宗教とイデオロギーはつねに、この世での存在以上のものを神聖視し、死に対して寛容だった。
キリスト教とイスラム教とヒンドゥー教は、私たちの人生の意味はあの世でどのような運命を迎えるかで決まると断言していた。現代の科学と文化は死が生の意味の源 . . . 本文を読む
亀山郁夫氏訳の「カラマーゾフの兄弟」を読んできた割にはこの訳者について関心が薄かった。気になる記事が目に入ったのでメモしておきます。
黙過と言う言葉つまり見てみぬふりが飛び出してきた。イワンがスメルジャコフの父殺しを黙過したことや神が大審問官に沈黙のキスをしたこと、あるいはゾシマ長老の死体が腐敗臭を漂わしたことに誰も公然と批判しないことなども指すのか。
幼児殺しなどの残虐行為を神が黙過するのは . . . 本文を読む
ユニバーサルスタジオジャパンで昼食をとったときのこと、近くに若い女性の3人組が座り、それぞれが一言も話すことなくスマホを操作しはじめ、休憩の間、最後までお互いに口を聞かない、これはありふれた光景のひとつになっている。ふとカラマーゾフの兄弟の次のフレーズを思い出した。
「その人はこう言うんです。自分は人類を愛しているけど、われながら自分に呆れている。それというのも、人類全体を愛するようになればなる . . . 本文を読む
「カラマーゾフの兄弟」はイワンの葛藤が主旋律でその葛藤を中心にして他の人物が興味深いポリフォニーを奏でる。
なぜイワンの葛藤が生まれたか。イワンはこの世の不条理をこれでもかと語る。そして神がこんな不条理な世界を作ったのだからこの世界の入場券をお返しするという。
これが仏教ではこうはいかない。この世を作った神は存在しない、無始無終だから憤りをぶつける相手がいない。仏がこの世を作ったのではないから . . . 本文を読む
追記
ホモサピエンス全史でネアンデルタール人に打ち勝ったのはこの三つである奇跡、神秘、権威をホモサピエンスが獲得したからだとわたしなりに理解した。
時を離れた書物が語り合うとはこのことかな。
初稿2017年11月
奇跡、神秘、権威のうち、奇跡と神秘の差がよくわからなかった、 Wikipediaで調べても下記のように差がよくわからない。
神秘とは、人間の知恵 . . . 本文を読む
2024-02-22 09:30:14追記
親鸞と近いものを感じる。ゾシマ長老は死体が腐臭を発し、イリューシャは病死するが腐臭を発しない。作者はこの腐臭の在りなしで何を言いたかったのだろう。親鸞も自身を鴨川に流せと書き残す。ゾシマ長老も賭博癖や浪費癖に苦しんだ作者ドストエフスキーの分身と言える。
2013-05-15 17:50:05初稿
子どもが領主の大切な犬に石を投げて怪我させたこと . . . 本文を読む
今読み返してみると驚くべきことが書いてある。
アリョオシャはリザと結婚するが、グルウシェンカの誘惑から、リザを捨て、「人生否定と犯罪との荒々しい生活期を経て」僧院に逃れ、多くの子供達を相手に静かな生を終える。また堕落させるつもりだったらしい。
そういえばリザに対するあやしい感情が記されていたな。
ドストエフスキーは知られるところでは善人ではない。従って最後の作品で宗教的決着をつけようとしたの . . . 本文を読む
日本人のあの世観 梅原猛より デカルトのメモ。
『方法序説』や『哲学の原理」で、神の存在と魂の不死の証明を行う。しかし まったく論理の遊戯にすぎないように思います。
デカルトはあの世について、天国や地獄について、何も語っていません 。彼はキリスト教が語るような天国や地獄を信じていなかった。
近代人は多かれ少なかれ、デカルトの徒です。そして彼は神や不死のこと 天国・地獄の . . . 本文を読む
池田大作氏逝去に対し改めて賛否が報じられているが目新しいものはない。ここで紹介するまでもないだろう。
わたしはドストエフスキーが最晩年に表した「カラマーゾフの兄弟」大審問官が最も池田大作氏を理解するのに役立つと考えている。こういう問題には文学の力を借りるのが最も的確に捉えられる。
つまり自由か崇拝かの人類の大問題にぶち当たることになる。なるほど現代のカルト問題を考えるということは「カラマーゾフ . . . 本文を読む
生きとし生けるものは無明だなと。動物は互いに相手を殺し合い、貪ることで生きていかなければならない。人間だけが弱肉強食を免れているが、人間も動物も宇宙的規模から考えると互いに殺し合っていることに差はあるまい。宇宙まで飛躍しなくてもロシア、ウクライナ、イスラエル、ハマスは無明の真っ只中だ。
カラマーゾフの兄弟の次男イワンはそんな世界の不合理に異を唱え、そんな世界を作った神を認めない。ドストエフスキー . . . 本文を読む
追記メモ
文春(6月22日号)の第1弾 木原氏には愛人と子どもがいて二重生活を送っている 今年の3月、愛人の子どもの誕生日に東京ディズニーランドへ行き、その後、愛人たちとホテルで食事をして、3人はそのホテルに泊まったという。 次の日は朝早くからディズニーシーに行って、午前10時半過ぎに母子を残して、木原氏は官邸に。
愛人は元銀座のホステスで、47歳。シングルマザーで仕事はしていない 彼女 . . . 本文を読む
以下のメモはキリスト教と仏教のどちらが優れているかの比較論ではありません。
キリスト教は織田信長の頃より布教に努めてきたが日本国民の1%程度で圧倒的にマイナーな宗教にとどまっている。日本ほど布教のしにくい国はないとも伝え聞く。その理由を探る試みの一端を記したメモです。
日本人は人類一般に対しての贖罪で磔刑にあったキリストよりも例えば清水宗治の切腹の方が身近にピンとくるようだ。
キリストは . . . 本文を読む
ドスエフスキーは「カラマーゾフの兄弟」でロシア人の原型を表現した。野蛮で狡猾なカラマーゾフの血が流れている彼らのあるいは自己の冷静な批判の上にカラマーゾフの血が流れていながらも救済を目指す人物アリョーシャを書き切ろうとしたが未完に終わった。未完に終わったという点が実に予言的だ。「カラマーゾフの兄弟」は「ロシアの兄弟」なのだった。
ドスエフスキーはアリョーシャを切望していたのだ。イワンやドミトリー . . . 本文を読む
追記 業捨と呼ばれ爪と指を用いた擦過治療があるらしい。大変痛いのだが体調不良に大変効果があるという。コイン擦過治療と同質だと感じるのだがどんなもんだろう。
業捨とは、広島県広に住む谷原弘倫氏が天啓のようにして突然覚えた術で、指先と爪で下着の上から体を掻く、擦ることで人間の体に溜った”業”(垢)を掻きだして、捨てる。という。
2020-06-11 14:41:18
. . . 本文を読む
このように異端と称せられる人々も異端尋問する側も、かれらはなにをしても罰せられないと考えていた。
「薔薇の名前」では主人公であるバスカヴィルのウィリアム審問官が両者を「性急すぎることだ」と痛烈に批判している。
2022-04-17初稿
「大審問官の政治学」神山睦美を読んで「薔薇の名前」と「カラマーゾフの兄弟」は審問官を通して響きあっていることを知った。
「カラマーゾフの兄弟」の大審問官 . . . 本文を読む