MiddleDayTripperの徒然記

気ままな中年オヤジの独り言

民間転用に悩む日本と軍用転換に悩むアメリカ

2010-05-04 00:35:48 | Weblog

自衛隊機の民生転用検討、量産で調達費圧縮(読売新聞) - goo ニュース

XC-2とXP-1は地元でもなかなか見れない。未だ試験段階なのだろうが

この2機とUS-2は民生転用を視野に開発された。US-2のベースとなったUS-1は海外からの発注があったと言う噂もあった。元々の救難任務だけでなく消防用の用途もある。US-2の祖父にあたるPS-1の1号機は消防仕様に改造された事もある。また飛行艇を現在も生産しているのは日本、ロシア、中国しかない。アメリカやカナダでは軍払い下げの旧式機が殆どで老朽化の激しい機体が多い。市場はニッチだが存在する。

XP-1は対潜哨戒機。P-3はエレクトラ、ニムロッドはコメットとそれぞれ50年代に開発された旅客機から改造された機体。対潜哨戒機は航続距離を稼ぐために2-3発を停止させて飛行する事もある。XP-1も停止飛行可能が前提になっていると思う。

しかし民生転用になると経済性が最優先されるので、双発機化は必須になるだろう。そうなるとエンジンの大型化が必要になるが、エンジン径が大きくなり、地面との高さが問題になる。かつてボーイング737近代化で起こった問題だ。この時はエンジンを吊り下げるパイロンを前に出し、空気取入口を三角形にする事で解決したが、XP-1はどうなるか?同規模のXC-2に搭載されるエンジンはCF6なのでB3のCFM56よりかなり大きい。他のエンジンを搭載するのだろうか?

そのB-737をベースにした対潜哨戒機をアメリカ海軍が開発している。P-8ポセイドンだが、こちらも開発が難航している。双発機なのでエンジン停止飛行で安定しないのが原因らしい。小型エンジンによる4発化も考えられたが、そうなると携行武器用のハードポイントを含めて主翼を再設計しなければならず、開発費が跳ね上るので断念した。双発旅客機の特性が対潜哨戒機に合わずに苦労している。

日本とアメリカ、双方が全く異なる問題に直面している。一番の解決策はXP-1の共同開発なのだが、現行の武器輸出3原則に抵触する。

そうなれば「ジェイホーク方式」だ。米空軍の練習機T-1A、空自でもT-400として使用しているが、この機体は元は三菱製だ。日本初のビジネスジェットMU-300として開発されたが、主市場のアメリカで販売不振だった。そこでビーチクラフト社に販売を委託しビーチ400の名で販売した。クルマで言うリバッチになったが、円高などで三菱はビーチ社に製造権も売却して96年にアメリカから撤退した。その後アメリカ空軍の練習機に選ばれ、空自も採用した。この方式でXP-1の旅客型を取り敢えず開発し、アメリカのボーイングに委託する。ボーイングは民間型を基に対潜哨戒型を開発する。製造ラインが重複するリスクはあるが、現実的な方法だと思う。

しかし「自衛隊が使用しているから武器だ。輸出はダメだ!」と言う発想はいい加減考え直したらどうだろうか?「エレキギターを弾いているヤツやバイクに乗るヤツは不良だ」と大して変わらない発想ではないだろうか?世界の紛争地帯でよく見る荷台にM2等の機関銃を乗せたトラックやピックアップの大半は日本のハ○ラッ○スや○ッ○ラではないか?

防衛省は、自衛隊航空機を民間転用する検討に本格的に着手した。
量産効果による調達費の縮減と、近年の防衛費削減で苦境に立たされた国内の防衛産業を活性化する狙いだ。企業、関係省庁、有識者らによる検討会の報告書を8月までにまとめる予定だが、課題も山積している。

◆防衛産業「保護」◆
北沢防衛相は4月23日の検討会の初会合で、「民間転用が進めば、生産基盤や技術基盤の維持・強化、装備品の価格低減に相当寄与する。武器輸出3原則をしっかり守りながらも、新しい道は十分模索できる」と期待感を表明した。
民間転用を目指す航空機としては、国外での需要も見込み、武器輸出3原則に抵触しないものに限る。具体的には、航空自衛隊の次期輸送機XC2、海上自衛隊の次期哨戒機XP1、救難飛行艇US2などが候補だ。XC2は貨物機、XP1は旅客機など、US2は消防飛行艇や多目的飛行艇への転用を想定していて、フィリピンなど 島嶼国での活用も見込まれる。
自民党政権当時からの課題だった防衛装備品の民間転用の検討が進んでいる背景には、防衛予算縮減が続き、防衛産業からの撤退を余儀なくされる企業が増えていることがある。民主党としても、防衛予算を増やせる財政状況にないことから、民間転用の可能性を探りたい事情がある。
主要装備品の年間平均調達数量を見ると、1977年から9年間は戦闘機18・5機、護衛艦2・8隻、戦車58・4両だったのが、97年から9年間は7・5機、1・1隻、16・1両に激減。関連工場の年間操業時間も2003年度から07年度にかけて1割近く減った。
これに対し、航空機の民間需要は拡大が見込まれ、業界団体の資料などによると、US2の転用が期待されている中型消防艇は、世界市場で2010年から15年間に約130機、XC2のような大型貨物機は約230機の需要がある。

◆採算性も悩み◆
民間転用の懸案は、民間転用で得た利益から、どの程度を国が負担した開発費の回収にあてるかという問題だ。XC2とXP1の開発費は計約3450億円、US2は790億円。開発費の国への還元は大きな関心事項だが、「過度な還元を求めれば、企業の採算が合わなくなる」とバランスに悩む声がある。また、共同開発を通じて得られた航空技術や試験結果など知的財産の活用を、企業にどこまで認めるかも課題だ。
一方、企業側にも、軍用から民生への仕様変更に多額の費用がかかる悩みがある。例えば、エンジンを4発積んだXP1を旅客機に転用する場合は、経済性を重視し、推進力を高めた上で2発式に交換する必要があるとされる。軍用特有の自機防御システム、空中投下システムなども撤去しなければならない。企業が事業として乗り出せる採算性を確保できるかどうか、検討会の行方が注目される。


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