読書日記と読書ノート 第三部(2013年6月~2015年6月) 吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

154、ル・ボン「群集心理」(講談社学術文庫)-その4―(4/4)

2017-05-09 06:35:24 | 読書記録

(2)ノートから-つづき-

第三編 第四章

①選挙候補者の文書による綱領は、あまりに明確であってはならない。口頭による綱領は、どんなに誇張してあってもさしつかえない。

②(選挙人団について)群衆は他から強制された意見を持つだけで、自ら考え抜いたうえでの意見をもつことはない。

③(議会議員について)

およそ指導者が、世論に先んずることはまれであって、多くの場合、世論の誤謬をそのまま受け入れるにとどまるのだ。

④指導者が、往々才知や学識を備えていることもある。しかし、これはたいていの場合、指導者にとって有利であるよりも、むしろ有害となる。知力は、事物の複雑な関係を証明し、説明や理解を可能にするから、その人を寛大にさせ、使徒たる者に必要な確信の強烈さを著しく鈍らせる。

⑤極端に偏狭な精神と結びついた強固な確信が、威厳を備えた人に与える力は、想像するだけでも恐ろしいことである。

⑥理想が次第に消滅するにつれて、種族は、その団結と統一と勢力の源泉となっていたものをますます失っていく。個人の人格と知能は、高まるかもしれないが、同時に、種族としての集団的利己心は、極度に発達した個人的な利己心に取って代わられて、気力の減退と行動能力の低下とが、それに伴うのである。

 

(了)


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