秩父屋台囃子傳承會 覚書

秩父屋台囃子について

秩父屋台囃子太鼓ならしと稽古

2015年11月29日 | 秩父屋台囃子



秩父夜祭に向け、秩父屋台囃子太鼓ならし(お囃子の練習)が本年も屋台町会ごとに行なわれています。(写真は本年、中町町会太鼓ならしの様子です)
このならしは太鼓の皮をならし、叩き手の腕、体を慣らすと云われ祭行事の一環として行なわれます。
以前は、一年振りの祭り前一週間のみの練習でした。一週間で一年ぶりの感覚を戻す、文字どうり体を慣らす程度の練習にはほど遠いものでした。太鼓叩きは屋台の中が本番でもあり稽古場でもあります。祭り当日朝八時屋台蔵を出発し翌朝三時頃に屋台蔵に戻る間、一日中屋台の中で叩くことが最高の稽古になり子供たちは、目を見張るような上達をしました。狭い屋台の中で先輩方の叩く手を真近に見ることと本番の緊張感が上達させる、これが伝承とつくづく思います。最近は、一年を通して各町会秩父屋台囃子の練習を行なっていますが、やはり時代が変わっても最高の稽古場は屋台の中ではないかと思います。




秩父屋台囃子の稽古にお付き合いする中で気づかされることが多々あります。
当初は、叩いて見せれば理解されると思っていました。しかし、そう簡単にはいきませんでした。
秩父屋台囃子は、見て聴いて他人の技を盗む。職人の世界と同じなんだと云われて来ました。確かに、屋台町に生まれ、小さい頃から太鼓の音の中に居た者は理屈抜きで自然に吸収していきました。当稽古場に来られる方々は、秩父以外からも多く、その方々はなぜ、テケテッケなのか、大波と小波はなぜ左手から打つのか、さまざまな疑問が毎回湧いて来ます。この疑問に答えるには、叩いて見せても納得してもらえず、的確な説明が必要でした。説明するに当たって秩父屋台囃子の拍子、節がどのようになっているか、大太鼓の一打一打がどのように小太鼓の拍子に乗っているか等、節を分解、分析するという地道な作業が始まりました。すると、今更ながら秩父屋台囃子にはある決まり事によって成り立っていることに改めて気づかされました。それは、小太鼓の拍子テケテッケそこにありました。
どうあがいても小太鼓という手のひらの上で転がされ、小太鼓の拍子に乗せて初めて秩父屋台囃子の節は表現することができる。ということです。このことは、昔から云われている通り秩父屋台囃子の基本は小太鼓の拍子、正に「その通り」と改めて思い知らされました。




秩父屋台囃子は伝承芸能です。
伝承は連綿と同じ形で受け継がれていくことが理想です。
現在の秩父屋台囃子に変わって60年余りと云われています。現状の秩父屋台囃子は、伝統を踏まえた変化と伝統を踏まえつつも創作的に変化した部分が混ざり合い、60年を経てさまざまにとらえられ、伝統的な部分が薄らいできている様に思います。秩父屋台囃子は、手取り足取りの指導も無く、子供や若い衆は先輩方の叩く姿、叩き方を手本として見聴きし真似から始め自分なりに節を組み立てていきます。この時、手本とし目標とした先輩方の叩き方によって大きく叩き方は左右されまた、各自の好みで秩父屋台囃子をとらえることでここでも大きく分かれていきます。時代や世代、人によって変わる伝承芸能の難しさがそこにあるように思います。
変わることなく伝承するためにも秩父屋台囃子の基本中の基本とされる小太鼓の拍子を原点に立ち返り考える時のように思います。



秩父屋台囃子傳承會 守屋泰之









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秩父神社例大祭(秩父夜祭)

2015年11月05日 | 
秩父神社例大祭が例年通り行なわれます。

秩父屋台囃子を聴きながらゆっくりと見物するには宵宮がお勧めです。風情があり地元人の祭りといった感があります。






秩父屋台囃子傳承會 守屋泰之



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする