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自動販売機をやり玉にあげても意味がない

2011-04-12 19:07:39 | 日常
石原都知事が昨今の電力事情に関連して「自動販売機など止めてしまえ」と言ったそうだ。
果たして自動販売機を止めることでどれぐらい節電効果があるのだろうか。日本自動販売機工業会のホームページにあるデータによれば、缶・ボトル飲料自販機1台あたりの年間使用電力は、業界挙げての省電力化への取り組みの結果、2009年度には1167kWhにまで下がったという。自動販売機は年がら年中稼働しているので、365日×24時間で1167kWhを割ると133Wとなる。つまり、60Wの白熱灯2個を常時点灯しているのと同じぐらいだということになる。要するにたいした消費電力ではない。日本全国に265万5100台の飲料用自動販売機が普及している。これが全部133Wだとして、全部止めても34万kWにすぎない。今夏、東京電力の管内で不足する電力は1500万kWと見込まれているのだから、自動販売機など止めてもほとんど何の足しにもならないのである。
そもそも石原氏のように「あれがムダ、これがムダ」と言って思いつきで何かを「犯人」扱いするのは、その「犯人」が的はずれであるだけでなく、いたずらに社会の対立をあおるだけで、事態の解決に何も寄与しない。それよりも電気料金を引き上げることで企業や消費者に自発的に節電を促すべきである。自動販売機を1日動かしておくと、133W×24時間=3.2kWh。今の家庭用電気料金だと、1日の電気代は77円ぐらいということになる。飲料が1本売れるごとに10円の粗利があるとすれば、1日に8本以上の飲料が売れるのであれば(他のコストを無視するとして)、その自動販売機は稼働し続ける。電気料金を仮に2倍に上げれば、1日16本以上の飲料が売れる自動販売機しか利益が上がらなくなり、1日8~15本しか売れない自動販売機は撤去されるだろう。
自動販売機はたとえであるが、電気料金を適切に値上げすれば、電気を浪費している商店にも開店時間を短縮するなどの対応を促すことができる。目下のところ、家庭や中小企業に対しては、節電の「努力目標」を与えるというのが政府の方針らしいが、私の見るところ、震災以来の政府の必死の呼びかけにもかかわらず、馬耳東風の家庭や商店は少なくなく、およそ効果が上がるとは思えない。
ガソリンの値段は大地震の前は1リットル132円だったのが、地震後は150円に上がった。それで自動車の利用はある程度減り、震災直後には長蛇の列ができたガソリンスタンドは今は閑散としている。おかげで被災地にもガソリンが届くようになったようである。電気の大幅な供給不足があるのだったら価格が上がるのが当然、という経済学者の常識が、一般の常識になっていないのは誠に残念だ。

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