わくわく記録帳

一日に見聞きすることをすべて記録すると文庫24冊になるらしい。
そんなに!?
記録しておかないのはもったいないよね。

すごい決断をしたわけでも人生が変わったわけでもない

2024-05-19 07:48:59 | コトバ・ニッキ
今週の「虎に翼」を見ていて、書き残しておきたいと思ったので、書いておく。本当はこんなことやってる場合じゃなくて課題の締め切りもあるし、来週以降の授業の準備もしなくちゃいけないんだけれど。仕事も溜まっているし。

【虎に翼 ダイジェスト】第7週「女の心は猫の目?」【NHK朝ドラ公式】 - 虎に翼

【虎に翼 ダイジェスト】第7週「女の心は猫の目?」【NHK朝ドラ公式】 - 虎に翼

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虎に翼 - NHK

 


未婚の女性である寅子にはなかなか弁護の依頼がつかない。女性であること、未婚であることがこんなにも社会的地位が低く信頼を得られないものなのか、という憤りと落胆。そして花岡がいかにも「内助の功」な婚約者と再登場したことによる、「女が男についていかなきゃいけないのか」問題。


わたしは40代になってから結婚した。仕事も楽しく、それなりの実績も積んでいて、仕事以外でもいろんな活動をして、東京でのシングル生活を謳歌していたから、結婚すると言った時の周りの反応は驚きであふれていた。まさか!びっくり!なぜ???の嵐(笑)


本人は至ってシンプルに決断した。決断ってほどではなく、流れるように、まるでそうなることが必然だったかのように。


けれど、どこかで「既婚」というカードが欲しかったのかもしれない、と思っている。
「負け犬の遠吠え」がベストセラーになった頃、生粋の「負け犬」だったわたしは、その時の生活になんの不満もなかったけれど、不安は確かにあった。病気をしたことで将来の選択肢が狭まったのは事実だし、なんの根拠もなく思っていた「元気でいれば何をしたって生きていける」の前提にあった「元気」が揺らいでいたことも事実。誰かに頼りたい、とは思わなかったけれど、仕事(というか組織の中の立ち位置)で行き詰まりを感じることもあったし、世間の目もそれなりに気にはなっていた。そう、寅子が言うように、未婚であることが未熟と捉えられてしまうことをひしひしと感じていた。バツイチの方が未婚よりもステイタスが高い、そんな空気さえ感じていた。


昔からあまり世間一般の「常識」に当てはめて進路を迫ることをしない両親だったけれど、30代の中盤以降は「結婚」に関するプレッシャーも皆無になっていた。
お墓参りにお寺に行くと、お寺の奥さんから「子供がいつまでも結婚しないのは親の責任だ」と言われてたみたいだけど。家を守っていくお寺だからこその発言なのかもしれないけれど、結婚して家族をつくる、子孫を残すことを望んでいるのであれば、黙って口を出さないのは美徳でもなんでもなく、見合いをさせるなどのレールを敷くことも親の役割よ、ってことが言いたかったんだと思う。
ただ、ある時ふと、「どんな生き方でもいいけど、ともに歩む相手がいてくれたら、と思う」と言われたことがあった。「結婚しなさい」よりもそれは胸に響いた。だからと言ってその時は、結婚しようだなんて1ミリも思わなかったけれど。


それからしばらく経って、縁があって結婚することになった。
東京から遠く離れた福岡の人で、いずれは家業を継ぐことになるだろうことはわかっていた。条件を考えればベストな選択ではなかったのかもしれない。転居しなければならないし、今の仕事も続けられない。同じような仕事が福岡で見つかるとも思えない。けれど、先を考えて思い悩むようなこともなく、サラリと退職して福岡に来た。(ま、辞める≒引き継ぐのはそれなりに大変だったし、持ち家のマンションもあったからやることがたくさんあって大変だったけど)


そして、福岡に来て10年が経った。東京にいた頃の知り合いに会うと「すごい決断だったよね」とか「(結婚で)人生変わったよね」と言われる。


すごい決断だったのか?と言われると、「はて?そうかしら?」となる。多分、いろいろ変えたい時期だったんじゃないかしらと。住む場所と仕事が変わって、生活が変わることで何かを変えたかったんじゃないかしら。何を変えたかったのかはわからないけど、生来の「このままじゃいけない気がする」病をこじらせていた頃だったのかも。


人生変わったと言われることには強烈に違和感がある。確かに、住む場所も変わった。仕事も働き方も変わった。生活のスタイル、リズムも変わった。けれども、どこでどんな生活をしていようと、わたしの人生は続いていて、どんな人生であったとしてもそれは「わたしだけの人生」なのだ。だから、結婚によって人生が変わったと言われると、「はて?」と思ってしまう。生活は変わったし、キャリアも変わった。けれども人生が変わったわけではない。きっとこうなるようになっていたんだと、そう思っている。そのきっかけ、ターニングポイントが結婚であり、福岡に来たことだっただけなのだ。


もちろん、この人とだったらきっと楽しいはず、という確信があったことは間違いがない。それがなかったら来てないよ。そして、今の生活は東京にいた頃には想像もしていなかったけれど、すこぶる楽しい。小さな心配事はあるけれど、大きな悩みも大きな不安もなく、安心して暮らせる毎日は本当にありがたい。


はるさんが寅子に言う
「理由はどうあれあなたが結婚する決断をしてくれたことが嬉しい。あなたにも生涯を支え合う相手が必要」。
同じことをきっと両親も思ってくれていたのだろう。家族が増えたことを何よりも喜んでくれている。それは本当にありがたく、幸せなことだとしみじみ思う日曜の朝なのである。


さ、仕事しよ。


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