瀧澤美奈子の言の葉・パレット

政を為すに徳を以てす。たとえば北辰の其所に居りて、衆星の之に共(むか)うがごときなり。

The international Astrobiology workshop 2013 に参加

2013年11月30日 | 今日の出来事


 日本でアストロバイオロジーに興味のある科学者が年に1回集まって最新の研究成果を発表しあう年会合の第6回が、28-30日まで相模原のJAXA宇宙科学研究所で開催されました。今年はヨーロッパと米国から数名の研究者を招待し、The international Astrobiology workshop 2013として国際会議の形で開かれました。3日目となる30日には、NASAのエイムズ研究センターのCris McKay氏とテレコンでつなぎ、European Astrobiology Network AssociationのGerda Horneck氏、日本の科学者と技術者の7名によるパネルディスカッションが行われました。

 アストロバイオロジーの目標のひとつは、真の意味での生命の理解です。私たちはまだ地球上に住んでいる生物しか知りませんが、生物とは「宇宙のなかで化学現象として誕生したもの」ですので、本当の意味で「生命とはなにか?」を知るためには、地球以外の生物のサンプルが欲しいのです。自分のことを本当に理解するには、他人に照らし合わせて考えます。それと同じです。
 では、サンプルはどこにありそうなの?というと、我々の手の届きそうな太陽系内では、火星、小惑星、エウロパ(木星の衛星)、タイタン(土星の衛星)、エンケラドス(土星の衛星)が有望視されています。ただ、昨今の流れに従えば国際ミッションになるはずなので、日米欧でターゲットを一本化することが必要になりそう、じゃあ、ここで多数決をとってみようという軽いノリで(もちろん正式なものではありません)会場にいた聴衆も一緒に多数決をとるという一幕がありました。
結果は、エンケラドス-20, 火星-15, エウロパ-14, 小惑星- 13, タイタン-9。

 とくにエンケラドスは、これまでの観測で南極域から間欠泉のように水柱(プルーム)が噴出していて、その正体が高密度の水蒸気と一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、プロパンなどの有機化合物であることがわかっています。これは表面に有機物を含んだ液体が存在している可能性を示しているため、生命存在の鍵の1つとされています。

 エンケラドスの生命探査では、わざわざ探査機を着地させてサンプルを採取するという、技術的に難しくて費用のかかる方法をとらなくても、フライバイ(近傍通過)でプルームから生物サンプリングを行うことが可能ではないか、といった意見も出されました。もし他の天体から生物がサンプルできたら、確実に人類の歴史に刻まれますし、この分野は一気に前進することになるでしょう。エンケラドスまでの距離は、太陽と地球の距離を1とすると、太陽からの距離で約9.5倍も離れています。そんなに遠いところに、果たしてどんな生物がいるのでしょうか?人間が送り込む捕虫網にひっかかってくれるのでしょうか?想像するだけでワクワクしませんか。



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