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まんがで哲学しよう(あの哲学者たちの難解思想がサクッとわかる)(別冊宝島1743)

2013年04月24日 | ★☆☆☆☆
『(哲学ってそういうことだったのか!!)まんがで哲学しよう(あの哲学者たちの難解思想がサクッとわかる)(別冊宝島1743) 』
三井貴之 (監修), 古川日向 (漫画)


宝島社 (発行)
B5判、ソフトカバー、128ページ
2011/03/15発行
ISBN-13 978-4-7966-8095-0
NDC分類: 130.4


定価 :840円(税込み)


 内容(下記出版社の紹介ページより)
哲学っていったい何なの?現在の時事問題、社会問題などにコミットさせ、哲学の「本質」をわかりやすくまんがで紹介します。


哲学研究所へようこそ p.02
目次 p.03
[第1章]哲学とは何か  今と違う感じ方を見つけるための冒険 p.04
  解説  哲学は世界や自然を「謎」とみて解き明かしたいという欲求から生まれた p.16
[第2章]自己とは何か  〈私〉と〈あいつ〉は死を賭けて戦う…!? P.17
  解説  自己は与えられた「自分」ではなく、他者との戦いによって獲得するもの p.26
[第3章]存在とは何か  自分の中を覗いたら、そこに書かれていた文字は…!? P.27
  解説  人は「終わり(死)」に向かう存在。その覚悟で人は本来のあり方になる p.36
[第4章]知とは何か  私たちはいったい何を知っているんだろう? P.37
  解説  ソクラテスは「善とは何か」の答えを求めて対話をかさねた p.44
[第5章]国家とは何か  誰が統治者になるのがいちばんいいのか? P.45
  解説  統治者は国家の行く末を最優先に考える人でなけれはならない p.54
[第6章]哲学劇場 デカルト  ~彼は何を見つけたのか~ p.55
  解説  すべてを疑おう。そして絶対に疑えないものだけを取り出そう p.64
[第7章]自由とは何か  来々軒とカントの「自由」はこんなに違う! P.65
  解説  自由とは、義務の命令だけに従う意思の自律をいう p.72
[第8章]正義とは何か  みんなが満足するようにケーキを分けるには? P.73
  解説  「どう配分するか」の正義から「どう公共の価値をつくるか」の正義へ p.82
[第9章]哲学劇場 ニーチェ  ~力の哲学とはどんな思想?~ p.83
  解説  あるのは「今ここにある世界」だけだ。「真なる世界」はでっちあげだ p.92
[第10章]言葉とは何か  「言葉」について言葉で考えてる私たちっていったい… p.93
  解説  言葉は名札や道具ではなく、私たちの「世界」そのものである p.102
[第11章]構造主義とは何か  無意識のうちに人間を動かす目にみえないヤツ p.103
  解説  未開社会の研究によって無意識の構造が発見された p.114
[第12章]権力とは何か  統治せず支配しない権力って何? P.115
  解説  抑圧する権力ではなく、自ら従う権力を描き出したフーコー p.126
参考文献リスト p.127
執筆者紹介、奥付け p.128


萌え本分類:解説書型。
ナビゲーター:まんがの登場人物。哲学研究所所長の「小暮レナ」嬢と、所員の「エリ」「ユイ」の女性3名。

カバー表紙:タイトルは横書き。タイトルの字色は白縁つきの黒、サブタイトル部分は黒と白抜き。水色系の背景ソクラテスからフーコーまで歴史上の哲学者8名を従えて立つナビゲーターのイラスト。
中表紙:メインタイトルとカバーイラスト(持ち札の台詞を変更)を配置。
折込ポスター:なし。
本文:縦書き、四段組みが基本(巻末の用語集は三段組み)。巻末の文献リストは横書き一段組み。
構成・設定:  全ページが黒赤の二色印刷。
表紙裏に1頁のイントロ漫画つき。全体は12章に分けられ、各章は7~12頁の漫画と1頁の解説により構成される。漫画部分は「哲学研究所の所長、小暮レナと助手の女の子たちから、西洋哲学のレクチャーを受ける」という設定をベースに、章ごとにテーマに沿ったショートストーリーが展開するという構成。
第1章の古代ギリシャにおける哲学思想の芽生えに始まり、章ごとの内容は哲学の主要なテーマについての初心者向け解説漫画。各章末には「章のまとめby小暮レナ」の小見出しをつけた、関連語句の引用と解説文が付属する。
巻末の参考文献は、章ごとのテーマに沿った一次文献を紹介。索引を兼ねた用語集は、本書では付属しない。
別冊宝島の『まんがと図解でわかる- 』シリーズとはアバンタイトルから異なり、本文の構成も全くの別物。当然のことだが、シリーズ共通の特色である「表紙・ストーリー部分・ナビゲーターのイラスト分業制」や「図説内の漫画カットでサブストーリーが進行する」点、またナビゲーターが解説部分の「あいづち」要員を担当する点などは本書ではみられない。

評価:
萌え絵度:  現代漫画風の絵柄。表紙イラストを含めた漫画部分の担当は古川日向さん。線画を中心に据えた絵柄は見やすくてかわいいが、いわゆる萌え絵ではないので「萌え度」はほぼ皆無。
テーマ萌え度: 本書は「哲学(もしくは哲学者)に萌える本」ではなく「哲学史・思想をまんがで解説した本」である。初心者向けに図解や例え話などを多用した漫画部分は、内容も平易に書かれて(描かれて)いるだけでなく、近代までの哲学家を網羅した上で各々の思想のアウトラインをおさえた内容は注目に値する。手軽な「哲学入門書」のMookとしては非常に価値が高く、哲学自体への萌え度は高いと感じた。ここで言うてもしかたのない事ではあるが、これで「萌え絵」だったらなあ…。


萌え本的意義: 宝島社発行のB5版書籍としては、『まんがと図解でわかる- 』シリーズの、
-ドラッカー(1710) 』(10/11)、『 -ニーチェ(1729) 』(11/03)に続き、
続刊は『 -ドラッカー リーダーシップ論(1750) 』(11/05)。
 西洋哲学関連の類書としては、上記の『(まんがと図解でわかる) ニーチェ(1729) 』のほか、
萌える☆哲学入門 』(大和書房刊、09/06)が、
哲学者萌え化本では『(Philosophy Girls)哲学ガールズ(萌えて覚える叡智の学園) 』(PHP研究所刊、 12/03)、
思想自体の萌え擬人化本としては、『萌えて学べる!! 思想コレクション(○○主義、○○イズムを擬人化!) 』(カンゼン刊、11/12)があげられる。


総合萌え度 :★☆☆☆☆
(絵柄を除けば、★★★★☆)


紹介記事:

(まとまった記事は発見できなかったが、哲学関連の書評などを通覧すると、
総じて「的確で芯をはずしていない」との好意的な評価が多い )


宝島社紹介ページ
http://tkj.jp/book/?cd=20174301
「 哲学の「本質」をわかりやすくまんがで紹介します。自己とは何か、存在とは何か。知とは、国家とは、権力とは……。「哲学研究所」を舞台に繰り広げられる喧々諤々の議論から、これらのテーマを解きほぐしていきます。。」
内容紹介16ページ分(表紙の表裏、目次を含む冒頭部分など)へのリンクあり。


Amazon.co.jp         の紹介頁(中古品のみ)
honto(旧bk1)         の紹介頁(購入不可)
楽天ブックス         の紹介頁
セブンネットショッピング   の紹介頁(絶版重版未定)
紀伊国屋書店        の紹介頁(注文不可)


付記:
Amazon、公式サイト上の発売日は03月15日、その他の書店サイト上では4月との記載が多い。
アバンタイトル「哲学ってそういうことだったのか!!」およびサブタイトルの「あの哲学者たちの難解思想がサクッとわかる」は、記載されたりされなかったり。
 文庫版された「(まんがで学ぶ)哲学入門(世界の哲学者たちの思想がすっきりわかる!) 」が、12年12月に発売されている。



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