Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Randy Edelman

2007-10-14 | SSW
■Randy Edelman / The Laughter And The Tears■

 Randy Edelman のセカンドアルバムは、LA でのレコーディング。 前作と同年のリリースにも関わらず、NY から一気に場所を移し、「本拠地」ともいえる場所でのレコーディングとなりました。 レーベルは LION というマイナーレーベルですが、ここは前作と同様の MGM 傘下ということで、レーベルの変更は MGM の都合によるものと推測できます。
 一気に LA へ移ったことで、さぞかし豪華なミュージシャンが参加しているかと思うと、そうではありません。 アルバムにクレジットされているのは、ベースとドラムスの 3 人だけで制作されたようです。 実際に聴いてみると、ギターのカッティングやソロは皆無で、時折ストリングスやコーラスが聴こえる以外は、たしかに 3 人で演奏しているようです。 

では、アルバム曲を紹介しましょう。 「I Can’t Make Music」は、Carpenters にカバーされたことで有名な曲。 カバーは 1973 年の「Now & Then」に収録されています。 ドラマティックなメロディーのこの曲は初期のEdelman の代表曲でしょう。 つづく「Mexico」は、お得意の技巧的なピアノをバックにしたクラシカルな曲調。 中盤やラストのインスト部分は、クラシカルなプログレ好きにはたまらない展開になっています。  1972 年ということで時代的にもそうしたアレンジが好まれていたはずですね。 「Waterfall」は、一転してミディアムなバラード。 微量のメロウさを散りばめながら盛り上げていく展開はまさに「エデルマン節」です。  「On Sunday Afternoon」は、しっとりとした情念を感じる小曲。 ラスト前に配置することが意識されていると思います。 そして、A 面ラストはアルバムタイトル曲の「The Laughter And The Tears」。 「笑いと涙」の繰り返しが人生であるかのごとく淡々としたアレンジのなかに、温もりあふれるコーラスがオーバーラップしていく感じも初期の Randy Edelman の特徴でしょう。 このテイストは次のアルバム「Prime Cuts」へと受けつがれていきます。

  B 面です。 「Lost」は歌謡曲的でメランコリックなメロディーが印象的な曲。 布施明あたりがカバーしてもおかしくないと思うほどです。 つづく「Paris」はジャジーでオールドタイミーな曲ですが、Randy Edelman としてはかなりハイトーンのボーカルを聴くことができます。 パリからケンタッキーへ題材が瞬間移動した「Kentucky Blue」は、珠玉のバラードという表現があてはまる名曲です。 メロディーとアレンジのメリハリの強さがこの曲の特徴といえるでしょう。 「End Of December」はワルツにのったクリスマスソング。 クリスマスシーズンならではの温かみを感じるサウンドです。  ラストの「It’s Nice To Have Something To Believe In」は、ピアノの弾き語りによるバラード。 短い曲ですがアルバムを締めくくりにふさわしい名曲です。

  前回とつづけて初期の Randy Edelman の未 CD 化作品を紹介してきましたが、当時の SSW としては珍しいほどのテクニックと才能がすでに開花していうことを再認識しました。 しかし、才能や技巧だけでは世のリスナーに受け入れられることはなく、その後目立ったヒットも無いまま、SSW としての活動は 1985 年にイギリスのみで発売された「Switch Of The Seasons」を最後に終了してしまいます。 が、その後は映画音楽の世界に入り、「6 days 7 nights」や「Daylight」といったヒット映画音楽を担当し、SSW 時代以上の成功を収めています。 
  Randy Edelman が映画音楽の世界で成功したことはうれしい限りなのですが、できれば一度でかまわないので、彼の生ピアノによるライブを聴いてみたいものですね。 「Uptown Uptempo Woman」、「Blue Street」、Barry Manilow の十八番となった「Weekend In New England」あたりを是非とも。



■Randy Edelman / The Laughter And The Tears■

Side-1
I Can’t Make Music
Mexico
Waterfall
On Sunday Afternoon
The Laughter And The Tears

Side-2
Lost
Paris
Kentucky Blue
End Of December
It’s Nice To Have Something To Believe In

Produced by Michael Stewart
Words and Music by Randy Edelman

Sound by Ron Malo
Devonshire Sound Studio , North Hollywood , California

Randy Edelman : vocals , keyboards and arrangements
John Guerin : drums
Lyle Ritz : bass

Lion records LN-1013