時事解説「ディストピア」

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オランド、各地のシャルリー抗議デモを非難する

2015-01-19 00:50:09 | リビア・ウクライナ・南米・中東
アメリカの反北プロパガンダ映画同様、良い宣伝になったようで、
事件勃発前には6万部、そのうちの半分も売れなかったこの雑誌は
現在、700万部を突破したらしい。


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フランスの風刺週刊紙「シャルリーエブド」最新号の発行部数が、
700万部まで増やされた。土曜日、AFPが編集部からの情報として伝えた。


編集本部襲撃事件後、初めて出た水曜日の号をめぐる騒ぎは、今も収まっていない。
木・金の二日間だけで、最新号は200万部以上売れた。

キオスクには早朝から「シャルリー」を手に入れようと
長い行列ができる光景は、もうすっかりおなじみとなった。

しかし同紙はすぐに売り切れてしまうため、希望者全員にまで行き渡らない状態だ。


当初、発行部数は100万部と計画されたものの、
その後、まずは300万部に、そして500万部にまで増刷が決まった。

これまで同紙の発行部数は、通常6万部程度で、実際はその半分も売れなかったという。

フランスのマスコミ各社は、
最新号は、編集部に少なくとも1千万ユーロの利益をもたらしたと見ている。


続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_01_18/282189987/
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一方で、先日伝えたように、同誌への反対運動も各地で起きている。
ニジェールでは、デモが暴動へエスカレートし、死者が発生した。



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フランスの週刊紙シャルリ・エブドによる
イスラムの預言者ムハンマドを侮辱する風刺画の掲載に対し、
世界のイスラム教徒の抗議運動が続けられています。



IRIB記者の報告によりますと、
ニジェールの首都ニアメの一部の地域で、人々が怒りのデモを行い、
デモの禁止が発表された後に暴動に発展しました。


この暴動の中で、5人が死亡しています。


この他、イラク、ガザ地区、パキスタン、
イエメン、アルジェリア、ヨルダン、トルコでも、
人々が、フランスの週刊紙シャルリ・エブドによる
イスラムの預言者ムハンマドを侮辱する風刺画の掲載に抗議しました。


情報筋は、
「フランスの週刊紙のイスラムを冒涜する行動に対する抗議運動が、
シリアやスーダン、モロッコなど、多くの国の都市で拡大している」と伝えました。



スーダン駐在のフランス大使は、
フランスの週刊紙の行動への抗議として、記者会見の場から追い出されました。



OICイスラム協力機構も、
「フランスの週刊紙シャルリ・エブドの風刺画掲載に対する訴えを検討している」
と発表しました。


今月7日、シャルリ・エブドの事務所と食料品店へのテロ攻撃、
パリでの人質事件により、17人が死亡、およそ20人が負傷しました。



この事件の後、シャルリ・エブドが預言者を侮辱する風刺画を掲載したことは、
イスラム世界の大規模な抗議を招いています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/51401-%E3%8
2%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%
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先週から続くニジェールの暴動では、少なくとも10人が犠牲となったようで、
警察は最低1000人以上の抗議者に対して催涙ガスを使用した。


ちなみに、ニジェールはフランスの旧植民地だ。


さて、ここで我らがオランド大統領のコメントを読んでみよう。


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Meanwhile, French President Francois Hollande defended the pro-Charlie Hebdo
drive in the wake of the deadly assault on the satirical weekly last week,
saying it was part of defending freedom of expression, an essential western value.

一方、フランス大統領、オランドは
先週の風刺画への激しい攻撃の後もシャルリエブドの支持を擁護し、
「これは西洋の不可欠な価値である表現の自由を守ることでもある」と述べた。

"I'm thinking of countries where sometimes
 they don't understand what freedom of expression
 is because they have been deprived of it.

私は、ある国において、国民が表現の自由が何たるかを理解できないのは
彼らがそれを奪われているからだ
と考えています。

But also, we have supported these countries in their fight against terrorism,"
のみならず、我々はテロリズムと戦うこれらの国々を援助しています

Hollande said of the anti-Charlie Hebdo rallies.
オランドは反シャルリエブドの行列のことをこのように述べた。

http://rt.com/news/223695-niger-church-protest-hebdo/

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オランドは、差別を煽るプロパガンダ雑誌をかばう一方で、
旧フランス植民地の政府が行った弾圧は特に気にしないようだ。


のみならず、このような国はテロと戦う国家であり、
今後も軍事・経済支援をやめないつもりらしい。



(フランスの国旗を焼くパキスタンの抗議者
 http://rt.com/news/223695-niger-church-protest-hebdo/)



オランドにとって、シャルリーに逆らう人間は
表現の自由が理解できていないのである。



先日、オランドは事件の犯人はイスラムではなくテロリストだ、
この事件を契機にムスリムを攻撃してはならないという主張をしたが、
どうも彼は、自分に逆らうムスリムは守るべき人間の中に入れていないらしい。


表現の自由は「西洋の本質的な価値観」だと論じるが、これは裏返せば、
イスラムには表現の自由という考えがないと断定しているようなものだ。


これまでのムスリムの非難の言葉に耳を傾けていれば、
「自由だからといって何でも許されるわけではない」という
ごく当り前のことを言っているに過ぎないと容易に理解できるはず。


理解できていないのはオランドのほうなのである。

なぜ、フランスがイスラム圏で嫌われているのか、ご理解頂けたかと思う。

本質的な部分では、フランスもアメリカ同様、帝国主義国家であり、
中東政策やムスリムへの姿勢は恐ろしいほどまでに酷似している。


ついでに言うと、オランドはこれでも左派政党の人間であり、
逆を言えば、フランスは左だろうと右だろうと大して変わらないわけである。


私もかつてはオランド当選を喜んだ人間であるが、今思えば甘かった。
フランスに限らず、アメリカだろうとイギリスだろうと日本だろうと、
先進諸国での右傾化は全体的な現象になっている気がしてならない。


戦後70年の今、日本だけでなく戦勝国も
自国の帝国・植民地主義を反省するときが来たのではないだろうか。


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