益子焼手づくり工房 室田窯ブログ

小さな窯元の気ままなひとこと・・・。

益子焼の柿釉

2021年02月08日 | 益子焼
柿釉特徴
益子焼の釉で最も特色のあるのが柿釉である。
昔から甕、擂鉢などによく使われていた釉で、益子焼が民芸品として世のなかに認識されるようになって、日用品から工芸品まで幅広く取り扱われるようになった。
この原料は地元芦沼で採出される芦沼石で、粉末(赤粉)にしたものを水に溶くだけで自ずと含まれた成分(礬土、酸化鉄、石灰、曹達、加里、マンガン、チタンその他)により焼成すると柿釉となり、このような調合することなしに柿釉になるものは益子独自のものと思われる。
くすり(釉薬)掛け
芦沼石は単体でそのまま柿釉として使えるが暗めの発色になるので、ほとんどの場合並白釉をかけた上に柿釉を掛ける使い方が(2重掛け)多い、
難しいのは、それぞれの釉薬の濃度を誤ると発色が思うようにいかない、柿釉の濃度を薄目にすると飴色次第に濃くしていくと黒から柿にになるが濃すぎると釉が流れ最悪でオシャカになってしまう、何度も失敗して経験を積む必要があるので若い作家たちから敬遠さえている。
室田窯では2重掛けの下掛けは硬めに調合した並白釉を基本に使い、作品によって石灰釉を使用する事もある、例外として黒釉をかけロウ抜きして紋様を入れ柿を上掛けする手法もある。
焼成
窯焼きも還元焼成の方が発色が好くSK9(1,260℃~1280℃)程度の比較的高い温度の場所で焼かれる。
技法(柿釉によく使う手法)
流し掛
黒釉の上に柄杓で柿釉を流し掛する、柿釉が生える取り合わせ。
並白釉の上に銅青釉を流掛し銅青釉の紋様を溶かした蝋でなぞり柿釉を掛けると柿釉の中に青い紋様がくっきり表れる。
柿釉に銅青釉を紋様に使った組み合わせは人気があるが、柿釉の発色は還元焼成銅青釉の発色は酸化焼成と真逆の焼き方なので窯内の場所と雰囲気の調整が難しい。
抜き絵
湯煎で溶かした蝋を使いろうけつ染めのように筆で紋様を描き、蝋の部分がはじかれることを利用する手法で、並白釉を掛けたうえ蝋で絵を描き柿釉を掛けると蝋描き部分ははじかれ並白の地が紋様となって表れる。
人間国宝の浜田庄司の作品にもよく使われており、これに倣った作品も数多く存在する。
都会的な洗練された美しさとは異なる、地方の太陽と大地に育まれた健康的な力強さ美しさが益子焼柿釉の魅力。

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