p3ぶろぐ おかわり : 糸井正和経済経営研究所

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

どこまで続くぬかるみぞ

2010-08-25 03:45:00 | 金融市場・経済全般
日銀と政府の“無策”の影響は、地球を一周する間に増幅されて戻ってきました。
8/24の東京市場は、ドル円が84円台半ばまで進み、日経平均が終値で9,000円の“壁”を割り込む結果となりました。

長期的トレンドとしての円高は2008年9月のリーマン・ショックに端を発しますが、足下の円高傾向は、この4月のギリシャ危機発生がきっかけです。
通貨価格の推移には、投機資金が大きく影響します。その状況をシカゴ・マーカンタイル取引所の統計で見ると、8月に入ってからの投機筋の円買い越しポジションは、ギリシャ危機発生前後に見られた円売り越しポジションの直近のピークに近い水準にあります。投機資金による円高の急加速は、考え難い状況にあったと言えるでしょう。

それでも日本がどの水準まで“無策”を通すのか試すように行われた、急激な円買いの“仕掛け”は、かなりの“無理”を通したものと思われます。

ドル円相場において円買いを“仕掛ける”には、買収資金としてのドルを調達する必要があります。
投資家のリスク許容度の低下によって生じた株式から債券への資金シフトの結果、金利が全体的に下がっています。その変化を調達金利であるLIBORの推移で見ると、ごく短期の調達金利が、中期の金利に対して極めて“割高”になっていることが分かります。投機筋が円買いを“仕掛ける”ための資金を、積極的に調達していることが推測されます。
このことから、“売り方”は資金を短期に回収して調達資金の返済に充てる必要があり、現在の極端な円高が長期的には持続しないものである可能性が見えていると言えるでしょう。
…とは言っても、超短期金利の“割高”傾向が明確化した7月中~下旬のドル円水準である87円を越えるほどの急な“戻り”を見せるとは思えませんが。

日銀が円高対策を打ち出す可能性として考えられるのは、9月6~7日に行われる予定の、次の政策決定会合になるでしょう。
それまでに一旦、利益確定の円売りが出て、円高傾向に“歯止め”がかかるかもしれません。それを口実として、日銀が引き続き何もしないことも考えられます。
そうなった場合、その後に再度、円高が“仕掛けられる”局面が有り得るものと思われます。

人気ブログランキングへ貴方の“1日1クリック”を是非。blogram投票ボタンもヨロしく!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿