息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

てるてるあした

2011-12-09 10:23:28 | 加納朋子
加納朋子 著

結構優秀だったのに、何不自由なく育ってきたつもりだったのに、
現実に気付いてみると、高校進学さえ断念するはめになった照代。

わけがわからぬまま、遠い知り合いという老婆のもとに身を寄せ、
やりきれない想いをもてあましながらアルバイトを始める。

不思議なメール、女の子の幽霊。
押しつけがましいけれど、やさしさにあふれた人たち。
時にいらだち、時に涙しながら、あきらめと意欲を育てていく。

いかにもいまどきの子どもだった照代が、少しずつ心を開き、
自分の生きる道を探り始める過程は素晴らしい。
そしてそれとともに、自分自身にまつわる謎が解明していく。

不器用でどうしようもない母親を結局は照代が容認する形になるのだが、
こればかりは、娘をもつ母として納得できなかった。
いくら大切に思っていても、いくら自分が愛し方を知らなかったとしても、
子どもは子ども。一人前になるまで育てるのは産んだ以上当たり前。
なんだか都合よく言いくるめられてる気がするのだ。

「ささらさや」で出てくるさやさんが、キーパーソンとして登場する。
彼女の柔らかい雰囲気に癒され、そして強さに感動する。
こんな人たちに囲まれ、大切な人を見送り、多くを経験した照代が
どう生きていくのか、彼女のこれからの成長がとても楽しみになる作品だ。

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