糸井正和経済経営研究所 〜 p3ぶろぐ おかわり

金融・経済・経営の幅広い分析をお届けします。身近な路地裏経済から陰謀渦巻く国際戦略まで、様々なハナシをお楽しみ下さい。

国際会計基準、前倒し 住商・日産、来期にも採用

2009-09-16 13:45:00 | 過去のレポートから
今回はもう一本、IISIAデイリー・レポートで私が書いた記事を紹介します。
ご覧下さい。
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住友商事、日産自動車、日本たばこ産業など、国際会計基準の前倒し採用を目指す動きが出てきたといいます。
日本経団連が住商などを含む上場19社や監査法人を含めて構成する準備会合を近く立ち上げ、日本基準と比べ、会計処理が大幅に変わる項目について問題を整理することで、後続組の企業の参考となるモデルをつくり、国際基準の導入が進む地ならしにする狙いもあるといいます。
2009年9月3日付 日本経済新聞他参照)

会計制度は元来、各国ないしは各地域毎に、当該領域内における商慣習に合わせた形で整備されてきました。
それとは異なる状況が生じたのは、2000年前後のことです。1992年、マーストリヒト条約によって現在の形で成立したEUにおける経済統合が、企業活動の国際化を加速しました。企業の商業活動が国境を越えて広がるとともに、国境をまたいだ企業統合や、本国外における資金調達が増えるようになりました。
同時に、そうした企業に投資する主体としての金融機関の活動も国際化を加速しました。
「IISIAマンスリー・レポート」2009年9月号 第2章「国際金融機関の曲がり角〜“越境する投資主体”はどう変わるか」参照)
そうした状況下、投資意思決定に資するために求められる企業の業績開示にも、国際的に統一した基準を求める声が上がるようになりました。これが、国際会計基準に向けた動きの始まりです。

企業が国際会計基準を導入する最大の効果は、国外における資金調達を潤滑に行うことにあります。したがって、国外においてビジネス・サイクルを回している企業にとって、最も有効であると考えられます。
具体的には、海外で部材調達して海外生産を行う電機や自動車といった製造業や、海外でプラントを開発・運営する総合商社などが、国際会計基準の恩恵を受けることになります。今回の準備会合に加わる19社の多くが、そうした企業となっています。
しかし、今後はそれらの業種以外にも、国際会計基準を導入する企業が増えてくると、IISIAでは予測しています。
日本企業の経営戦略の変化として取り上げられるケースが増えているのが、内需企業の海外進出です。IISIAデイリー・レポートでも、“食”の分野におけるサーヴィス業の海外進出についてお伝えしてきました。これらは、海外において食品製造拠点や店舗運営を行う形で、現地におけるビジネス・サイクルを構築するものです。
したがって、海外進出の増加に伴って、現地における資金調達が最適な場合が多くなると想定されます。そのため、飲料・食料品や外食サーヴィスといった企業においても、今後、国際会計基準の導入が進む可能性があると思われます。

それらの企業が国際会計基準を導入する方向性を見せた場合、それは、海外進出を加速する構えを見せているという理解ができるでしょう。
日本の個人投資家・ビジネスマンにとっても、日本企業の海外進出の有り様が変わる目安の一つとなる、会計制度の変化の形で現われる“潮目”の予兆を見逃すべきではないと考えます。


「IISIAデイリー・レポート」スタンダード版 2009年9月3日号より)

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IISIAデイリー・レポートでは、国際金融から地政学リスク、科学技術、ネットビジネスまで、世界中の幅広いメディアから厳選した情報を基に、投資家の皆様にお役立て頂ける形の分析を毎日4本(スタンダード版の場合。ライト版は週3回・1回2本)お届けしています。
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インターネットの無料モデルの寿命は残り少ない

2009-09-08 19:20:00 | 過去のレポートから
今回はもう一本、IISIAデイリー・レポートで私が書いた記事を紹介します。
ご覧下さい。
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ドイツのメディア、SPIEGELの記事によると、オーストラリアのメディア王であるロバート・マードックが彼の配下のインターネット・メディアを全て有料化する方針を打ち出したことが、インターネットの無料コンテンツ文化の将来に関する議論を呼んでいるといいます。
多くのメディアが有料化を希望しつつも、無料媒体との競合によってそれをあきらめて広告収入に頼るビジネス・モデルを継続する中、Financial Timesのような有料化に成功する事例が出始めたことや、iTunesのような少額課金の成功例が出てきたことで有料化を検討するメディアが増えており、問題は、いつ、どのようにそれを実施するかということになりつつあるといいます。

インターネットコンテンツを有料化するか、無料で提供するかということは、古くて新しい議論です。
インターネットの普及期においては、まずユーザー数を獲得することを優先する必要があり、そのためには無料でコンテンツを提供することが重要でした。類似のコンテンツを提供するメディアが無料化した場合、追随しなければユーザーが離れていくためです。
今回の記事でも取り上げられているように、かつてNew York Timesをはじめとしていくつものメディアが有料化試験を行いましたが、そのほとんどが失敗に終わっています。
インターネットコンテンツの無料化を、収益面から支えたのが広告でした。
2003年以降の世界的な景気拡大に伴う広告収入の拡大は、多くのメディアが広告収入によって事業を継続することを可能にしました。
しかし、2008年9月のリーマン・ショック以来の冷め止まぬ“金融メルトダウン”とそれに伴う実体経済の悪化は、企業の広告出稿の減少をもたらし、その影響が広告掲載先であるメディア各社に表れてきました。
コンテンツの全面的な有料化を打ち上げているマードック氏の企業グループであるNews Corpもまた、業績の急激な悪化に見舞われています。
こうした状況下、企業の存続のためにコンテンツの有料化を図るメディアが増えることは、自然な成り行きと言えるでしょう。

一方で、逆の戦略も成り立ちます。有料メディアが増加した場合、類似の情報を無料提供し続けることができれば、そしてそれによってユーザー数を増加させることができ、企業の広告出稿を集めることができれば、広告媒体として事業を存続させることが可能となります。
そのため当面の間は、類似情報の中で有料化するメディアと無料モデルを維持しようとするメディアが混在することになるでしょう。
その際、有料化に向かうのは、その時点で類似メディアの中でもブランド力を確立しているものである可能性が高いでしょう。
今回の記事で成功例として挙げられているFinancial Timesは、高級経済紙としてのブランドを確立しているメディアです。
日本においても、2009年に入ってコンテンツ配信の有料化を進める日本経済新聞社に対して、産経新聞社は特定インフラ(iPhone)を対象としたものではありますが、無料の記事配信を行っています。

有料化するメディアと無料配信を維持するメディアの混在は、メディア間の集客力の優劣を明確化し、収益面での差異が拡大する状況をもたらすでしょう。その結果、メディア企業の世界的な再編が加速する可能性があります。
日本の個人投資家・ビジネスマンにとって、自らの意思決定に資する情報収集の有り様を考える上でも、情報メディアの世界における変化を注視することは、重要なことであると考えます。

(「IISIAデイリー・レポート」 スタンダード版 2009年8月24日号)

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SBI、光通信のVC事業を買収 業界再編加速も

2009-09-02 17:00:00 | 過去のレポートから
今回は、このブログ以外にどのようなレポートを書いているか、その一部を紹介します。
我々が発信しているメディアの一つに、“IISIAデイリー・レポート”があります。
文字通り毎日、メールマガジン形式で、経済・金融・エネルギー・地政学・技術・産業など、幅広い内容の分析をお届けしています。
以下は、最近私が、そのメディアでお伝えしたものです。
サンプルとして、ご覧下さい。
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SBIホールディングスは来月、光通信のヴェンチャー・キャピタル(VC)事業を買収するといいます。光通信系VCの投資先は80社、SBIの投資先IT関連企業との合併や提携を通じて、業績をてこ入れすると報じています。
(2009年8月19日付 日本経済新聞等参照)

光通信のVC事業と旧ソフトバンクのVC事業は、その積極的な出資スタンスで両雄と見做されていた存在でした。その両者の合併は、日本におけるVC事業の収縮傾向を示す、象徴的な出来事と言えるでしょう。
VC事業は、未上場企業に対して株式出資の形で投資するとともに、経営指導や顧客紹介を行うことで成長を促し、最終的に再売却や株式上場によって利益を得る事業です。
光通信のVC事業の最盛期は2000年前後のITバブル期、出資総額は1,000億円を超え、出資対象企業は“光モノ”と呼ばれていました。当時注目を浴びていた、オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)やサイバーエージェント等が、“光モノ”の代表的企業でした。光通信自身は、ITバブルの崩壊とともに凋落することとなりましたが、その後も日本においてVC事業は、一定の規模を持つ産業としての位置を確保していました。
この状況に変化が生じたのが、2006年です。年初のライブドア事件をきっかけに、ヴェンチャー企業の脆弱性に注目が集まり、相次ぐ粉飾決算等の不祥事によって市場の信頼を失い、東証マザーズ等の新興市場の株価が下落トレンドに入りました。その後、2007年におけるサブプライム問題の噴出、2008年のリーマン・ショックを経て、ヴェンチャー企業の新規上場件数は、減少の一途をたどりました。2006年に188社であった新規株式上場社数は、2008年には49社に減少し、2009年は8月末までに10社が上場したに過ぎません。上場意向のある企業でも、その延期を決定する企業が多い状況です。これは、VC事業における収益機会の減少を意味します。収益機会が少なくなった事業の市場規模は、縮小するのが自然です。
こうした状況が、今回の件に繋がったと言えます。

これは中小企業にとっては、資金調達手段の減少を意味します。
一方で、日銀は“潤沢な資金供給”をアピールしており、信用保証特別枠の拡大に伴う銀行融資によって、“貸し込み”的なモラル・ハザードが報じられる状況になっています。
その反面、倒産企業数は確実に増加しています。企業間に選別の動きが進んでいることが想定されます。
こうした状況下、日本のヴェンチャー・ビジネスを狙い、米国系VCが日本進出を加速する動きが明らかになりつつあります。(IISIAマンスリー・レポート2009年7月号 “狙われる日本のヴェンチャー・ビジネス――米国勢による本当の「出口プラン」を探る”参照)

米系VCが日本進出を進めるためには、既存の国内VCは減少していた方が、都合がよいわけです。国内におけるVC業界は、内的要因と外圧の両面から、再編が加速される可能性が見えてきました。
日本の個人投資家・ビジネスマンにとって、自らの投資戦略を考える上でも、VC業界の動きを無視するべきではないと考えます。

(「IISIAデイリー・レポート」スタンダード版 8月19日号)

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また、IISIA公式ブログにて、グラフで経済や金融の現状を見易く捉えるコーナー「一目当然?」も担当しています。
こちらも併せて、ご覧下さい。

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株価予想について

※当ブログで2011年4月〜2012年1月に開示していた株価予想は、日経平均株価の当日大引け値が、前営業日比で高くなるか安くなるかを、ワタシの独断と偏見で予想したものです。 投資判断は、あくまでも自己責任でなさって下さい。その上で、参考になれば幸いです m(_ _)m

Disclaimer

当ブログは、私、糸井正和の個人的意見を記したものであり、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの公式見解を表すものではございません。また、書かれた内容に関する完全性、適時性等を保証するものではありません。なお、投資にあたっては、自己の判断と責任において行って下さいますよう、お願い申し上げます。直接・間接に関わらず、投資に関する一切の結果について、責任を負うものではございません。