セルマ・ラーゲルレーヴ 著
子どもたちが自国・スウェーデンの地理を楽しく学べるように、とのことで執筆された
作品らしい。
小さくなったニルスがガチョウのモルテンの背中に乗って、上空を旅して見るのは
まさに鳥瞰図。きっと子どもたちは目を輝かせたことだろう。
私自身、とても楽しく読んだけれど、残念ながら地理については記憶に
残っていない。う~ん、見知らぬ国だからなのか?
動物をいじめていたニルスは、トムテという妖精によって身体を小さくされてしまう。
農場を追い出され、ガチョウのモルテンとともにガンの仲間に入り旅をすることになる。
これまで何でもできるつもりでいたのに、小さくなっただけでそれができない。
そればかりか、小動物までもが自分の命を脅かす存在となる。
食べ物を手に入れることも難しい。
思いもかけない危険は多く、何度も危うい目に遭う。
また、なんとか助かりたい、元の姿に戻りたいと願うが、それはかなわず、
人間のそばに近づくことすらなかなかできない。
それでも、旅を続ける中で生きるすべを少しずつ身に着け、それにしたがって
思いやりや洞察力など、精神的にも成長していく。
旅先の地理、歴史、産業を知り、伝わる伝説を学ぶ機会に恵まれ、自分の国への
誇りや愛情も芽生えていく。
悪ガキの成長物語であり、動物との愛情物語であり、国を教える物語でもある。
長い話で、かつその国の人でないとわからないような内容もあるのだが、
結構飽きずに読めるのは、子ども向けだからだろうか。
アメリカでは教科書の副読本として使われているという。
旅する予定があるならガイドブックとしてもよさそうだ。
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