土山希美枝教授の議員講習会に参加しました

2016年12月01日 08時06分05秒 | 議員研修

 

11月22日、23日

芽室町議会で講師としてお呼びした土山希美枝教授の議員講習会に参加しました。大変勉強になりました。

 

http://www.dh-giin.com/article/20140120/2360/4/ 引用です

 

土山希美枝
龍谷大学政策学部准教授 龍谷大学政策学部准教授。法政大学大学院社会科学研究科政治学専攻〈博士課程修了〉博士(政治学)。専門分野は、公共政策、地方自治、日本政治。研究テーマは、変動する社会の構造と、政策、市民、政府の機能。〈政策・制度のネットワーク〉である公共政策の構造など。著書に『高度成長期「都市政策」の政治過程』日本評論社、2007年、共著に『対話と議論で〈つなぎ・ひきだす〉ファシリテート能力育成ハンドブック』公人の友社、2011年、『「質問力」からはじめる自治体議会改革』公人の友社、2012年など。「京都市市民参加推進フォーラム」座長、「草津市自治体基本条例検討委員会」委員長などを歴任。1971年北海道芦別市生まれ。



一般質問は、形式や持ち時間など運用の違いはあるが、基本的には「全ての議員が、市(都道府県町村)政に関わる全てのことを問い質すことができる機会」である


つまり、所管の委員会に所属していなくとも、議案に係っていないことも質問でき、自由な意見の表明もできるわけである。一方、委員会の質疑では、本来、意見の表明はできない(市会議規則55条3項)。


一般質問は、「市政に関わる全てのこと」について、執行機関が持つ課題の現状などについての情報、事務執行の状況、方針、認識を質すことができる。

そのため、一般質問は、執行機関に対し、①監査機能、②政策提案機能を持ちうるのである。具体的には、以下のように整理できよう。
① 監査機能(監査質問)…自治体の運営について、あるいは事業の執行について、執行機関がなすべきことを適切になしているかをチェックする機能(質問)


② 政策提案機能(政策提案質問)…政策(とその具体化である施策・事業)について、効果の検証や手法の評価・提案、取り上げられるべき政策課題などを提起する機能(質問)


市民の多様性を反映する多様な議員が、それぞれの視角から、市民の代わりにこうした機能を一般質問を通じて果たせば、「市民の議会」による執行機関に対する緊張と制御の手段のひとつとして、一般質問が二元代表制の中で重要な意味を持つことは明らかであろう。


また、ヒロバとして公開される議場での発言であるなら、それは市民に対する喚起や周知の機会でもあり、「議事録として残る」ということにも意味がある。

執行機関内部の意思決定は常に明らかではない。政策判断や所信を問い、それが執行機関の意思として明らかにされ記録に残されること自体が重要である。


●公表数字を確認するだけの質問
すでに公表されている数字を確認するだけの質問。公表数字であってもその場で執行機関側に示させることに意味がある場合もあるし、公表されていてもばらばらの情報を集めて示すことで捉えられるものもあるが、単純に、比較的容易に手に入る数字を確認するだけで終わるものもあるという。いずれにしても、その数字がどのような問題点を示しているかがなければ質すことにはならないし、執行機関側にも市民にも伝わらないで終わってしまう。

●論点を入れすぎてぼけてしまった質問
一般質問に意欲を持って臨んでいる、「質問力研修」に参加する議員にも多い例である。論点がたくさんあって消化できない場合と、逆に論点が確定せず曖昧であったため、問題状況に対して抽象的なやりとりで終わってしまう場合がある。

●一般質問、代表質問としては個別要求的すぎる質問
個別要求が即不適格というわけではない。例えば行政の不作為に関わる個別事例を取り上げ、それが解消されることで、同様に行政の不作為にある市民の不利益の解消につながることもある。しかし、代表質問で特定の団地のエレベーター設置を訴えたなどという例には、首を傾けざるを得ない。

本会議というヒロバにふさわしい、「我がまち」にとっての監査機能、政策提案機能を持つかどうかが、一般質問に値するかどうかの基準であろう

●合理的な根拠や論拠のない批判に基づく質問
まちの中で起こっている問題状況に熱くなりすぎることもある。「熱さ」自体は、政策にとっても政治にとっても極めて重要である。だが、それを伝えるためには、「なぜ」、「どこが」問題なのか、それについて「誰が」、「どうするべき」なのかが語られる必要がある。

●その自治体が関知できない国や他自治体の事柄についての質問
機関委任事務や通達によって国から制御され、議会が干渉できない部分も多かった時代と異なり、2000年の分権改革以降、議会が対象とできる事項は大きく拡大した。その意味では、国法や法定受託事務について自治体の解釈や運用を問うことは十分にあり得る。ただし、法制度上、我が執行機関がどのくらい関与できるのか確認なく、関与できないものを問題としてもいかんともしがたい。一般質問ではなく、聞きたいことであれば政務活動によって当該機関を調査する、問題状況については議会決議を上げるといった別の方法が選択されよう。

●自身の政治信条の演説に終始している質問
もちろん、政治信条を語ることは重要である。ただし、一般質問である限りは、監査の対象、政策提案の対象とその政治信条がどうつながるか、自身の信条が自身にとってだけでなく、まちや市民の公益とどう重なるかを説明する必要があろう。なお、執行機関側から見て、自身の政治信条のみを語る質問は最も扱いやすい質問でもある。「貴重なご意見ありがとうございました」で済むからである。

●一問一答方式のやりとりを続けるうちに混乱してしまった質問
一般的には、一問一答方式は論点を絞って質疑応答を重ねることができ、議論を深めることができると思われ、事前にシナリオを書くと「配慮」される部分も率直に語られる場合があり得るなど、緊張感ある議論が期待される。ただ、やりとりを続けるうちに論点が揺れて混乱したり、そもそも意図していたであろう内容から大きく離れてしまったり、やりとり自体が訳が分からなくなってしまうこともある。これは質問力というよりも議論の力や経験の問題であるところも大きく、後述するように答弁する側にもよるところがあり、簡単に対策を講じられるものでもない。ただ、自身の質問で何を質すべきか、優先すべき点を意識しておけば、一定の軸はできるのではないか。


では、そもそも「良い一般質問」とは何だろうか。要求や指摘、提案が受け入れられることだろうか。

当然そこには、監査機能や政策提案機能をよく果たすこと、という基準が入る。

ただ、どの質問がより「よく」機能を発揮するかを事前に比較することは難しい。一般質問を作成するプロセスから考えると、自分が持つ一般質問のタネのどれを選択するかというときに、最も単純で本質に関わる基準は

「その質問をすることで、まち全体が良くなるかどうか」といえる。


議員にとっては目標を獲得していても、まちとして見たときに「良い一般質問」ではないこともあるのである。




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