▽チベット/ウイグル文化を葬る民族浄化に狂奔▽経済発展で資源・食料が必要となり、チベット/ウイグル以外に領域を拡大▽軍事・経済力が伴わぬ内は抑制的=孤立主義的だったが、力を付けるや凶暴になど。
習の講演は(1)日本や韓国を含むアジア各国と米国との同盟は不必要(2)アジア太平洋の政治・安全保障環境安定に向けたASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)に加盟していても、アジア以外の米国や豪州は口出しするな-と恫喝したに等しい。
実際、習は国家主席就任前から、米国はアジアの諸問題対処に当たり、まず中国と協議せよと求める《新型大国関係》を提案している。米国と日韓など同盟国との間にくさびを打ち込む誘い水だ。
外国軍艦艇・航空機による自国EEZ(排他的経済水域)内での軍事的監視活動を拒絶する。国際法上の少数意見というだけでなく、国際法上の《航行・上空飛行の自由》原則を否定する「縄張り宣言」だ。ところが、自らは他国のEEZはじめ領域や係争海域にさえ侵入・占領を平然としてのける。
烈度を比較的低く抑えているつもりでいる中国の棍棒外交は、必ずエスカレートする。世界の海洋の3分の1を占めるEEZ。国際法に逆らう中国の《法律戦》を放置すれば、「欲しい所が領域」と考える地政学上の理屈 《戦略的国境》は際限なく膨らむ。太平洋~東シナ海~南シナ海~インド洋の広い地域・海域で武威を高め、経済・エネルギー覇権を狙う、中国の野望が透ける。
しかし、ASEAN諸国やインドの危機意識は濃淡を繰り返す。ASEANが17日に発表した東アジアサミットの議長声明は、予想通りとはいえ失望した。中国の海洋侵出を念頭に「海洋の平和と安全が脅かし続けられている」との、東アジアサミットでも海洋安全保障を扱うべしとする従来案が撤回され「平和的解決が重要」と格段に薄められた。これも、米国などサミット参加強国の関与を嫌う中国の工作。ASEAN各国は経済・金融支援で中国に一本釣りされ、警戒感は持ちながらも切り崩されている。
共産主義帝国は歴代中華王朝同様、凶暴・傲慢だが哀れでもある。経済崩壊と、その後に訪れる孤立で「孤独死」する前に、わが国に、領有権問題は存在しない現実を認め歴史問題で謝罪してはいかが。真実と正しく向き合うのなら、お友達になれそうな国を紹介して進ぜる。応じる国があればよいが…。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS
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