日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 23:57:45 | 東北
帰宅しました。今回の花見を一言で総括するなら、あまりの暖かさに驚いたということに尽きます。これまでの経験からして、花見の時期にはもう初夏かと思うような汗ばむ陽気が度々出現する一方で、日没後の冷え込みなどに春らしさを感じる日も少なからずあるものです。ところが、今回は夜間を含めて肌寒さを感じる場面が一度もなく、日中に関しては終始汗ばむ陽気でした。この天候で桜の開花も一気に進み、つい先週まで日帰り圏内にとどまっていた桜前線は猛烈な勢いで日本列島を北上しています。先週末信州を旅した時には諏訪でさえ桜がほとんど咲いておらず、今回の旅でも、最初に常磐道を下りたときにはようやく桜のつぼみがほころび出したところで、今年の開花はどこまで遅れるのかと思ったものです。ところが、その瞬間を境にあれよあれよという間に開花が進み、二日経った頃には山形でさえ桜が散り始めたというのですから驚きます。自然の偉大さを思わぬ形で実感した今回の旅でした。
列車から東京駅に降り立って思うのは、汽車旅の終わりに感じる充実感ではなく、旅の途中で日常へ引き戻された唐突さです。つい今し方まで咲き誇っていた桜が都内の葉桜に変わり、遠方から空路で戻ってきたときにも似た違和感を覚えます。過去の記録を繙けば、昨年の花見の旅で一時帰京という苦肉の策をとったとき、やはり似たようなことを記していたようです。旅はまだまだ道半ば、力を蓄え万全の体制で後半戦へ臨みます。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 21:20:41 | 東北
出発から三日間、500km近くを走ったところで序盤戦は終了です。最終の新幹線で一時帰京の途につきます。米沢を出るのがこの時間ということは、自走すれば福島に着くのが10時過ぎ、そこから東北道をまっすぐ走れば二時前後には帰れるという時間帯です。つまり、普段の感覚からすれば、自走でもある程度余裕をもって帰れる時刻ということになります。それにもかかわらずあえて列車を選んだのは、費用対効果が絶大だからです。
すなわち、ガス代と高速代の合計を、普通運賃と特急料金の合計と比べた場合、列車の方が片道あたり1000円少々高いだけで済みます。このわずかな出費で、自走なら深夜帰着必至のところを日付が変わる前に帰着することができ、350kmの距離を自走する労力も省かれて一石二鳥です。そして、効果がより大きいのは活動再開時です。下りの渋滞のピークである3日に自走で東北へ向かうとすれば、遅くとも3時台までに出るのが必須の条件であり、仮に出られたとしても行く先で何が起こるか分からないのに対して、列車ならば一晩休養をとってから出発し、現地にもに定時に到達できます。速達性と定時性という列車のメリットがこれほどありがたく感じられる局面もそう多くはないでしょう。

★米沢2114/つばさ160(160M→160B)/2324東京
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 19:59:46 | 東北
夜桜見物で序盤戦を締めくくります。訪ねるのはもちろん上杉神社です。正方形の平城は規模こそ違えど「三大夜桜」の一角を占める高田公園に通じるものがあり、照明に光る桜が壕の水面に映し出される様子からは、いかにも夜桜向きの名所という印象を受けます。参道と壕沿いに露店が並ぶところも高田と同じです。二年前、草木も眠る丑三つ時にこの場所を訪ねたとき、街灯にぼんやり光る桜から、ライトアップされた姿はいかばかりかと想像したものですが、目の前に広がっているのはまさに想像した通りの光景でした。ただし、一晩では回りきれないほど広大な高田と違って、こちらは10分も歩けば一周できてしまうささやかさで、ライトアップされているのはそのうち北側の半分に過ぎません。最終の列車の時間を考えると持ち時間は実質一時間弱、長からず短からずちょうどよさそうです。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 19:21:39 | B級グルメ
夜桜見物の前に腹ごしらえです。結局本日は朝昼夜三食全てラーメンでした。それ自体は去年と全く同じ展開ながら、一つだけ違うことがあります。再び「金ちゃんラーメン」を選択したことです(オイオイ)
米沢まで来たからには、三軒目には正統派の米沢ラーメンを選ぶのが順当だというのに、あえて同じ店を二度までも選んだのは、当店で中華そばと双璧をなす「みそ味ラーメン」を一度食してみたかったからです。中華そばに関してこれほど完璧な仕事をこなす店のことですから、味噌ラーメンもさぞやと期待するのはある意味当然といえます。年に一度の機会では冒険することも許されないところ、成り行き上回ってきた二度目の機会はこの店のみそ味ラーメンに賭けようと思い至った次第です。
待望の一品は、やはり見た目からして美しく、中華そばと同じ具材に加え、コーンを添えて青のりを散らすのが特徴です。レンゲに盛られた辛味噌を好みに応じて溶きながらいただくのは赤湯の龍上海を彷彿とさせるものの、辛味噌を溶かなければラーメン入りの味噌汁でしかない龍上海のラーメンと違い、こちらのラーメンはそのままでも味噌ラーメンとして十分に成立しており、辛味噌はあくまで脇役扱いです。中華そばと同様、味わいには突出した特徴こそないものの、一つ一つの工程に丁寧な仕事がなされていて、てらいのない正統派という印象を受けます。料理本に「味噌ラーメンの作り方」を載せるなら、このラーメンはまさに好適ではないでしょうか。年に一度の機会なら、中華そばを選びたくなるのは仕方のないこととはいえ、もし自分がこの店に何度でも通える環境にあったとすれば、三度か四度に一度は味噌を選んでいるかもしれません。常連客からの人気も納得できる一品です。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 18:28:53 | 東北
今日も山の彼方に日が沈むのを見届けて昼の部は終了です。終始薄雲に覆われ眠たげにも映った今日の天気でしたが、おぼろげな夕日が沈んで行く様は雲一つない快晴とはまた違った風情があり、初日の夕日に負けず劣らず印象的でした。
これで序盤の三日も最後の夜桜見物を残すのみとなりました。ただしその前に済ませておかなければならないことがあります。一時帰京に備えて、持ち帰るものと車内に残して行くものを選別することです。土産と洗濯物と用済みの資料は持ち帰り、未使用の着替えと後半でも使う資料は置いて行くといった具合で、簡単そうで少々手間のかかる作業になります。加えて駐車場の確保と帰りの列車の手配も済ませなければならないため、持ち時間を考えると温泉に立ち寄る時間はないかもしれません。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 17:29:49 | 東北
時間も押し迫ってきたところで最上川の桜並木を訪ねます。川沿いの桜並木は一本調子で嫌いだと昨日申しましたが、中には例外もあります。金沢の浅野川、安曇野の黒沢川、新潟の大河津分水など、これまで訪ねた中で印象に残る桜並木を挙げろといわれれば一つや二つでは済みません。これらの名所に共通するのは、ただ桜が一直線に並んでいるだけではなく、周囲の景色や地形と渾然一体になって見事な眺めを創り出しているということにあります。このような観点から見た場合、最上川の桜並木はなかなか秀逸です。まず河原が広く、堤も高くて大河津分水にも似た開放感があります。そして、市街と駅とを結ぶ橋の上から眺めれば、緩やかに右へカーブする堤の向こうに残雪をかぶった吾妻山が聳え立ちます。そんな見事な眺めも、昨年訪ねたときにはどんより曇って全く絵にならなかったところが、今年は薄雲に覆われながらも夕日が差して、ぼんやり光る桜の花が何ともいい風情を醸し出しています。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 16:34:54 | 東北
置賜の桜は満開だと記したのも束の間、上杉神社では少しずつ花が散り始めており、濠の水面に花びらが浮かんで、風が吹けばかなりの勢いで花吹雪が舞います。木によって早咲き遅咲きの違いはあるとしても、この分だと今日明日あたりで見納めになりそうな勢いです。西米沢の桜もそう長くは持たないような様子だったことを考えると、再び戻ったときには今朝方の会津のようになっているのでしょう。近年まれにみる遅い歩みが一変、桜前線はこれまでの遅れを取り戻すかのような早さで北上しています。
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東北一周花見の旅2012前編 二日目

2012-04-30 15:33:38 | 東北
米沢市内随一の花見の名所、上杉神社に着きました。去年は近くまで来はしたものの渋滞に辟易して素通りしたため、これが二年ぶりの再訪になります。日没までの残り時間からすれば、ここと最上川の桜並木を訪ねるのが精一杯でしょう。一風呂浴びて腹ごしらえして暗くなるのを待ち、夜桜を眺めて締めくくればちょうどよさそうです。序盤戦は米沢で折り返しとなることがこれでほぼ確定しました。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 14:51:26 | 東北
腹を満たしたところで活動を再開。西米沢駅にほど近い公園を訪ねます。小学校の校庭に接する形で児童公園とゲートボール場と野球場が配された、とりたてて桜の名所というほどではないごく普通の町中の公園ながら、その外周に沿って並ぶ桜が見事です。桜はおおむね同年代と見えて皆高さが揃い、立派な幹回りからはそれなりの年輪を重ねた木であろうことが想像できます。その木が今まさに大輪の花を咲かせているのですから、絵にならないわけがありません。公園に桜目当ての見物客の姿はなく、無邪気に戯れる子供達の歓声がほほえましく思えてきます。こんなのどかな花見も時にはよいものです。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 13:38:48 | B級グルメ
喜多方ラーメンを一軒で切り上げたのはこの店のラーメンをいただくためでした。これも一年ぶりとなる「金ちゃんラーメン」を訪ねます。この店のラーメンの何がそこまでよいのかといわれれば、それは「完成されたおいしさ」という一言に尽きるのではないでしょうか。おいしいものは見た目からしておいしそうだとよくいいますが、このラーメンはまさにその手の部類に属しています。やや深めの白磁の丼に注がれた醤油味のスープは透き通っており、麺は中太の縮れ麺。そこへ丼を覆い尽くすようにチャーシューを並べ、なると、メンマと焼海苔を乗せて最後に白ネギを散らせた出来映えは、ありつく前にしみじみ眺めてしまう美しさです。この見た目からして期待を裏切ることがあるはずもなく、スープ、麺、具材とも傑出した特徴こそないものの、絶対に外れのない盤石の味わいといった感があります。チャーシューに関しては「ひさじ屋」に一歩譲るとはいえ、麺とスープに関してはこちらの方が上かもしれません。50円値上がりしてしまったとはいえ、このチャーシュー麺が700円というのはまさにお値打ち品です。

金ちゃんラーメン米沢店
米沢市林泉寺2-3-28
0238-21-3000
1130AM-1400PM/ 1700PM-1930PM(月曜定休)
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 13:01:34 | 東北
去年の花見以来、一年ぶりの米沢に着きました。まずは例によって定点観測で西米沢の駅を訪ねます。駅前に二つ並んだ桜の大木のうち、駅舎に向かって右手の桜は満開、左手の遅咲きの桜は五分咲きから見頃へ向かおうとしており、そういえばそうだったかと今更ながらに思い出します。散り際だった会津の桜に対し、置賜の桜は今まさに花盛りを迎えました。しかし、出発前には米沢で桜が咲いたという話は聞かなかったことからすると、これでも咲き始めてからたかが二日や三日の桜なのでしょう。現在の気温は20度、薄雲に覆われている分だけ昨日より気温は下がったものの、閉め切った車内の温度はたちまち上がり、外に出れば日差しが肌に当たってチリチリと熱くなってきます。要は紫外線が強いということで、日差しはもう春を過ぎて初夏のそれです。三日見ぬ間の桜かな、明日から二日間の平日をはさんで山形へ戻る頃には、この桜はもう花吹雪を散らせているのかもしれません。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 12:07:24 | 東北
喜多方ラーメンをはしごしたくなるところ、行く先の置賜地方も喜多方にひけをとらないラーメンの宝庫です。今回は一軒で切り上げ大峠を越えます。昨日一昨日の陽気から、今年はもう残雪を見ることもないかと思ったところが、沿道には昨年ここを通った時とほぼ同程度の雪が残っています。近年になかった冬の厳しさと、この春の暖かさとが釣り合って、結果としてこの程度の雪が残ったということなのでしょう。去年最後に残雪を見たのは、大型連休が終わって弘前から帰る途中のことでした。今年はいつまで雪が見られるのでしょうか。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 11:10:23 | B級グルメ
喜多方に着きました。大型連休とあって、県外ナンバーの車の数が普段の休日の比ではなく、中には西日本からの車も混じり、ラーメンの人気店にはこの時間から行列ができはじめています。その結果選択肢は半ば自動的に絞られます。このblogでは毎度おなじみの「ひさじ屋」です。ある意味予想通りとはいえ、人気店の行列をよそに先客は三人組の中年ライダーだけで、今日に限って開放された店舗奥手の座敷も用をなしていません。しかしこの閑散とした雰囲気がよいのです。

ひさじ屋
喜多方市水上6816-6
0241-22-7639
1000AM-1900PM
チャーシューメン750円
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 09:30:02 | 東北
まっすぐ北を目指すなどといいながら早くも寄り道です。南原堤の桜を訪ねます。雄国パノラマラインに向かってショートカットする広域農道からそれて田舎道を進み、最後は未舗装の道に入ってたどり着くというこの桜、道沿いに建つ看板を見るまではその存在を知りませんでした。名前からして川沿いの桜並木かというとそうではなく、会津盆地を見下ろすなだらかな丘陵の中腹に、ソメイヨシノと紅枝垂とエゾヤマザクラが針葉樹の木立に混じって咲いており、高遠での花見のときに立ち寄った信大の桜を彷彿とさせます。見方によっては北海道の桜のように思えなくもありません。要は華やかさよりも雄大さを感じさせる桜です。看板には「さくら祭り」とありながら、草地をロープで囲った仮設の駐車場以外には何もなく、涼やかな空気の中で小鳥のさえずりだけが聞こえてきます。桜の向こうに会津盆地と残雪の飯豊山が望めるという見事な絵柄も、薄曇りで眠たげに映るのがやや惜しまれ、晴れた時の光景はいかばかりかと想像したくなります。
郊外へ出た上に標高が高いこともあり、散り際だった会津若松の桜に対して、こちらの桜は満開ではないにしてもまだまだ見頃です。とはいえ、昨日眺めた鶴ヶ城の遅咲きの桜と比べても明確な差があるわけではなく、五十歩百歩といった程度の違いに過ぎません。それだけ会津の花盛りが短かったということでもあるのでしょう。
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東北一周花見の旅2012前編 三日目

2012-04-30 08:50:47 | 東北
出発します。鶴ヶ城の桜にもう一度別れを告げて去りたいのはやまやまながら、ほんの少しのつもりが一時間二時間の滞在になってしまうのは日常茶飯事です。昨晩十分に名残を惜しんだこともあり、後ろ髪を引かれながらも城址には寄らずにまっすぐ北を目指します。わずかな差で満開の時期には間に合わなかったものの、今年に関する限り満開だったといえるのはたかが一日二日のことだったようですから仕方がありません。「ぱっと咲いてぱっと散る」という桜の真骨頂を見せてくれたのが今年の若松の桜でした。また来年お会いしましょう…
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