※ 毎度恒例、食後のトランプ(カブ)
クリック♪
4日朝、お正月旅行(片山津温泉1泊の旅)へ向けて出発。
大阪駅で息子と落ち合い、‘サンダーバード金沢行き’ に乗車。
その後、京都から野間五段が乗り込み、森家のお正月旅行恒例のメンバーが揃った。
福井周辺の雪景色を楽しみながら、加賀温泉駅まで2時間と少しの旅を楽しむ。
途中、車内販売の駅弁で昼食にするが(野間五段=あなご寿司、息子=幕の内、N=さば寿司、私=ますずし)
ますずしを、笹の葉ごと切るかどうかで、ちょっと揉めた。
切ったあとで笹を広げると、ボロボロにちぎれた笹がお寿司にへばりつき、ものすごく食べにくくなる。
オマケに、食後しばらくは手がずっとマス臭かった(味はいいけど、もう絶対に食べないぞ)
ますずし
それにしても車内がやたらと暑い。
トイレへ立つと、気分の悪くなった男の子と女の子が1人ずつしゃがんでいる。
「ゲームなんかするからやで。 もうヤメとき」 女の子の親がつぶやく。
ゲームというよりは、カンペキに暑さのせいだと思った。
加賀温泉駅へ到着。
数年前のお正月旅行、山中温泉の旅をなつかしく思い出す。
あの時は白銀の世界だったが、今回は青空にキラキラお日様で、ぬくい事ぬくい事
「なんやー、これ! 大阪より暖かいやん」
駅の向こうには、にぶく金色に輝く巨大な観音像がそびえている。
駅へ戻り、12時27分発金沢行き普通電車に乗って ‘小松’ にて下車。
駅前のタクシーに乗り込み、一行はベースボールミュージアムを目指す。
「帰りにタクシーをつかまえるのは、まずムリですよ」
「タクシーで観光というのが絶対にオススメです。 良かったらどうですか?」
最初はおとなしくてイイ運転手さんだと思っていたが、意外に商売熱心だ?
降りるときも、「ここで待ってますから」 としつこく言われ、Nが苦戦を強いられていた
バットを構えた、幼き日の松井選手の像を見てベースボールミュージアムの中へ入る。
思っていたよりも豪華な建物で、松井選手のパネル、記念の盾・トロフィー、愛用していたユニフォームやバット、グローブなど・・・野球少年がコーフンしそうな展示品でいっぱいだ。
松井選手への一問一答を印刷したパネルで、
‘ ご近所さんからの質問・・・・
『秀喜ちゃんが、幸せだなあと思うときは?』
そうだなあ・・・・・
朝、目が覚めて
今日は試合がないから
まだ寝てられる!
と、分かったときかな・・・・・
07、1、5 ’
というのがあって、私はこれが1番印象に残った。
ゴジラもやっぱり人の子なのだ
最後にミュージアムクッキーや記念腕時計を買って建物を出る。
そばにあるという松井秀喜の実家はわからなかった。
ミュージアム前に数台のタクシーが停まっていたが、恐れていた先ほどの運転手さんは居なかった。
ホッとしながらタクシーに乗り込み、再び小松駅を目指す。
加賀温泉駅までの車内で、ジャージ姿の女子高校生のグループのひとりが気分が悪くなって戻していた。
若い車掌さんが、慣れぬ様子でバケツやフキンを持って駆けずり回る
それにしても、どの電車も車内の暖房が効きすぎている。
しっかりと着込んでいるのは、大きな荷物を持った観光客ばかりだ。
地元の人たちは、子どもから大人まで皆けっこうな薄着でビックリする。
加賀温泉駅前ロータリーから、旅館の送迎バスに乗り込む。
雪をいただく山々を眺めながら、ホテルまでの10分ほどの道のりをルンルン気分で過ごす
ひなびた雰囲気の歓楽街を抜け、加賀観光ホテルへ到着。
「わあ! 大きなホテルやな~」 珍しくNが叫ぶ。
(注: 「大きい」 というのはあくまでも建物の大きさで、「豪華」 というワケでは決してない。 念のため)
チェックイン後、ハスキーボイスの仲居さんに連れられ7階へ上がる。
廊下へズラリと並んだドアの列を見ながら、遠き日の修学旅行を思い出した。
部屋へ入り、すぐに奥の窓へ突進する。
窓外の景色というのは、私にとって最も重要な宿選びのポイントなのだ!
寒さでくもったガラス戸を開けると、眼下いっぱいに柴山潟が広がった。
ワ~イ
大きな湖のような柴山潟は想像以上に広く、湾曲した入り江沿いには小さな温泉旅館がポツポツと並んでいる。
ちょっと離れた潟の中ほどに、小さなアズマヤのようなものが見えた。
「あれがウキウキ弁天ですか?」
仲居さんに尋ねると、「そうです。 弁天さんを祀った浮御堂(うきみどう)です」
「歩いて行けるんですか?」
「ええ。 すぐですよ」
夕食までまだずいぶん時間があるので行ってみる事にする。
外はかなり暖かい。
本当に、これなら清荒神のほうがよっぽど寒いぐらいだ。
途中、ちょっとアヤシゲな店を発見。
『台●』 『重●室』 の店名が書かれている。
「写真撮ったらアカンで!」
Nがコワい顔して言うが、番の男性がいなくなった隙にパチリ♪
(もちろん今回アップはいたしません)
20メートルほどの桟橋で結ばれた浮御堂に到着。
‘うきうき弁天’という呼称は1万人の一般公募から選ばれたものらしいが、どこがウキウキなのかよく分からない。
柴山潟の遠く向こうに広がる白い山々をバックに、野間五段と息子を記念撮影。
気持ちのいい風景の中だと、自然、表情もよくなる。
その後、片山津温泉の守護寺として有名な 『愛染寺』へ寄った。
野間さんが縁結びの護摩木、息子が厄除け(今年が前厄)の護摩木に願い事を書いてお坊さんに渡す。
Nと私はオミクジを引き、Nは小吉、私は大吉だった。
「きょうはどちらへお泊りですか?」
品の良いお坊さんに尋ねられ、ちょっとドギマギする
「えっと、あの、加賀○○旅館です」
「そうですか。 あそこはお風呂がよい旅館ですよ」
ウットリするほど良い声だ。
(まだ独身なのかなァ)
こういうのを ‘煩悩’ と呼ぶのだろうか・・・・
愛染寺からの細い坂を下ると、『英国屋』と書かれた小さな店が目についた。
「あれ、こんなところに喫茶店?」
でも、なんか様子がヘンだ。
建物の入り口に、太った男性が1人ジッと腰かけている。
通り過ぎながら良く見ると、英国屋の文字のそばに 『ソ○○○○ド』 と書かれていた。
ドッヒャ~!! なんと大胆
先ほどのお坊さんの姿を思い出し、悲しくなってしまった
宿へ戻り、食事の前にお風呂へ行く。
ここはお風呂の種類が多いのが売りの宿なので、ルンルン気分で浴場へ向かった。
ガラリと浴室のドアを開けたとたん、もうもうと立つ湯気で一寸先も見えない。
そろりそろりと慎重に歩き、体を洗って湯船を探す。
最初から露天は寒いので、手前の ‘トルマリンの湯’ と書かれた小さな湯船に入ろうと足を入れる。
が・・・・
キョエ~~~! あ、あ、熱い~~~!!!
足をやけどしてしまった
真っ白な湯気の向こうには、肩まで浸かる人のシルエットがひとつ。
こんな熱いお湯に入るなんて・・・・人間技とは思えない。
仕方が無いので、ガタガタ震えながら露天風呂へ移動。
ここは、暮れゆく柴山潟が見渡せる絶好のロケーションだ。
「あ、ここのお湯、しょっぱい!」
「うわ、本当だ。 やっぱり海の水が流れ込んできてるんやろうねえ」
試しにペロッと舐めてみると、完全に海水だった。
しばらくすると、そう広くない露天があっという間にいっぱいになる。
大勢詰め合って湯船に浸かる姿は、まるでニホンザルの集団だ。
それにしても、湯船の数だけで20以上あるという触れ込みの宿なのに、露天は1つ、屋内も3つだけの浴槽しかないのがちょっとヘンだ。
(湯気で見えなかったのかなぁ)と思いつつ再び屋内へ戻るが、浴槽はやっぱり3つほどだった。
これって・・・・サギ???
キツネにつままれたような気分で休憩所へ出る。
満足そうな表情でやって来たNに、「お風呂、たくさんあった?」 と聞くと
「ああ、あったで。 露天だけで10ぐらいあったやろ?」
(ウッソ~~~!!??)
「露天なんて1こだけだよ。 屋内の浴槽だって3つぐらいしか無かったし」
「ええー?? 湯気で見えなかったんと違う?」
「いーや! 気をつけながら探したけど全然なかったよっ」
まあ、夜の8時半から男女入れ替えになるらしいので、ひとまず怒りは治める。
6時過ぎから夕食。
カニがイッパイずつ付き、お造り、ホタテのほうろく焼き、つくねと野菜入りの小鍋、鯛の煮つけ(これが最高にオイシカッタ)海鮮チラシ寿司など・・・
「うへえ~! こんなに食べられないよ、どうしよう」
そのあとも、加賀名物の治部煮、お刺身のカルパッチョ、サイコロステーキなど。
しかし、思っていたよりもスルリスルリ、順調に胃袋へ治まる。
ヘンな天ぷらとか付いていないのが助かった(びんぼう性なので、なかなか残せないのだ)
森家3人は素早く食べ終わり、「うう・・お腹パンパンだあ~」 とその場へ引っくり返る。
その中で野間五段が1人、ていねいにカニの身をはずしながら黙々と食べ続けている。
「野間さんはいつもユックリだねー」
「どうしてみんなそんなに早いんですか??」
毎回毎回、正月旅行のたんびに繰り広げられる、変わらぬ光景だ。
食後ひと休みしたあと、これも恒例のトランプ大会が始まる。
カブ、インディアンポーカーと続くが、カブはもうひとつ分からなくてあまり楽しくなかった。
やっぱりオールが1番オモシロイ
二組のトランプを混ぜ合わせ、小銭1枚50円のレート、10点賭けまでのリミットを設けて開始。
ギャーギャー叫びつつ、無礼講な一夜を楽しく過ごす。
ちなみに本日の結果は
野間五段・・・・・1200円プラス
息子・・・・・・・850円プラス
N・・・・・・・・550円マイナス
ルンルン・・・・・900円マイナス
若者組みの圧勝となった
寝しな、息子以外の3人でもう1度お風呂へ入る。
男女入れ替わりの浴室へ入ると、先ほどとは打って変わって様々な浴槽があった
露天にある、アラビアンナイトの盗賊達が隠れたような大きなカメ型の浴槽が、ぬるくて気持ちいい。
1時の営業終了時刻ギリギリだったので、お客は私以外に1人だけ。
相変わらずもうもうと立ち登る湯気のため、視界はまったく利かない。
ほとんど無人の広い浴場を1人手探りで歩くのは、ちょっと恐ろしかった。
浴室を出ると履物(宿のスリッパ)が1つも無い。
仕方がないのでハダシで休憩所へ出ると、Nが1人で待っていた。
「あ。 履物どうしたん?」
「知らない。 出てきたら1こも無くなってた」
「履物がないから、もう1人で部屋に帰ったんかなあと思って・・・今、野間くんが探しに行ってるんやで」
合わんの呼吸だ・・・・
部屋へ戻って、夕方通ったアヤシイ店の話しなどで盛り上がる。
寝ていたはずの息子もムックリ起き上がり、興味津々で参加(この手の話しは親子そろって大好きなのだ)
そのうち、さすがにマブタが重くなってきて就寝。
寝る前に窓をあけ、星が出ていないかどうか確認するが、1つも見えなかった。
「これだけ暑いし(部屋の暖房はとうに切ってある)、明日は雨かなあ・・・」
布団へもぐりこむと、すぐさま夢の世界へ入ってしまったようだ
朝、1番に目を覚ます。
旅行に出ると誰よりも早起きしてそこらを散策するNも、そろそろ歳のせいだろうか。
今回はまだスヤスヤと眠っている。
7時半過ぎにようやく全員が起きだし、1階の食堂へバイキングの朝食をとりに行く。
ピンクの自動ピアノが鳴り響く広い食堂では、お盆を持ってご飯やお味噌汁をよそってもらう人たちの列が出来ていた。
おかずやご飯を乗せたお盆を持ったまま席を探すが、どのテーブルも埋まっていてなかなか座れない。
やっと空いた思うと、横からサッと取られてしまうのだ。
お盆を持ってかなりウロウロした末、なんとか席を確保する。
食堂をザッと見渡すと200人以上は座っているだろう。
入り口からは、新しい家族連れが途切れなく入ってくる。
「この人数じゃ、ちょっとムリがあるなあ・・・」 Nがつぶやく。
まあ、1年で1番のかきいれどきだから仕方ないのかも知れない。
ふつうのご飯の他におかゆさんも食べるとキモチ悪くなってしまった。
部屋へ戻り、Nが4回目のお風呂行き。
その後チェックアウトを終え、9時50分の送迎バスで加賀温泉駅まで行く。
大聖寺までの電車が無く、タクシーで九谷美術館へ。
青手の間にある‘青手古九谷’がことのほか美しい。
伊万里焼きとは違う、独特の魅力を感じた。
その後、館内の ‘茶房「古九谷」’へ入る。
Nと野間五段、息子の3人が1番高い‘大紅砲(超高級中国茶)セット’を注文。
私は‘陳年プーアール茶’。
清潔で広々とした店内には、現代九谷焼き作家の作品が値段をつけて飾られている。
ゆっくり眺めているうちに、ひとつの珈琲カップがどうしても欲しくなってしまった。
黒百合が描かれたデミタスカップだが、値段が・・・・・
「ねえ・・・このコーヒーカップ、欲しいなあ」
「いくらするん?」
「えっとねェ、○万○千円・・・」
「ハア~?(なに考えてんのという表情)」
「でもさ、今まで旅行のときに買った食器って、高いけどすごくいい思い出になってるやん。 使うたびに、‘ああ、あの時こんな事があったな あんな事もあったな’って楽しく思いだせるやん」
「ふん、ウマイこと言うなあ」
「だって本当の事じゃん。 山中温泉でさんざん迷って買ったクローバーのお皿もそうだし、伊万里で買ったお皿だって毎日飽きずに使ってるし」
「皿なんて100円ショップので充分やろ、どうせ割れるんやから」
「そんな事ないよ! 100円のお皿なら100円分、1000円のお皿なら1000円分の楽しさしか味わえないもんだよ。 これなら使うたびに一生楽しめるよ、きっと。
割れたら割れたでしょうがないじゃん。 大切なものなら接着剤で貼って使い続けてもいいんだから」
「ハア~~」
「ね!? 2人で半額ずつ出せば買えない事ないやん。 なんだったら幸士(息子)と野間さんにも加わってもらって4人で共同出資という手もあるよ」
「(3人揃って)ハア~~~???」
結局、根負けしたNからOKが出る (♪タラッタラッタラッタラッ)
美術館を出たあと、庭園を横ぎって近くの全昌寺まで歩く。
ここは芭蕉と、その弟子‘曽良’が宿泊したお寺で
「庭掃いて出ばや寺に散る柳(芭蕉)」
「終夜(よもすがら)秋風聞くやうらの山(曽良)」 の碑や額がある。
この辺り一帯は大聖寺という町で、そのまま歩いて深田久弥記念碑を目指す。
大聖寺川沿いに
疲れたので、きょうはここまで (後編に続く)
クリック♪
4日朝、お正月旅行(片山津温泉1泊の旅)へ向けて出発。
大阪駅で息子と落ち合い、‘サンダーバード金沢行き’ に乗車。
その後、京都から野間五段が乗り込み、森家のお正月旅行恒例のメンバーが揃った。
福井周辺の雪景色を楽しみながら、加賀温泉駅まで2時間と少しの旅を楽しむ。
途中、車内販売の駅弁で昼食にするが(野間五段=あなご寿司、息子=幕の内、N=さば寿司、私=ますずし)
ますずしを、笹の葉ごと切るかどうかで、ちょっと揉めた。
切ったあとで笹を広げると、ボロボロにちぎれた笹がお寿司にへばりつき、ものすごく食べにくくなる。
オマケに、食後しばらくは手がずっとマス臭かった(味はいいけど、もう絶対に食べないぞ)
ますずし
それにしても車内がやたらと暑い。
トイレへ立つと、気分の悪くなった男の子と女の子が1人ずつしゃがんでいる。
「ゲームなんかするからやで。 もうヤメとき」 女の子の親がつぶやく。
ゲームというよりは、カンペキに暑さのせいだと思った。
加賀温泉駅へ到着。
数年前のお正月旅行、山中温泉の旅をなつかしく思い出す。
あの時は白銀の世界だったが、今回は青空にキラキラお日様で、ぬくい事ぬくい事
「なんやー、これ! 大阪より暖かいやん」
駅の向こうには、にぶく金色に輝く巨大な観音像がそびえている。
駅へ戻り、12時27分発金沢行き普通電車に乗って ‘小松’ にて下車。
駅前のタクシーに乗り込み、一行はベースボールミュージアムを目指す。
「帰りにタクシーをつかまえるのは、まずムリですよ」
「タクシーで観光というのが絶対にオススメです。 良かったらどうですか?」
最初はおとなしくてイイ運転手さんだと思っていたが、意外に商売熱心だ?
降りるときも、「ここで待ってますから」 としつこく言われ、Nが苦戦を強いられていた
バットを構えた、幼き日の松井選手の像を見てベースボールミュージアムの中へ入る。
思っていたよりも豪華な建物で、松井選手のパネル、記念の盾・トロフィー、愛用していたユニフォームやバット、グローブなど・・・野球少年がコーフンしそうな展示品でいっぱいだ。
松井選手への一問一答を印刷したパネルで、
‘ ご近所さんからの質問・・・・
『秀喜ちゃんが、幸せだなあと思うときは?』
そうだなあ・・・・・
朝、目が覚めて
今日は試合がないから
まだ寝てられる!
と、分かったときかな・・・・・
07、1、5 ’
というのがあって、私はこれが1番印象に残った。
ゴジラもやっぱり人の子なのだ
最後にミュージアムクッキーや記念腕時計を買って建物を出る。
そばにあるという松井秀喜の実家はわからなかった。
ミュージアム前に数台のタクシーが停まっていたが、恐れていた先ほどの運転手さんは居なかった。
ホッとしながらタクシーに乗り込み、再び小松駅を目指す。
加賀温泉駅までの車内で、ジャージ姿の女子高校生のグループのひとりが気分が悪くなって戻していた。
若い車掌さんが、慣れぬ様子でバケツやフキンを持って駆けずり回る
それにしても、どの電車も車内の暖房が効きすぎている。
しっかりと着込んでいるのは、大きな荷物を持った観光客ばかりだ。
地元の人たちは、子どもから大人まで皆けっこうな薄着でビックリする。
加賀温泉駅前ロータリーから、旅館の送迎バスに乗り込む。
雪をいただく山々を眺めながら、ホテルまでの10分ほどの道のりをルンルン気分で過ごす
ひなびた雰囲気の歓楽街を抜け、加賀観光ホテルへ到着。
「わあ! 大きなホテルやな~」 珍しくNが叫ぶ。
(注: 「大きい」 というのはあくまでも建物の大きさで、「豪華」 というワケでは決してない。 念のため)
チェックイン後、ハスキーボイスの仲居さんに連れられ7階へ上がる。
廊下へズラリと並んだドアの列を見ながら、遠き日の修学旅行を思い出した。
部屋へ入り、すぐに奥の窓へ突進する。
窓外の景色というのは、私にとって最も重要な宿選びのポイントなのだ!
寒さでくもったガラス戸を開けると、眼下いっぱいに柴山潟が広がった。
ワ~イ
大きな湖のような柴山潟は想像以上に広く、湾曲した入り江沿いには小さな温泉旅館がポツポツと並んでいる。
ちょっと離れた潟の中ほどに、小さなアズマヤのようなものが見えた。
「あれがウキウキ弁天ですか?」
仲居さんに尋ねると、「そうです。 弁天さんを祀った浮御堂(うきみどう)です」
「歩いて行けるんですか?」
「ええ。 すぐですよ」
夕食までまだずいぶん時間があるので行ってみる事にする。
外はかなり暖かい。
本当に、これなら清荒神のほうがよっぽど寒いぐらいだ。
途中、ちょっとアヤシゲな店を発見。
『台●』 『重●室』 の店名が書かれている。
「写真撮ったらアカンで!」
Nがコワい顔して言うが、番の男性がいなくなった隙にパチリ♪
(もちろん今回アップはいたしません)
20メートルほどの桟橋で結ばれた浮御堂に到着。
‘うきうき弁天’という呼称は1万人の一般公募から選ばれたものらしいが、どこがウキウキなのかよく分からない。
柴山潟の遠く向こうに広がる白い山々をバックに、野間五段と息子を記念撮影。
気持ちのいい風景の中だと、自然、表情もよくなる。
その後、片山津温泉の守護寺として有名な 『愛染寺』へ寄った。
野間さんが縁結びの護摩木、息子が厄除け(今年が前厄)の護摩木に願い事を書いてお坊さんに渡す。
Nと私はオミクジを引き、Nは小吉、私は大吉だった。
「きょうはどちらへお泊りですか?」
品の良いお坊さんに尋ねられ、ちょっとドギマギする
「えっと、あの、加賀○○旅館です」
「そうですか。 あそこはお風呂がよい旅館ですよ」
ウットリするほど良い声だ。
(まだ独身なのかなァ)
こういうのを ‘煩悩’ と呼ぶのだろうか・・・・
愛染寺からの細い坂を下ると、『英国屋』と書かれた小さな店が目についた。
「あれ、こんなところに喫茶店?」
でも、なんか様子がヘンだ。
建物の入り口に、太った男性が1人ジッと腰かけている。
通り過ぎながら良く見ると、英国屋の文字のそばに 『ソ○○○○ド』 と書かれていた。
ドッヒャ~!! なんと大胆
先ほどのお坊さんの姿を思い出し、悲しくなってしまった
宿へ戻り、食事の前にお風呂へ行く。
ここはお風呂の種類が多いのが売りの宿なので、ルンルン気分で浴場へ向かった。
ガラリと浴室のドアを開けたとたん、もうもうと立つ湯気で一寸先も見えない。
そろりそろりと慎重に歩き、体を洗って湯船を探す。
最初から露天は寒いので、手前の ‘トルマリンの湯’ と書かれた小さな湯船に入ろうと足を入れる。
が・・・・
キョエ~~~! あ、あ、熱い~~~!!!
足をやけどしてしまった
真っ白な湯気の向こうには、肩まで浸かる人のシルエットがひとつ。
こんな熱いお湯に入るなんて・・・・人間技とは思えない。
仕方が無いので、ガタガタ震えながら露天風呂へ移動。
ここは、暮れゆく柴山潟が見渡せる絶好のロケーションだ。
「あ、ここのお湯、しょっぱい!」
「うわ、本当だ。 やっぱり海の水が流れ込んできてるんやろうねえ」
試しにペロッと舐めてみると、完全に海水だった。
しばらくすると、そう広くない露天があっという間にいっぱいになる。
大勢詰め合って湯船に浸かる姿は、まるでニホンザルの集団だ。
それにしても、湯船の数だけで20以上あるという触れ込みの宿なのに、露天は1つ、屋内も3つだけの浴槽しかないのがちょっとヘンだ。
(湯気で見えなかったのかなぁ)と思いつつ再び屋内へ戻るが、浴槽はやっぱり3つほどだった。
これって・・・・サギ???
キツネにつままれたような気分で休憩所へ出る。
満足そうな表情でやって来たNに、「お風呂、たくさんあった?」 と聞くと
「ああ、あったで。 露天だけで10ぐらいあったやろ?」
(ウッソ~~~!!??)
「露天なんて1こだけだよ。 屋内の浴槽だって3つぐらいしか無かったし」
「ええー?? 湯気で見えなかったんと違う?」
「いーや! 気をつけながら探したけど全然なかったよっ」
まあ、夜の8時半から男女入れ替えになるらしいので、ひとまず怒りは治める。
6時過ぎから夕食。
カニがイッパイずつ付き、お造り、ホタテのほうろく焼き、つくねと野菜入りの小鍋、鯛の煮つけ(これが最高にオイシカッタ)海鮮チラシ寿司など・・・
「うへえ~! こんなに食べられないよ、どうしよう」
そのあとも、加賀名物の治部煮、お刺身のカルパッチョ、サイコロステーキなど。
しかし、思っていたよりもスルリスルリ、順調に胃袋へ治まる。
ヘンな天ぷらとか付いていないのが助かった(びんぼう性なので、なかなか残せないのだ)
森家3人は素早く食べ終わり、「うう・・お腹パンパンだあ~」 とその場へ引っくり返る。
その中で野間五段が1人、ていねいにカニの身をはずしながら黙々と食べ続けている。
「野間さんはいつもユックリだねー」
「どうしてみんなそんなに早いんですか??」
毎回毎回、正月旅行のたんびに繰り広げられる、変わらぬ光景だ。
食後ひと休みしたあと、これも恒例のトランプ大会が始まる。
カブ、インディアンポーカーと続くが、カブはもうひとつ分からなくてあまり楽しくなかった。
やっぱりオールが1番オモシロイ
二組のトランプを混ぜ合わせ、小銭1枚50円のレート、10点賭けまでのリミットを設けて開始。
ギャーギャー叫びつつ、無礼講な一夜を楽しく過ごす。
ちなみに本日の結果は
野間五段・・・・・1200円プラス
息子・・・・・・・850円プラス
N・・・・・・・・550円マイナス
ルンルン・・・・・900円マイナス
若者組みの圧勝となった
寝しな、息子以外の3人でもう1度お風呂へ入る。
男女入れ替わりの浴室へ入ると、先ほどとは打って変わって様々な浴槽があった
露天にある、アラビアンナイトの盗賊達が隠れたような大きなカメ型の浴槽が、ぬるくて気持ちいい。
1時の営業終了時刻ギリギリだったので、お客は私以外に1人だけ。
相変わらずもうもうと立ち登る湯気のため、視界はまったく利かない。
ほとんど無人の広い浴場を1人手探りで歩くのは、ちょっと恐ろしかった。
浴室を出ると履物(宿のスリッパ)が1つも無い。
仕方がないのでハダシで休憩所へ出ると、Nが1人で待っていた。
「あ。 履物どうしたん?」
「知らない。 出てきたら1こも無くなってた」
「履物がないから、もう1人で部屋に帰ったんかなあと思って・・・今、野間くんが探しに行ってるんやで」
合わんの呼吸だ・・・・
部屋へ戻って、夕方通ったアヤシイ店の話しなどで盛り上がる。
寝ていたはずの息子もムックリ起き上がり、興味津々で参加(この手の話しは親子そろって大好きなのだ)
そのうち、さすがにマブタが重くなってきて就寝。
寝る前に窓をあけ、星が出ていないかどうか確認するが、1つも見えなかった。
「これだけ暑いし(部屋の暖房はとうに切ってある)、明日は雨かなあ・・・」
布団へもぐりこむと、すぐさま夢の世界へ入ってしまったようだ
朝、1番に目を覚ます。
旅行に出ると誰よりも早起きしてそこらを散策するNも、そろそろ歳のせいだろうか。
今回はまだスヤスヤと眠っている。
7時半過ぎにようやく全員が起きだし、1階の食堂へバイキングの朝食をとりに行く。
ピンクの自動ピアノが鳴り響く広い食堂では、お盆を持ってご飯やお味噌汁をよそってもらう人たちの列が出来ていた。
おかずやご飯を乗せたお盆を持ったまま席を探すが、どのテーブルも埋まっていてなかなか座れない。
やっと空いた思うと、横からサッと取られてしまうのだ。
お盆を持ってかなりウロウロした末、なんとか席を確保する。
食堂をザッと見渡すと200人以上は座っているだろう。
入り口からは、新しい家族連れが途切れなく入ってくる。
「この人数じゃ、ちょっとムリがあるなあ・・・」 Nがつぶやく。
まあ、1年で1番のかきいれどきだから仕方ないのかも知れない。
ふつうのご飯の他におかゆさんも食べるとキモチ悪くなってしまった。
部屋へ戻り、Nが4回目のお風呂行き。
その後チェックアウトを終え、9時50分の送迎バスで加賀温泉駅まで行く。
大聖寺までの電車が無く、タクシーで九谷美術館へ。
青手の間にある‘青手古九谷’がことのほか美しい。
伊万里焼きとは違う、独特の魅力を感じた。
その後、館内の ‘茶房「古九谷」’へ入る。
Nと野間五段、息子の3人が1番高い‘大紅砲(超高級中国茶)セット’を注文。
私は‘陳年プーアール茶’。
清潔で広々とした店内には、現代九谷焼き作家の作品が値段をつけて飾られている。
ゆっくり眺めているうちに、ひとつの珈琲カップがどうしても欲しくなってしまった。
黒百合が描かれたデミタスカップだが、値段が・・・・・
「ねえ・・・このコーヒーカップ、欲しいなあ」
「いくらするん?」
「えっとねェ、○万○千円・・・」
「ハア~?(なに考えてんのという表情)」
「でもさ、今まで旅行のときに買った食器って、高いけどすごくいい思い出になってるやん。 使うたびに、‘ああ、あの時こんな事があったな あんな事もあったな’って楽しく思いだせるやん」
「ふん、ウマイこと言うなあ」
「だって本当の事じゃん。 山中温泉でさんざん迷って買ったクローバーのお皿もそうだし、伊万里で買ったお皿だって毎日飽きずに使ってるし」
「皿なんて100円ショップので充分やろ、どうせ割れるんやから」
「そんな事ないよ! 100円のお皿なら100円分、1000円のお皿なら1000円分の楽しさしか味わえないもんだよ。 これなら使うたびに一生楽しめるよ、きっと。
割れたら割れたでしょうがないじゃん。 大切なものなら接着剤で貼って使い続けてもいいんだから」
「ハア~~」
「ね!? 2人で半額ずつ出せば買えない事ないやん。 なんだったら幸士(息子)と野間さんにも加わってもらって4人で共同出資という手もあるよ」
「(3人揃って)ハア~~~???」
結局、根負けしたNからOKが出る (♪タラッタラッタラッタラッ)
美術館を出たあと、庭園を横ぎって近くの全昌寺まで歩く。
ここは芭蕉と、その弟子‘曽良’が宿泊したお寺で
「庭掃いて出ばや寺に散る柳(芭蕉)」
「終夜(よもすがら)秋風聞くやうらの山(曽良)」 の碑や額がある。
この辺り一帯は大聖寺という町で、そのまま歩いて深田久弥記念碑を目指す。
大聖寺川沿いに
疲れたので、きょうはここまで (後編に続く)
田舎の温泉は熱い湯が多いです。先日水を入れようとした若者をしかったおじいさんは真っ赤になりながら無理して入ってました。
でも、それってきっと良いことですよね。
新陳代謝のよい体質という気がします
>田舎の温泉は熱い湯が多いです
確かにそうかも知れませんね。
夏休みや冬休みのたびに泊まっていた田舎の祖父の家でも、毎回すごい熱いお湯なのがイヤでした。
若者をしかったおじいさんのように、いつも真っ赤になりながら出ていました
愛染寺の住職でございます。
その節はお参りくださいましてありがとうございました。更には大変有り難くもあり、恥ずかしくもありますがお褒め頂き感謝申し上げます。
また機会がございましたら片山津温泉へ、愛染時へお越しください。その時はぜひお声をおかけください。お待ちいたしております。
合掌
コメント拝見した瞬間は腰が抜けるほどビックリしましたが、そのあと徐々にうれしさが増し、きょう1日はずっとウキウキ気分でした
申し遅れましたが、あの節はお世話になりました。
勝手にお堂へ上がりこんだ私たちに優しく声をおかけ下さったことを、今では大変感謝しております。
おかげさまで、片山津温泉1泊2日の旅は大変心に残るよい旅となりました。
関西からは行きやすいルートですので、また必ずお邪魔させて頂きたいと思います。
愛染寺のHPも早速拝見させて頂いたのですが、お盆にはあの柴山潟で燈籠流しがあるのですね。
想像するだけで幻想的です。
最後に、
まことに勝手ではありますが、きょう(4月1日)の当ブログページに、愛染寺のHPを掲載させて頂きたいと思います。
それでは、又いつかお会いできます時を心から楽しみにしております。
ありがとうございました
拙寺のサイトはアップしないことで有名(!?)でしてお恥ずかしいのですが、有り難いご配慮、感謝申し上げます。
近々業者様にお願いし、新しく生まれ変わる予定です。その際にはドメインも取得しますのでアドレスが変わります。欧し訳ございませんがご承知おきくださいませ。
ところで、拙寺の燈籠流しは自分で言うのもおかしいのですが、本当に素晴らしい行事です。是非一度ご参加くださいませ。
普通のメールでのやり取りになってもいけませんのでこれにて失礼いたします。有難うございました。
合掌
新HPの開設が決まりましたなら、恐縮ですが、又ご一報頂けると幸いです。
燈籠流し、ゼヒ拝見してみたいです!
きっと大勢の方が集まるのでしょうね。
1度真剣にスケジュールを考えてみたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます
ご無沙汰しております。片山津温泉の愛染寺でございます。
お元気でご活躍のことと存じます。
それにしても暑いですね。7月の中旬でこう暑いとアツイが「熱い」になってしまいそうです。
さて、拙寺サイトの件です。あまり新しくは生まれ変わってはおりませんが、トップページは 少し! 変わりました。
アドレスもドメインを取得しました(との表現で良いのですよね)。
下↓の通りです。
http://aizenji.jp/
どうしようもなくお暇な時にでもお越しくださいませ。
リンク等々課題も先送りですが(お許しください)、とにかくご報告まで。
では。
合掌
そしてまずはトップページのリニューアル、おめでとうございます
竹内さまからのコメントを読み、久しぶりで今年のお正月旅行記を読み返す事となったのですが、結構なつかいです。
旅の道中で親切にしてもらった思い出というのはやっぱり大きいですね。
機会を見つけ、また必ずお邪魔させて頂きます。
こちら関西では、きのう梅雨明けしました。
今はセミがうるさく鳴いております。
そちらも間もなく精霊流しの大イベントですね。
暑さにはどうぞくれぐれも気をつけてお過ごし下さいませ。