦
 国分寺3-5日大桜丘
★新潟大会3回戦
 帝京長岡2-1佐渡(延長13回)
★愛知大会1回戦
 小牧1-4愛知商
★京都大会3回戦
 西京0-3龍谷大平安
 山城16-8南丹
 京都翔英3-8乙訓
 京都共栄0-1峰山
★大阪大会2回戦
 関大一3-7渋谷
★島根大会2回戦
 大東9-3隠岐
 三刀屋0-22浜田
★香川大会2回戦
 坂出工3-0高松工芸
★大分大会3回戦
 佐伯鶴城4-5x大分上野丘
 大分高専3-2柳ヶ浦
★鹿児島大会
・3回戦
 池田5-7大島
 鶴丸2-5鹿屋中央
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この季節の楽しみ 2014(33)

2014-07-18 22:38:31 | 野球
試合数は31大会221試合とさらに減ったものの、二週間の中休みを経て南北海道大会が再開しました。明日からの三連休は再び試合数が増えるでしょう。最盛期はまだまだ終わりません。

・遠距離
今季最も多くの話題を提供してくれた青森大会でしたが、今までに比べるとこの日は特筆するほどの対戦がありませんでした。この日をもって8強が出揃い、残ったのは五所川原商を除くと青森、弘前、八戸のチームに限られるため、今後めぼしい話題が出てくることもないでしょう。あとは強化校同士のつぶし合いを残すだけです。自分にとっての青森大会はこれで終わりましたorz

・伝統校
小樽潮陵が浦河とともに8強に進出を果たしました。西日本では江戸時代から続く十津川と岡山朝日の両校が初戦で散り、金沢泉丘も敗退。戦前の古豪高松は、観音寺一を下して次戦に駒を進めています。
既出のところとしては藩校を発祥とする佐倉、育徳館と佐賀西が揃って散り、姫路西は東洋大姫路の餌食となって消えました。育徳館は降雨引き分け再試合により三連戦となってしまったのが惜しまれますorz

・出身校
江夏の母校大阪学院大が二戦目に勝ったのを除き、これといった話題はありませんでした。

・よい地名
この日は長野大会が豊作で、県別ネタで紹介した木曽青峰、更級農と梓川が揃い踏みしました。奈良では畝傍が初戦に快勝しています。その一方で不来方は二戦目で敗退となりましたorz

・接戦
昨日既報の通り、延長15回で引き分けた一戦が再試合でも延長戦にもつれ込み、26回にわたる激戦を朝霞が制しました。

・大差
20点差以上は一試合もなし。地方大会が本格化する前の先週木曜以来、一週間ぶりの出来事です。それだけ戦いが進んだということでもあります。

・古豪
昭和30年代に一世を風靡した「二高の中の二高」こと法政二と、同校に取って代わって昭和40年代前半の神奈川を制した武相が揃って登場。京都大会では、初代王者京都二中の流れを汲む鳥羽が全出場校のトリを飾りました。春5回、夏2回の甲子園出場経験を有する大鉄改め阪南大、予選皆勤の記録を保持する島根の大社も初戦を突破しています。春2回、夏5回の全国制覇を誇る四国の盟主松山商も難なく初戦を突破しましたが、次戦の相手は過去四年で県4強と8強を1回ずつ経験している新田です。過去の実績で圧倒しているものの、今の同校が新田の壁を乗り越えられるかどうかは微妙なところでしょう。
既出のところでは、茨城の水戸商と竜ヶ崎一、神奈川の湘南、兵庫の滝川と関西学院、和歌山の向陽、広島国泰寺の各校が勝ち進み、兵庫の明石、和歌山の新宮と福岡の戸畑が散っています。

・職業校
広島商船高専、弓削商船がいずれも初戦敗退。相手がそれぞれ崇徳と新田では仕方がありません。これにより、残る商船高専は三重の鳥羽商船のみ、と思ったところが今季は部員不足なのか出場がなく、商船高専の夏はこれにて終了と相成りました。また、島根でも浜田水産が「部員の不祥事」により出場を辞退し、今季五度目の不戦勝不戦敗が出現しています。一夏に五回という異例の多さもさることながら、そのうち四回までが不祥事とは何とも嘆かわしい話です。
もう一校注目するのは大分の日田林工です。林業と工業を組み合わせた物珍しさもさることながら、我が国のプロ野球史上屈指の珍名「源五郎丸」の出身校として、野球好きの間では知られたチームでもあります。

★南北海道大会1回戦
 浦河8-4札幌北陵
 小樽潮陵9-4知内
★岩手大会3回戦
 不来方0-8花巻東
★茨城大会3回戦
 波崎柳川5-9水戸商
 竜ヶ崎一5-3緑岡
★埼玉大会3回戦
 朝霞6-5市川口(延長11回)
★千葉大会3回戦
 千葉南7-2佐倉
★神奈川大会2回戦
 武相5-1上矢部
 海老名3-7湘南
 新城0-10x法政二
★長野大会2回戦
 更級農1-0諏訪二葉
 大町9-3北佐久農
 梓川2-3小海
 駒ヶ根工2-9x松本工
 上田染谷丘10-3木曽青峰
 岡谷東0-10x中野立志館
 屋代1-6小諸商
 松本蟻ヶ崎0-7諏訪清陵
 丸子修学館3-2辰野
★石川大会2回戦
 金沢泉丘1-6小松大谷
★京都大会2回戦
 洛陽工1-5鳥羽
★大阪大会2回戦
 門真西6-13x大阪学院大
 阪南大7-1和泉
★兵庫大会3回戦
 滝川3-1科学技術
 川西北陵4-6関西学院
 姫路西0-2東洋大姫路
★奈良大会2回戦
 大宇陀・吉野0-10香芝
 添上1-2畝傍
 奈良朱雀18-1十津川
★和歌山大会2回戦
 田辺工3-0新宮
 向陽7-3近大新宮
★岡山大会1回戦
 玉島商4-3岡山朝日
★広島大会2回戦
 広島商船高専1-8x崇徳
 国泰寺5-2盈進
★島根大会2回戦
 大社10-2大田
 松江農林不戦勝-不戦敗浜田水産
★香川大会2回戦
 観音寺一0-2高松
★愛媛大会1回戦
 松山商10-3今治南
 新田13-4弓削商船
★福岡大会4回戦
 戸畑0-2星琳
 育徳館3-11青豊
★佐賀大会3回戦
 佐賀商2-1佐賀西
★大分大会2回戦
 三重総合0-7x日田林工
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この季節の楽しみ 2014(32)

2014-07-17 22:49:08 | 野球
日曜の386試合を頂点にして、徐々に試合数を減らしてきた高校野球の地方大会ですが、それでも32大会266試合あるのですからかなりのものです。本日は第26日の試合結果を振り返っていきます。

・遠距離
3回戦に入った青森大会が相変わらずの安定ぶりです。この日注目の対戦は、弘前中央対大湊、八戸北対木造、むつ工対八戸水産などでした。八戸北と木造は昨日に続いての連戦であり、勝った八戸北は翌日を含む三連戦となります。この日登場したチームの中では、弘前東、青森東、青森商の3校も三連戦となることが決まりました。中盤終盤はともかく、初登場から三連戦というのは北海道でも福岡でも考えられません。移動範囲の広さを含めると、東北一苛酷なのは青森大会かもしれません。
長野大会で注目するのは飯山対富士見、飯山北対上伊那農の2試合です。直線距離でも100km, 陸路をたどれば150kmを隔てた両校同士の戦いですが、それでも県土の南北方向の半分ほどに過ぎません。岩手、福島に次ぐ3番目に広い県ならではの対戦でした。

・離島
壱岐と壱岐商が揃って散り、長崎大会では上五島が最後の砦となりました。鹿児島大会では奄美が敗れる一方、徳之島は4回戦に進出しています。

・接戦
滋賀の4試合全てが9回まで戦われ、2点差が2試合で二桁得点がありませんでした。佐賀大会は3試合の合計得点が13点という相変わらずの安定ぶりです。同じネタを何年も続けて、接戦ばかりになりやすいのは得てして影の薄い県だということに気付いてきました。一日の試合数が少なく、出場校の実力が拮抗している、悪くいえば大差がないという条件を考えると、ある意味当然の結果ではあります。
「その日の試合が接戦ばかり」という本来の趣旨からは外れるものの、本日は埼玉大会に注目します。というのも、延長15回の引き分け再試合が、再び11回までもつれ込むという熱戦が出現したのです。埼玉栄対武蔵越生の対戦がそれでした。しかも、昨日の今日で朝霞対市川口の一戦が延長15回の引き分けに持ち込まれ、今日の再試合も延長11回にもつれ込んだことが分かっています。全くの偶然とはいえ、因縁めいたものを感じる結果でした。

・大差
20点差以上がついたのは広島大会の35対0のみでした。

・伝統校
藩校を発祥とする伝統校が岡山の和気閑谷、広島の福山誠之館、長崎の大村と3校登場し、福山誠之館だけが初戦を突破しました。
前日雨天コールド引き分け再試合となった福岡の育徳館は、取り直しの一番を制し、北部大会突破まであと一勝に迫りました。しかし、戦いが二日にわたったことにより、早くも翌日が次戦となります。初戦から二戦目の間こそ中二日あったものの、そこからは三連戦という強行軍です。昨日の翌日ということは今日であり、結果は既に出ましたが、顛末は明日の話題として残します。
秋田と済々黌は二戦目も危なげなく勝ち、小田原は3回戦、鶴丸は4回戦に進出。その一方で東奥義塾、日比谷、甲南が散りました。

・無名校
久々の豊作で、野村の峰山、野茂の成城、古田の川西明峰と近畿の有名どころが揃い踏みしました。無名校の有名どころとは矛盾した物言いですが、それはそれとして…

・よい地名
難読地名として紹介した犢橋、八街、厳木の3校が揃って姿を消しました。

・古豪
岩手県勢歴代最多となる10回の全国大会出場経験を有する福岡と、旧制京都五中を発祥とし、予選皆勤の記録を保持する山城が登場。また大阪では浪商、兵庫では洲本に市神港と、甲子園優勝経験校が揃い踏みを果たしています。最後の選手権出場は福岡が昭和60年、浪商、洲本、市神港が昭和50年代、山城に至っては昭和30年代と、いずれも長く遠ざかってはいるものの、延長戦で不覚をとった市神港を除き、初戦敗退が一つもないところはさすがです。
二戦目以降としては、埼玉では上尾が、東京ではともに選抜無敗の岩倉と日大桜丘が勝ち進んでいます。その一方で、今季二度にわたって取り上げた市浦和が3戦目で敗退。同志社と呉港も散っています。

・職業校
この日は長野大会に注目します。全国的にも珍しい園芸高校で、全国大会出場経験もある須坂園芸は、リンゴ栽培が盛んな北信らしい職業高校です。上伊那農、下伊那農の揃い踏みも様になっています。岡谷工は長野県勢歴代5位タイとなる4回の全国大会出場経験を持ちますが、何より秀逸なのはかつての校名「諏訪蚕糸」です。全国大会に二年連続出場を果たし、全国制覇まであと一歩に迫ったのも、旧校名のときでした。
高専は一関高専、秋田高専、長野高専、舞鶴高専、津山高専、松江高専、香川高専高松、佐世保高専と9校登場して1勝8敗。既出のところとしては、仙台高専名取が4回戦で散りました。しかし、初戦敗退がほとんどの高専にあって、16強は健闘といってよいでしょう。

・その他
今更といった話ではありますが、信州の盟主松商学園が今季は出場しないのだそうです。暴力沙汰により二月から半年間の対外試合禁止処分が下され、その時点で出場の途はなかったわけです。これにより全国大会は六年連続のご無沙汰となり、戦中戦後の混乱期を除けば、同校にとって初出場以来最も長い空白期間となります。いつまで経っても出てこないのを不審に思い、対戦表を調べ直してようやく気付くというお粗末さでしたorz
なお、大阪大会で今季四度目の不戦勝不戦敗があり、兵庫大会では校門圧死事件の神戸高塚が初戦を突破。香川大会では、MOSの店名になった高校として県別ネタで紹介した高松桜井が、シード校の英明を破るという金星を挙げています。

★青森大会3回戦
 弘前中央5-2大湊
 七戸0-8弘前東
 板柳6-9五所川原
 五所川原商5-2東奥義塾
 名久井農2-12x青森東
 むつ工7-2八戸水産
 青森北11-2五戸
 東奥学園7-12青森商
 八戸3-8弘前工
 青森西3-10x弘前実
 八戸北4-0木造
 田子2-5青森
★岩手大会2回戦
 種市2-14福岡
 一関高専1-8宮古工
★秋田大会2回戦
 雄勝0-7秋田
 大曲5-2秋田高専
★宮城大会4回戦
 佐沼3-2仙台高専名取
★埼玉大会3回戦
 武蔵越生3-4x埼玉栄(延長11回)
 本庄東3-1市浦和
 小鹿野4-5上尾
 朝霞3-3市川口(延長15回)
★千葉大会3回戦
 八街2-4専大松戸
 木更津総合12-1犢橋
★東東京大会3回戦
 岩倉6-1目白研心
★西東京大会3回戦
 駒大3-4x日大桜丘
★神奈川大会2回戦
 小田原11-4二宮
★長野大会2回戦
 野沢南7-1伊那北
 須坂東14-2蘇南
 田川1-9佐久長聖
 諏訪実7-15長野
 須坂園芸3-松本県ヶ丘
 富士見2-0飯山
 飯山北0-2上伊那農
 下伊那農9-3豊科
 上田8-1中野西
 臼田・軽井沢3-10x長野高専
 岡谷工1-3篠ノ井
 岡谷南13-0上田東
★滋賀大会1回戦
 栗東1-3瀬田工
 日野0-6東大津
 光泉0-2草津東
 大津2-6長浜
★京都大会2回戦
 山城9-4桃山
 舞鶴高専6-8堀川
 峰山7-0東舞鶴
★大阪大会
・1回戦
 成城3-5茨木
 高津0-12大体大浪商
・2回戦
 大阪学芸不戦勝-不戦敗東大阪大柏原
★兵庫大会2回戦
 川西明峰1-6伊川谷
 市神港3-4x篠山産(延長10回)
 夢野台1-8洲本
 神戸高塚4-1有馬
★岡山大会1回戦
 和気閑谷3-10倉敷青陵
 林野1-3津山高専
★広島大会2回戦
 西城紫水0-35三原
 呉港6-7尾道北
 竹原3-6誠之館
★島根大会1回戦
 松江高専5-8益田
★香川大会2回戦
 英明0-2高松桜井
 香川高専高松3-7香川西
★福岡大会3回戦
 育徳館4-2田川
★佐賀大会3回戦
 神埼清明3-1唐津商
 鹿島1-3佐賀北
 塩田工3-2厳木
★長崎大会
・1回戦
 長崎北7-3大村
・2回戦
 壱岐商2-7創成館
 壱岐1-2海星
 長崎商9-0佐世保高専
★熊本大会3回戦
 有明4-7済々黌
★鹿児島大会3回戦
 甲南1-2神村学園
 奄美0-10x鹿屋中央
 鶴丸11-0錦江湾
 徳之島6-0川辺
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