カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

グラントのシーズン

2007年08月28日 | サイエンス
トロントはすっかり吹く風が心地よくなってきて、秋の気配を感じさせます。そして、秋といえばグラントのシーズンです。私も10月15日締め切りのNCIC(National Cancer Institute of Canada)のリニューアルがありますので、このところグラント書きに集中しています。秋は学会や国際会議のシーズンでもあり、9月、10月と出張が相次ぐので、できるだけ早くグラントをかたずけてしまいたいものです。こうやって、グラントや学会をこなしているうちに、いつの間にか年末になってしまいそうです。

何でかなあ?

2007年08月26日 | 日本
昨日までの蒸し暑さが嘘のように、今日は朝から素晴らしい天気になりました。空気も乾いていますし、温度も最適(22度ぐらい)です。その上、そよ風がそよそよと吹いていて、本当に気持ちのいい朝です。日曜の日課ですが、早速チェルシーを連れて散歩に出かけました。30分の散歩、本当に気持ちいい。それから、もう30分サイクリングをして、実に爽快です。ポプラや白樺の木の葉が風に揺れて実に気持ちよさそうでした。ああ本当に素晴しい天気、自然の恵みに、感謝、感謝。

ところで、このところ連日、私が前に書いた「男はつらいよ 噂の寅次郎」のページにかなりの数の訪問者があります。数日ならば気にも止めませんが、かれこれ数週間コンスタントに多数の訪問者があるので、不思議でなりません。ブログを確認するたびに、「なんでかなあ?」と気になってなりません。どなたか、その理由をご存じの方いらっしゃいませんか?おそらく、どこかのサイトで私のページがリンクされているのだと思うのですが、その上流のサイトをご存じの方は教えてください。

留学先をどうやって決める?

2007年08月25日 | サイエンス
「Pura Vita」さんからカナダのポスドク事情について質問を受けました。他の方にも最近のポスドク事情について尋ねられたりしていますので、これがアドバイスになるかどうかはわかりませんが、私の視点でお答えできることをまとめて書いてみようと思います。

1.一番大切なこと
ポスドクの目的とは何でしょうか?博士課程までに学んだこと、研究してきたことをさらに深めるためには、一科学者として何を次にすべきか?何をしたいのか?を自分自身で見極めることが原点だと私は考えます。博士課程までの研究より、あの分野の仕事をぜひやってみたい、と考える方もいるかも知れませんね。いずれにせよ、やってみたいこと、学んでみたいことがたくさんあるかもしれません。でもここは人生の岐路の大事な一場面です。よく考えて、まず一番やってみたいことを見つけることが大切です。

それで、その自分のやりたいことを行えそうな研究室がどこにあるかを探してみてください。ここではいくつかの可能性を持っていたほうが賢明で、数か所の研究室を自分なりに選択して見てください。地理的な条件、経済的な環境など考慮すべきことは多々ありますが、とりあえずあなたの仕事にとってベストと思われる所を見つけことが大事だと思います。

2.どうやったら採用されるのか?
私も毎月数人のポスドク候補者からメールや手紙を受け取ります。その中で、どんな候補者が魅力的か?ということに関して説明することで、この質問に答えることにします。

まず第一に見るのは、科学的適合性と論文リストです。科学的適合性とは何か?私のラボで行っている研究内容をどのくらい承知した上で、その人が自身のためになぜ私のラボがよいと思ったかが伝わってくることが重要です。そして、どうやって私のラボの仕事に貢献したいかということまで言及されていれば大きなプラスポイントになります。そういうことを科学的適合性という言葉で表現しました。候補者の中には、私のラボの研究内容をよく把握せずに単に履歴書を不特定多数のラボに送り付けていることが明白なケースがあります。そういうものには取り合いたくない、というのが取る側の心情です。逆に説得力のある力強い手紙には、自ずと反応したくなります。

論文リストは当然重要です。世界のトップクラスのラボに行くためには、博士課程までに最低2-3報の第一著者の論文がほしいところです。その中に、一報でもいわゆるハイプロファイルジャーナルがあれば言うことはありません。こういう候補者は、フェローシップを獲得できる可能性が極めて高いので、取る側としてもその点は大きな考慮点となります。

結論は、博士課程において自分の力を極力発揮して、いい論文を数報書いて、その上で自分が何をしたいかを見極めることが大事なのです。そうすれば、自ずと行き先も見えてくるでしょうし、情熱をもって説得力のある手紙がかけるのではないでしょうか?いい留学先を見つけるための勝負は、大学院入学の時から始まっているのです。

そして、ポスドクの後の就職のことまで考えたとき、やはり世界のトップクラスのラボで「修行」をすることは大きなプラスです。そのボスが世界的にも著名な研究者で、しかも人格者であって、あなたがそのボスに見込まれれば、前途は明るいと言ってもいいかもしれません。というのは、こちらで助教授クラスの研究者を採用する際、やはり権威のあるラボ、著名なラボでポスドクをしてきた候補者には「一目を置く」傾向があることは否めないからです。もちろん、その研究室での業績が優秀でないと話しにはになりませんが。

3.経済面の考察?
一般的に言って、CIHRのグラントのサイズはNIHのグラントサイズに比べて小さいという話しは以前にもしたと思います。前者の平均は、日本円で年間1400万ぐらい、おそらくNIHのそれは2000万ぐらいでしょう。しかし、留学先を考えるとき、この差はあまり大きな問題にはなりませんし、考える必要はないと思います。カナダにあなたの行きたいラボがあれば、積極的に当たってみることをお勧めします。

今現在、NIHのグラント採択率は約10%前後、CIHRは前回から少し良くなって26%です。アメリカにしろカナダにしろ、研究費の獲得は大変な時代です。ですが、トップクラスのラボはやはり十分な資金を得ているはずですので、資金が問題になるケースはまれでしょう(もちろん、断わり状の理由にしてくるケースは多いでしょうが)。ましてや、本当に優秀な候補者であれば、前述したようにフェローシップを獲得できる可能性が高いわけですので、科学的適合性がマッチすれば、無条件で採用となる可能性は高いと思います。この点、カナダはアメリカに比べてポスドクのためのフェローシップがはるかに多く、その意味でカナダの方がポスドクには友好的と言えるかもしれません。私のラボのほぼすべてのポスドクは今まで多かれ少なかれフェローシップを得ています。

最後に、「コネ」について質問があったので付け加えます。もちろん、日本の指導教官の先生や知り合いの先生が行きたい研究室のボスを知っていて、推薦状を書いてくれるということであれば、それは大きなプラス点です。しかし絶対条件ではありません。やはり本人次第です。採用を検討する際、私も推薦状を重視します。必ず3通の推薦状をリクエストします。巧言令色がなく、率直に候補者の長所短所が書かれている手紙は大変参考になります。候補者側から考えると、博士課程でいい推薦状を書いてきただける先生を見つけておくのも、重要なポイントですね。

最後に、採用に関しては面接を行うケースがあります。私も必ずします。北米の候補者は必ず招待してセミナーをしてもらい、ラボの皆を話しをしてもらい、一日じっくり観察します。日本やアジアからの候補者を招待するのは費用の面で大変ですので、少なくとも電話インタビューをすることにしてます。その際、人柄や科学に対する情熱、私のラボの研究や自身の研究についていろいろ質問をして、候補者の性格や力量を探ります。何よりも、サイエンスに対する情熱が伝わってくる候補者には、好感を持たずにはいられません。そして、めでたく「これは行けそうだ」という感触が互いに得られれば、採用となります。

長々と書きましたが、お話しできるのはこんなところでしょうか?前にもポスドクの話しは書いていますので、「サイエンス」のカテゴリーから入るか、「ポスドク」でブログ内検索をしていただいて、読んでみてください。

ハリケーン・ディーン

2007年08月22日 | カナダ
カリブ海に超大型のハリケーン・ディーンが発生し、現在メキシコを直撃し西方向に進行しています。カテゴリー5というのは、とんでもない大きさです。その余波で、トロントも昨日から低く垂れこめた雲が風と雨を伴って移動しています。ハリケンーンの目からは、ちょうど沖縄と札幌の距離ぐらいあるでしょうから、その余波がここまで届くというのは驚異的な大きさです。今週はこの天気が続くようです。

P.S.
Tissue様:いつも楽しいコメントありがとうございます。またユーミンの「晩夏」を主題歌に使っていたNHKのドラマの件、調査していただきありがとうございました。私もその後グーグルで調べてみましたら見つかりました。それは、「夏の故郷」というタイトルの銀河テレビ小説で、山田太一脚本、竹下恵子が主演したドラマでした。1976年8月放映だということですから、何と31年も前の番組でした。尾道の風景と「晩夏」のもの寂しい音楽がとてもよくマッチしていたのを記憶しています。

Pura Vida様:ポスドクに関する質問、ありがとうございました。私のお話しできることをまとめて近々載せますので、もうしばらくお待ちください。

晩夏のきざし

2007年08月18日 | カナダ
朝晩に吹く風がずいぶんひんやりしてきました。空が高くなり、空気が澄み切っています。何だかもう秋の兆しというか、晩夏の兆しです。

そう言えば、松任谷由実の曲で「晩夏」というのがありました。「熱い」夏が終わり、切ない秋へと移りゆく季節の変わり目を見事に表現した名曲です。尾道を舞台にしたNHKの夜のテレビ小説の主題歌で使われていたと思います。おそらく、もう二十年以上も前の話しですが。そのドラマの名前が思い出せません...

トロントの短い夏も終りに近づいています。ちょっとさみしい気がしますが、四季があることに感謝します。トロントは秋がとてもきれいです。私の好きなシーズンがもうすぐやってきます。ちょっと気が早いですね。。。

Stratford Music Festival その3

2007年08月15日 | カナダ
City Hallで行われたGlenn Gouldのピアノコンサートの前に、Stratforldの街を散策し、Ontario通りにあったレストラン「Elizabethan Restaurant」(写真)でランチにしました。見るからに、古くからあるこの土地の店という感じで、「これはいける」と思い、早速店内へ。内装も清楚でありながら、歴史を感じさせるドイツ風の作りでした。この土地に入植したドイツ系の人の店だと思いました。

ところが、メニューを広げて少し頭をかしげました。メニューの中に「Beef Hayashi Rice」とあるではありませんか(次の写真)!これは、どうしたことか。。。まさか、私の知っているハヤシライスなるものが、ドイツから名前ごと日本に伝来されたと考えるのは、あまりにも無理がある。。。と思ったからです。

この他にも、よく見ると日本人になじみの深い一品がメニューに見られました。たとえば、「Pork Tenderloin Cutlet」とか「Hamberurg Steak」。これは、まさにまぎれもなく豚カツをハンバーグステーキですね。

そこで注文をしたあとで、ウエートレスのカナダ人の女の子に、「I see Japanese influence in the menu?」という風に問いかけてみると、「The owner is Japanese」という答えが返ってきて、なるほどと納得。しばらくすると、そのご主人が我々のテーブルに現れ、世間話しとなりました。Stratfordでこの店を開いて35年、と聞いてまたびっくり。メニューも開店当時のままだそうです。これまた、びっくり。物静かでやさしいそうなご主人とキッチンで忙しく働いている闊達な奥さんがとても好対照で、とてもいいカップルでした。素晴らしいレストランを発見して、素晴らしい日本人のカップルにStratfordで思いがけず出合うことができ、なんだかとても嬉しくなりました。

ちなみに私はカツサンド・ランチをおいしくいただきました。また、行こうと思っています。Stratfordに印象がこの出会いでさらに高まりました。

Stratford Music Festival その2

2007年08月14日 | カナダ
Glenn Gould(1932-1982)は、カナダのトロントで生まれ育った天才ピアニスト。彼の演奏するバッハの数々の名曲は、バロック音楽の域を完全に超え、それはGouldの音楽として今でもたくさんのファンに支持されています。私もその仲間の一人です。

今回は、実に不思議なコンサートでした。それは、"Glenn Gould in Re-Performance"と題するコンサートで、彼が1955年の演奏した「The Goldberg Variations」という録音を現代コンピュータ技術を駆使して、あたかも彼が弾いているかのようにグランドピアノで再演奏するというコンサートでした。同名のCDがZenph Studiosという会社から発売されているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。死んだはずの演奏家があたかもそこにいて演奏してるかのように聴こえるピアノの音色は実に臨場感にあふれ、素晴らしいものでした。

そして、そのYAMAHAのグランドピアノの前には、Glennが実際に使っていた椅子が置いてありました。また、彼の幼いころからの写真がスライド上映され、これの演出効果を高めていました。実際にこの演奏をコンピュータにプログラムした人物の現れ、彼のインタビューも大変興味深いものでした。

ほんとうに素晴らしいコンサートを聴くことができて大変満足しました。写真は会場に飾ってあったGlennの写真です。続く…

Stratford Music Festival その1

2007年08月13日 | カナダ
昨日12日(日曜日)、トロントから西へ車で2時間ほどのところにあるStratfordに行ってきました。シェークスピア劇で有名な町ですが、今はStratford Summer Music Festivalが行われています。そして、今年のテーマは、「Glenn Gould」。一か月近くの間、グレン・グルドを中心とした様々なコンサートや催しがあります。私も妻とともに、City Hall(写真)であったコンサートに行ってきました。到着したときは、ちょっと小雨模様でした。続く…

Civic Day

2007年08月06日 | カナダ
今日は、Civic Dayとうい名の祭日です。もともと、オンタリオ州の「建国」に貢献したジョン・グレーブス・シムコを讃える日としてスタートしたようですが、今では特にそれを祝うような催しもほとんどなく、夏の休日という感じです。

ちょっと今日はお天気が悪く、空はどんよりと曇っていて、少し蒸し暑い感じです。論文や本を読んで一日を過ごします。音楽とコーヒーを友にして。

素朴な疑問

2007年08月03日 | カナダ
下の開花寸前の朝顔の花の写真を見ていて思うのですが、なぜ五角形をしているのでしょうかねぇ?なぜ、四角や六角形じゃないのでしょうか?

こんな素朴な疑問の中から、科学はスタートするのだと思います。その答えを探す過程がまた楽しい。そして、これだと思う答えに到達したときの快感はたまりません。

いい質問を問うこと、本質をえぐり抜くような質問に到達したならば、科学者としてのあなたの仕事は半分以上終わったも同然です。それが科学の真髄のように思えてなりません。何かいいテーマ無いかなあ~と考えている今日この頃です。また、グラントの締め切りが数か月先に迫ってきているので、それに向けていろいろ考えています。

それにしても、朝顔の花はなぜ五角形をしているのだろう...それから、螺旋をなして登っていく朝顔の弦は、なぜ必ず時計と反対方向に(真上から見た時)伸びていくのだろう(写真参考)?なぜ、逆にはならないのか?面白いですね。

開花寸前の朝顔

2007年08月02日 | カナダ
今朝出勤直前に見た開花寸前の朝顔です。朝8時頃でした。未確認ですが、この後一時間以内に完全に開花した模様です。日の出とともに蕾がふくらみはじめ、そして完全に開花するまでは、数時間の事だと思います。ビデオで撮影したら面白いでしょうね。残念ながら、今朝そんな時間はありませんでした。

朝顔の開花宣言

2007年08月02日 | カナダ
遅くなりましたが、7月30日に我が家の朝顔の花が開花しました。まだ、今のところ一つしか咲いていませんが、たくさん蕾ができているので、今後きれいな花を見せてくれると思います。

近々写真で紹介しますが、その前に記録のために報告します。