ものみだか日記~平井堅のことばかり考えるまいにち(仮)~

ものみだかい私が、ふなふな書いております。
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そんなマスターに今夜もズキュン!

【生観】 上川さんに視線クギづけで『燃えよ剣』を観る [前]

2004-05-17 23:00:40 | ものみだか生日記
明治座で、司馬遼太郎・原作/上川隆也・主演/ラサール石井・演出の『燃えよ剣』を観てきました。




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■第1幕■
バラガキ時代の若々しい上川さん。
花道を無言で突っきる、ブッきらぼうな横顔にラヴ。
でも、このあたりは青春群像劇の要素も強いので、
ともすれば試衛館の面々の中に埋もれがちな上川さんが、ちょっちは・が・ゆ・い。

■第2幕■
舞台は一転京都へ。浅黄色のだんだら羽織も凛々しい”鬼の副長”にドッキドキぃ♪
強いだけでなく、これからの自分の生き方を悩む姿もたまらない。
そして淡い恋の予感っ!はじらう上川さんを抱きしめたい!

■第3幕■
お色直しをして、総髪・黒の洋装軍服が「ウチらを殺す気ですかっ!?(でもそれも本望…)」
っつーくらい格好良い上川さん登場!
そして、その格好よさを「わかってるね!!」とラサール石井の肩を叩きたいくらい、
この終幕は、上川さん出ずっぱりさぁぁぁ!!
士道と時代に殉じる潔さ!準じる愛する女との別れ!そして壮絶な最期!!
散り行く男の美学に涙が、涙がぁぁぁ!!!

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――と、とりあえず、どうかしてるトーンで書いてみました。
ちょっと気が済みました。(ガス抜き作用)

いや、ホントは結構見くびってたんです、いわゆる「商業演劇」ってヤツを。
商業演劇……テンポがとろい。とにかく。
昨年、一昨年あたり、新橋演舞場が小劇場をフィーチャーした公演を行なったり(『アテルイ』とか)
松たか子を座長に起用したり(『嵐が丘』)新機軸打ち出してましたが、
最近はまた従来の演歌歌手などによる座長公演(第1部演劇/第2部歌謡オンステージ、みたいな)
にメインを戻したらしい。バキっと折られちゃったか?新機軸。
敗因は……なんせ途中に長い休憩が2度入るんですよ。
(なぜなら新橋演舞場とか明治座とかには、食堂やおみやげ物屋さんがあるんです…)
そのフォーマットに小劇場系のストーリーを当てはめると、芝居の流れが分断されたり、テンポが間延びしちゃったりという面も多々…
そうした面も原因として否めないのかしら?と勘ぐってみたり。

で、そうした前例プラス、いかな若く見えるとはいえ上川隆也(39)&風間杜夫(55)という、
新選組としては「ありえなくな~い?」な高齢の土方・近藤。
だだだ大丈夫なのか…。

結果として、こんな心配は杞憂に終わりました。(と言えると思う←弱気)

私は司馬遼太郎の原作は読んでないんですが、
大河ドラマと『壬生義士伝』(by 浅田次郎)で得た知識に照らし合わせてみると、
かなり大胆にエピソード、ブッた切ってるんじゃないかと思います。
私、史実の新選組って殺生ばっかしてて嫌いだし、土方歳三もなんかスカしててケッって感じ
(大河の山本耕史は、そうゆう意味でかなりイイ線だと思う;)なんだけど、
もう”青春群像劇”としてのエッセンスだけ抽出したんでしょうね。
でも、選び出したエピソードが良いのか(脚本:鈴木聡)、つなぎ方が上手いのか、それとも両方なのか、
上演時間3時間超! 物語中に流れる月日もかなりの長さ! の物語を、
ダレることなく突っ走りましたねぇ。びっくり。

でも、新選組やそれにまつわるエピソードを知らない人は、ちょっとストーリー飲み込むの大変かも。
台詞も「ソンノウジョウイのキウンがたかまり、キンノウハも…」とか、熟語多いもんなぁ~
私の同行者はまるっきりわからんちんだったので、休憩時間に前幕を説明してストーリーを追う始末。
(でも「上川さんが格好良いから、筋がよくわかんなくても充分~~」らしい。←正しい見方)

贅沢を言えば、スピーディすぎて、土方が新撰組のあり方について苦悩したりするのが
いまいちピンときませんでした。
バックグラウンドを、もうちょい掘り下げて欲しかったかも。

ラサール石井演出の舞台って今回が観たの初めてだったんですが、
これだけ長い話をさっくりまとめあげた手腕はすごいなーと。
これから「こち亀」を見る目も変わりそうです。

プラス、商業演劇のフォーマットを踏まえつつ、
上手いこと現代風にアレンジした、チームの成功だなーと思いました。
大劇場には、特有の回り舞台とか花道といった装置があるのですが、これらも
「設備としてあるから、まぁ使うかー」というより、ちゃんと効果的に使われてましたし。
例えば、第1部の終盤、京での新撰組登場場面は、印象的でした。
前の場面で江戸を出立した試衛館の面々は、もう次の場では京都で「新撰組」
として名を挙げている、という設定なのですが
(間につなぎとして、京の人たちの噂が挿入されますが)

青みがかった薄闇の中、回り舞台が回転する上に立つ、数人の影。
そこに四方から次々と隊士が加わっていき、
舞台が回転を止め、彼らが横一直線に並んだところで、一転、まぶしいライト!
――中央に立つ風間杜夫に、ついうっかりウットリしてしまいました…。
こうゆう、空間をふんだんに使った演出ってのは、大劇場ならではかもしれませんね。

(って私じゃ漠然としか感じられんことを、さすがプロはうまくまとめる…

あと、アンサンブルとしてのちゃんばらを堪能させてもらったというか。
斬る役者さんをメインに据えて、大人数が斬ってはハけ、斬ってはハけ、
集団としての動きがダンスみたいに流れててきれいだし、ひとりひとりの型がぴたりと決まってる。
4月に劇団☆新感線の「髑髏城の七人」を観て来たのですが、
あのスピーディーな殺陣(あれはアクションの域ではないかと思う)とはまったく別物で、
でも不思議と「スピードが遅い!」って感じはしないんですね。
舞台だけでなく、そうした役者さんの層の厚みも、大劇場の良さかもしれません。

そういえば、心配していた“シニア新選組”。
いや、おっとこまえだったんですよ、杜夫が!!
おっとこまえですっとこどっこいな、お調子もんの近藤は、どー見ても、
いや、オペラグラスだとつらいけど、肉眼じゃ30代そこそこでしたわ!
「デコのはちまきで顔のたるみリフトアップしてるんちゃうんかい!?」
とゆー疑念も湧くほど、若いぜ杜夫。
思わず目頭に「スチュワーデス物語」のりりしかった教官姿が浮かびました。
もちろんBGMは「100℃でハートビート」。
あの当時理解不能だった「杜夫バブル」(なんかヘンに人気だった)も、さもありなん…。
(でも池田屋で階段落ちはしてくれなかった。ってあれは平田満か;)

若いと言えば、新選組の中でも若手の藤堂平助役の京晋佑。
若く見える、つか、あんたもー若すぎ!!
わしが高校の時から、演じる役柄の年齢が上がっとらんやんけ!!
大河じゃ中村勘太郎がやってるんだよ、オイ;
「あいつは若くて生真面目だからな。」とか言われる役を演じる40歳。
そういや去年『天使は瞳を閉じて』で観た、ハダカの腹筋もきれーに割れていたっけ…

そんな藤堂と同じ年回りとされる沖田総司は、真珠夫人のダンナ・葛山信吾で
たぶん舞台経験そんなにないんだろーなー、と思ったんですが、好演でした。
声も通るしカツゼツもいいし、何より明るくてさわやか~。
今回の中で、いちばん上手、というか扇のカナメになってて、私が「助演男優賞あげたいっ!」と思ったのは
山南敬助役の羽場裕一なんですが思うんですが、彼と絡んでても見劣りしなかったっす。

葛山くんには私、とってもやって欲しい役があって、それはフランス革命時代の”若き革命家“ってヤツなんですけど、
バッハとかハイドンみたいなうなじにおりぼんついたマキマキの頭して、
んでもって脚は膝下で裾絞ったキュロット+白タイツ。
(…なんか時代考証むちゃくちゃの気もするが;)
ビラかなんか持った片手を掲げて「シトワイヤン!このままではこの国はダメになってしまう!!」
とかなんとか、民衆を扇動して欲しい。きっと似やうわ。どっかにそんな役ないかしら?

羽場さん良かった~~。(ドンドン!と畳を叩きながら言ってると思いねぇ)
インテリでちょっとやなヤツだけど、だからこそ新撰組に心底同化できなかった山南。
逃亡して、追って来た沖田を見て「死に場所がやって来た」と、吹っ切れたよーな明るい笑顔。
恋仲だった明里との格子越しの今生の別れ…だうっ(T T)。
 (ここの明里役の女優さん、出番ちょいだし台詞もひとことだったんだけど、
切なくてすげーよかった)
幽霊になってからの妙な明るさも好きだわ。

そうそう。
山南の脱走に並んで、私が「ナンデ?」と思ってた新撰組がらみのエピソードに、
なんで近藤勇はあっさり投降したのか、ってのがあったんですが、
これも、風間杜夫の演技で、納得できてしまった。
「こうこうこうゆう理由で、俺は疲れちまったよ」って説明があるわけでもないんだけど、
3幕通して新撰組のクロニクルを見続けて「ああ近藤はもう、充分走り尽くしたんだなー」と、
観てるこちらも自然に腑に落ちる感じ。
羽場さんにしろ、杜夫にしろ、いかにもそれっぽい演技や台詞なしに、こっちが同化できるって、
すごいと思いました。


今回の舞台では、土方歳三が函館・五稜郭で死ぬところで終わるのですが、
その幕切れさえも、満開の桜の中で仲間達が笑っている、という、明るさ。
娯楽に徹したつくりで、今年観た中で、初めて「もっかい観たい!」と思わせる舞台でした。


……ってことで、どうかしてる後半へ続きます。


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