カエサルの世界

今年(2019年)1月中旬から「休載中」ということになっているのだけど、まあ、ときどき更新しています。

12月に読んだ本

2012年12月31日 | ☆読書とか    

 今年は、カエサルにとって「読書を再開した年」ということになりました。2年か3年くらいの間、まったく読んでいなかったんですけどね。
 4月から本を読み始めて、カエサルの世界でも紹介してきたわけなんだけど、ここ数ヶ月、「○月に読んだ本」というスタイルが定着しつつあるので、今月もそのスタイルでいきます。
 ちょっと気になるのは、今日が大晦日だということで、「12月の・・・」というよりも「2012年の・・・」みたいな記事を書くべきなんじゃないかということです。でも、気にしないことにしました。
 それと気になるのは、今日は大晦日・・・などと書いてはいるものの、この記事を書いているのは12月29日なんですよ。12月はあと2日あるわけで、どこかに出かける予定もないし、あと1~2冊は読んじゃうと思うんですね。でも、このことについては、29日までが12月、30日からは1月ということにする・・・ということで解決することにしました。
 どうでもいいけど、前置きが長いね。たぶん、この後はもっと長いんじゃないかと思います。よろしかったら、おつきあいください。


 宮城谷昌光『三国志』第七巻・第八巻

 曹操も死んじゃったし、劉備も死んじゃったし・・・というところなんだけど、次の第九巻は来年の10月の刊行予定なんだそうですよ。
 宮城谷三国志は、全巻が出そろってから読もうと思っていたんですよ。数年ぶりで読書を再開して、出ているだろうと思ったのに、出ていませんでした。まあ、いいや・・・と思って、買って、読み始めたわけだけど、その途中で、1年に1巻の発行予定であるということに気がつきました。カエサルは、イッキに読みたい人なんですよ。この続きはまた来週・・・なんてのは大嫌いなのです。何とかして欲しいんですけど、出版社には出版社の事情というものがあるわけで、そうした出版予定を確かめもせずに読み始めたカエサルがアサハカだったんですね。

 全くの別の話なんだけど、三国志には鉄砲が出てきません。水滸伝にも鉄砲は出てきません。たぶん、西遊記にも鉄砲は出てこないと思います。もちろん、春秋・戦国、秦、楚・漢には鉄砲が出てきません。あるとき、そういうことを、ふ、と考えてしまったわけですよ。
 カエサルは中国史についてそれなりに知っているつもりでいたのだけど、とんでもない勘違いをしているんじゃないかと思いました。基本的に古代史しか知らないし、しかも、人名・地名・完食名とかがゴチャゴチャになってしまってよくわからないというレベル。その「ゴチャゴチャになっている」というのは、まったく知らない、ほとんど知らないという人に比べれば1ランクも2ランクも上だとは思うのだけど、その「ゴチャゴチャになっている」という範囲が、あくまでも古代史の範囲にとどまっているということに気がついたりしたわけです。
 どうもね。知らないことが多すぎるぞ・・・なんて思ったりしたわけです。宮城谷三国志を読んでいてそう思ったわけじゃないですけどね。宮城谷三国志とか、宮城谷さんの春秋・戦後ものを読んでいたからそう思ったということは言えると思います。


 J・K・ローリング『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』III・IV

 第5巻のIIIとIV・・・ということになります。当初の発刊予定では、11月に第5巻、12月に第6巻が出るはずだったんだけど、出版社には出版社の事情というものがあるんでしょう。今年は第5巻までしか読めませんでした。まあ、来年の楽しみが残ったと考えることにします。


 伊坂幸太郎『SOSの猿』

 奇妙な小説ですね。グイグイと引き込まれてしまう・・・というのではなく、なんかヘンだな・・・と思いながら読み続けたという感じ。もし、イサカコータローという「ブランド」がなければ、最初の方で読むのをやめちゃったかもしれませんよ。
 でも、さすがにイサカコータローですね。第一部(と言っていいと思うのだけど)のラストでは、な、な、な、なるほど~!! と、驚愕させられました。ちょっと思いつく範囲で、安易に並べてしまうと、『夏と花火と私の死体』『桜葉の季節に君を想うということ』に匹敵しますね。
 こういう「ブランド」って大きいと思うんですよね。ちょっとオーバーな表現になっちゃうかもしれないけど、カエサルにとっての伊坂さんは、村上春樹・よしもとばななに匹敵するレベルになってきましたよ。ノーベル文学賞、狙ってもいいんじゃないのかな。
 ・・・とは言うものの、第二部(と言っていいと思うのだけど)については感心しません。こっちの方を褒める人もいるみたいなんだけど、カエサルとしてはスッキリしませんでした。この作品を手放しで褒めちぎるということはできないですね。でも、イサカコータローはまだまだ発展途上、これからとんでもないのを書いてくれるかもしれない・・・という期待を抱かせてくれる作品ではありました。

 伊坂さんについては、もう一言。いつ読んだんだか忘れたけど、『魔王』というのがあります。最近、再三にわたってアレを思い出すのですよ。
 アレも、作品自体としては、イマイチ、イマニ、イマサンくらいのものだと思うのですよ。なんか、スッキリしません。でも、あそこに描かれている「背景」は凄いと思います。だって、現実になりつつありますからね。


 坂東眞砂子『傀儡』

 鎌倉時代のお話です。北条執権体制になってからの話。ちょっと珍しいですよね。北条・・・誰だっけかな。読んでいるときは調べたりしたんだけど、忘れました。忘れたままにすることにします。その北条ナントカに復讐しようとする男がいて、その男に復讐しようとする女がいたりします。
 有名な人も出てきます。日蓮とか親鸞ですね。まあ、脇役ですけどね。でも、そういう人たちが出てくるくらいだから、宗教色はけっこう濃いです。宗教とは何なのか・・・みたいなことを考えさせられたりもします。
 まあ、何ていうか、坂東さんの作品だから、当然、ナマナマしいです。そういう表現がどうなのかなとは思うけど、大きく外れてはいないと思います。坂東さんの作品は、なんか、ナマナマしいんですよね。カエサルは、そういうところが好きなんですけど・・・。
 でも、あえてクレームをつけちゃうと、この作品の場合、登場人物が多彩すぎるんですよね。歴史上の有名人とか、あまり有名じゃないけど実在した人とか。復讐する男、復讐する女、西域から中国を経て日本に渡ってきた男とか。そうした多彩さ、彩りが、ナマナマしさを殺しちゃってるような気がするんですよ。神様とかも出てくるんだけど、なんか意外な感じがしません。
 特に、主人公とも言うべき傀儡師なんだけど、なんか、明るいんですね。プラス志向というか、前向きなんですよ。もちろん、それは人間としてとっても魅力的なことなんだけど、でも、どうなのかな・・・と思っちゃいました。


 スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女』上・下

 カエサルには「お気に入りの作家さん」とかが、程度の差はありますけど、まあ、100人くらいいます。そうした人たちの作品が文庫化(カエサルは基本的に文庫しか読みません)される度に、読むか、読まないか・・・っていうか、買うか、買わないかを考えるわけですけど、そうした「お気に入りの作家さん」だけでは読書生活を維持できないわけで、「新人さん」の発掘も心がけています。
 カエサルは、基本的に同じ本屋にしか行かない人です。基本的に文庫本しか読まないわけで、同じ店の同じコーナーを徘徊しながら「面白そうな本」を探すということになります。言うまでもありませんが、「カエサルにとって面白い本」を探すわけです。カエサルは書評家ではないし、読後感想文を書かねばならないわけでもないですからね。
 そうした中で、海外ミステリっていうのは、面白そうな本の宝庫ですね。ミステリには限らないけど、わざわざ日本語に翻訳して出版するくらいだから、ハズレはめったにありません。でも、翻訳のためにかかる費用もあるんだろうけど、高いんですよね。それに、厚いわけです。たいていの場合、2分冊になっていたりします。この『ミレニアム1』にしても、800円×2冊で1600円でした。見たことも聞いたこともない(カエサルは書評サイトとかはほとんど見たことがありません)作家の作品に対して、試しに、ハズレでもいいや・・・ということで1600円を支出するのには勇気がいりますよね。カエサルの読書生活は、そうした経済観念を基盤としています。
 『ミレニアム』は、気になっていました。全世界6300万部、日本だけで160万部。ハズレのはずがないし、ハズレだとすれば、カエサルの世界とその他の人たちとの世界とのズレを実感すればいいだけの話です。でも、カエサルの世界とその他の皆さんとの世界はズレていますからね。
 よし、買ってみよう・・・と思ったんだけど、そこで気になったのが、映画化されているということです。映画やテレビとのタイアップというのは、嫌いなんですよ。小説としてはそれほど面白くない作品を、映画として面白い作品に仕立てているということがありますからね。なんか、信用できない・・・という気がしちゃうわけです。それで、1回目は、躊躇しました。
 この4月から読書を再開したとは言うものの、カエサルが本屋さんに行くのは月に2回くらいです。中断する前から、そんなペースです。あらかじめ欲しい本があるというならともかく、何か面白い本はないかな・・・みたいな感じで本屋さんに行くとなると、まあ、1時間くらいはかかります。そういう時間をつくれるのは、月に2回くらいということになります。その間、『ミレニアム』には注目し続けていたんだけど、フンギリがつきませんでした。そのつけなかったフンギリをつけようと思ったときがあったんですけど、そのときには『1』がなかったんですよ。そうなると、なんか読みたくなっちゃうじゃないですか。それまで、カエサルが読んでみたい本のCランクだった『ミレニアム』がBランクに格上げになった・・・と、まあ、そんな感じです。
 カエサルが本を買うとき、まあ、10冊くらい・・・というのを基本にしています。4月に読書を再開したときには、Aランクだけで10冊を超えていたわけで、かなり困りました。でも、5月、6月となり、7月、8月となれば、Aランクの本などなかなかありません。出版社には出版社なりの事情があるんでしょうからね。そうなると、Bランク、Cランクの本にも手を出すことになります。具体的に言うと、買うことになります。

 こんな話をしてどうなるんだ・・・と思ったりもしますけど、まあ、自己紹介ですね。あなたは本を読みますか、読みませんか・・・ということで言うと、本を読まない人にとっては関係のない話です。でも、本を読む人、文芸評論家さんみたいなプロの人ではなく、善良な一市民としての本を読む人にとっては、どんな本を読むか、読まないか・・・というよりも、どんな本を買うか、買わないか・・・ということがあるわけですよね。かつ、買った本を読むか、読まないか・・・ということがあるわけです。そういう話をしてもいいんじゃないかなと思ったりしたわけです。
 『ミレニアム』自体についての話、全然してないわけですけど、ちょっと安易に語れないですよ。凄い・・・とか、凄い凄い凄い・・・みたいなことは、このブログで言いすぎていますからね。安易に書きたくないという気持ちがあります。それに、この後、『2』や『3』について書くことになりますからね。
 それでも・・・。
 それでも、一言だけ叫ばせてちょうだい。

 リズベッド・サランデル!!!!!!!!!!!!


 桐野夏生『ナニカアル』

 主人公は、林芙美子なんですよ。林芙美子・・・って知ってますか? あの『放浪記』『浮雲』の作者で・・・みたいな話になると、カエサルとしては、もちろん知ってますよ・・・みたいなことを言いたくなっちゃうのだけど、『放浪記』も『浮雲』も読んだことはありません。
 林芙美子の評伝とかいうことはではありません・・・と思います。林芙美子という実在の人物を登場人物としたフィクションです・・・ということになると思います。林芙美子だけではなく、ほとんどの人物は実名で登場します。凄いですよ。たとえば、ペン部隊というのがあって、作家や女流作家(作家と女流作家に分かれちゃうあたりが時代ですね)が戦地に派遣されるのだけど、そのメンバーというのが、尾崎士郎、川口松太郎、岸田國士、佐藤惣之助、丹羽文雄、菊池寛、佐藤春夫、吉川英治・・・という感じ。この他にも、いろいろと出てきます。そのうちの何人かは、作中の林芙美子と会話をしたりします。ケンカをしたりもします。まあ、あくまでもサイドストーリーって感じですけどね。でも、元文学少年としては、こうした名前だけで圧倒されてしまいます。
 カエサル、思ったんですけど、「名前を残す」っていうのは凄いことだね。さらに思ったのは、名前だけ知っていて中身は知らない・・・なんてことが往々にしてあるわけです。そうした状況の中で、実際にその人の作品を読んだことがある、とか、その人についてのエピソードを知っている、などということになると、いかにもその人のことを知っているという気になっちゃうわけです。でも、知らない。知らないということに気がつかなったりする。怖いことだと思いました。
 何はともあれ、『放浪記』『浮雲』を読んでみたいと思いました。この後に書くことになるけど、『ミレニアム2/3』を買いに行ったとき、探してみたんですけど、ありませんでした。今、調べてみたんだけど、青空文庫にはありました。


 スティーグ・ラーソン『ミレニアム2 火と戯れる女』上・下

 まあ、とにかく、『ミレニアム』については、ガーンと頭を殴られたような感じ。凄いです。さっそく第2巻と第3巻を買ってきました。ちょうど冬休みに入っていたりしたので、イッキ読みです。
 『1』の最初の方についてはそれほどでもないんだけどね。リズベラ・サランデルが登場するや否や、世界がガラリと変わります。凄い凄いです。カエサルもいろんな小説を読んでいて、いろんな登場人物と巡り会っているんだけど、これほど魅力的な人も少ないんじゃないかな。思いつく範囲で並べられることができそうなのは、ハンニバル・レクター博士かな。うん。そう書いてしまって、考えてみたんだけど、サランデルとレクター博士、似ていると言えば似ているかも知れない。かっこつけて書くと、通奏低音みたいなものを感じますね。

 舞台は、スウェーデンです。アメリカやイギリス、フランスとかの話は折に触れて聞くことがあるけど、スウェーデンって知らないじゃないですか。まあ、基本的には欧米諸国のひとつということになるんだけど、ボルボとかサーブも出てくるけど、ホンダやトヨタや日産も出てきます。ソニーとかキャノンとかニコンという名前も頻出します。なんか凄いなと思いました。それと、何と言っても、リンドグレーンですね。リンドグレーンを読んで育って、ソニーやニコンを使って、セブンイレブンに入って・・・、なんか親近感がわきました。
 警察は小さいですね。省略して書いてあるということじゃなくて、実際に小さいんだと思います。日本の警察機構とはかなり違います。人口920万人の国、面積は日本よりちょっと大きいという程度なんだそうで、そんなものなのかな。
 最後までわからなかったのが、金銭の単位。クローネ(スウェーデン・クローナ)と言うんだけど、1クローネがいくらくらいなんだか、よくわかりませんでした。せっかくだから調べてみましょう。えーと、GDPが3兆1578億クローネで、4845億ドル。ということは、1クローネは0.15ドルで、日本円にすると12円っていうところでしょうか。まあ、だいたいそれくらいだろうとは思っていたんですがね。
 ついでに調べてみたら・・・という話を続けてしまうとキリがないので、このへんにしときます。


 スティーブ・ラーソン『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』

 『ミレニアム』っていうのは、全10巻という構想で書き始められたんだそうですよ。カエサルの理解しているところでは、第2巻を書き終え、第3巻を書きはじめている段階で出版の話がまとまり、第1巻が出版されたときには第4巻が書き始められているというようなところだったんだけど、そのタイミングで、作者のラーソンさんが亡くなってしまったのだそうです。
 遺産とか、著作権とか、いろいろともめているみたいなんですけど、関係者の皆さんには是非なかよくなってもらって、遺された草稿をもとにした第4巻を出して欲しいですね。できることなら、第10巻まで読みたいです。

 まあ、そういうわけで、みなさん、よいお年を!!


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