ランダムなまず庵

 何事にも一寸手を出すが人並みに出来ず、中途半端なその日暮らし・・何でもありの風来ブログ、暇にまかせて「庵」ってます。

垂水

2008-02-11 07:33:26 | 思い出はホロ苦く
・・・・ 石走る垂水の上の早蕨のもえいずる春になりにけるかも・・・                              万葉集 志貴皇子

 高校の教科書で習った。
 この句の「垂水」は学校からおおよそ7,80キロ位の所にある神戸市垂水区あたりのことらしい。そんなことから親しみを覚えたのかも知れないが、やはり醸しだすムード・雰囲気が何となく好きであった。

 万葉集は、おおよそ千五百年前の約三百五十年間の皇族、防人などの長歌、短歌など約四千五百首の歌集である。大伴家持の編集と言われている。

 雄渾な調べ、直截な表現などは現在でも新鮮なものとして迫ってくるが、それらの光景は徐々に薄れて瞼に浮かぶだけになってきている。

 この一首は、今の頃、三寒四温、温かいと思える日に浮かんでくる。「早蕨」の産毛のような感触が、陽炎のように周りの草いきれと調和して何んとも云えなく、もうすぐそこに春が来ているんだなーと・・・思ったころが懐かしい。

 あの時代に「読み書き」が出来て歌など愛でるのは、高貴な方々だけで、下々の人々はそんなもの関係ない!関係ない!であったろう。
 裸同然の作業衣に腰巻一本で働いていたんだろうと思うと、文盲率0に近い国に生まれ「駄歌」を玩んでいる幸せをもっと感謝しなければならない。


最新の画像もっと見る