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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ハリーのセーター

2005-11-25 15:13:34 | ひらきよみ(読み聞かせ)
 先週にひき続き、「読み聞かせ」当番の金曜日です。

 今日は2年生のクラスに行ってきました。読んだ本は、これ
『ハリーのセーター』
 です。(こちらの絵本もすこし前に山猫編集長
紹介していました。読んでみようかなと思ったのも、そこで記事を読んだから
なのですが)

 絵本好きの方ならご存知のとおり、ハリーは、くろいぶちのある 
しろいいぬです。
 お話は、お誕生日におばあちゃんから、プレゼントが届くところから始まります。
表紙を開き、見開きの白いページをめくると、言葉はひとつもありませんが、
もうそこからストーリーは始まっています。椅子の上にプレゼントが置いてあり、
後ろ足で立ったハリーの顔はとても期待に満ちています。もう1枚めくると、
今度は左右両方のページにわたって、ハリーがプレゼントの箱のリボンを
ほどいている絵。そして、ようやくその次のページから本文です。
 
 題名を言ってから、最初の1行を読むまでの、この2場面に2年生の子供たちは
気がついてくれたかな?と思いながら、なるべくゆっくりとページをめくりました。
この始まりの2場面に気がつくと、つかないのとでは、おもしろさの度合いが
ちがうと思ったのです。

 プレゼントの箱からセーターを取り出すハリーの家の子供たち。さっきまでの
表情とは明らかにちがっている、ハリーの顔。セーターに編みこまれている
ばらの模様が気に入らず、みたとたん、すきじゃないな と思ったことが
よくわかります。

 セーターを着せられて鏡の前にいるハリー。街へ出て、他の犬に笑われたハリー。
デパートの売り場でセーターをわざと置いてきて、しめしめと思っているハリー。
それを見つけた知らない人が追いかけて、セーターを届けてくれた時のハリー。
それぞれの場面で、その時々の気持ちを、ほんとうに豊かに、ハリーは表わします。
目と口と耳と短いしっぽの動きだけで。

 ひとりぼっちになった時、セーターから毛糸の端がたれていることに気がつきます。
ほんのすこしだけ、もうすこしだけ、とひっぱっているハリーを、アンテナにとまった
鳥が見ていました。ハリーのほうは、鳥が見ていることには気がつきません。

 この鳥のおかげで、ハリーは へんてこなセーターから解放されました。
そして、鳥にとってもその毛糸はとても役に立ちました。
 せっかくの贈り物をだいなしにされた、とおばあちゃんも怒らず、セーターが
なくなっちゃったと、子供たちも悲しまず、みんなを困らせたハリーは悪い子だと
叱られもせず、最後はすべてが丸くおさまります。とても気持ちのよい
(読んでいる私たちも)、HAPPY END なんです。

 ハリーの絵本が長い間、多くの人たちに愛されているのも、よくわかります。


 さて、2年生のクラスの様子はどんなだったかというと・・・ものすごく真剣に、
途中クスリとも笑わず、聞いていてくれました。(担任の若い男の先生に、真面目に
聞くようにと言われていたのかな、と思いました。小学校での読み聞かせは、担任の
先生方の様子でクラスの雰囲気が決まりやすいのです)
 静か過ぎる時は、読み手としてはすこし不安がよぎるものです。でも、最後の
文章を読み終えて本を閉じた時に、「よかったあ」という安心の表情や、にっこりと
した笑みが2年生のクラスからもれたので、読み手の私も、安心しました。




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16 コメント

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工夫してるなぁ。いいぞ! (山猫編集長)
2005-11-25 18:06:47
『題名を言ってから、最初の1行を読むまでの、この2場面に2年生の子供たちは気がついてくれたかな?と思いながら、なるべくゆっくりとページをめくりました。』・・・いいです・いいですねぇ!☆☆

rucaさんのお話は、やっぱり上手なんだろうと思ったしだいです。はは。

本を読んで聞かせるというのは、読み手がその本をどれだけその世界に入っていけたかということ・・それが大切ですよね。

そして、伝えたいところをちゃんと持っているということ。すばらしいです!

よ~~く伝わったと思いますよ。

絵本の場合には、声に出せない部分をどうやって伝えたらいいのか、ワタシは読み聞かせの体験が無いのでわからないのですが、そういうところもrucaさんは大事にして読んでいるんですね。さすが!(^^*

--(や)--

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ハリー♪ (まみいご)
2005-11-25 22:55:09
rucaさん また出てきちゃいました♪

私も この前この本を 借りてきて

家で読み聞かせてみました。

そのときの 小3のお兄ちゃんの感想・・

(鳥の役にたったアレが)「なんで ちゃんとこの 柄になってるんだァァァァァ!!」(笑)でした!!

 

ほ・・・ホントだねぇ・・

でも めでたしめでたし♪でしょ?

と本を閉じたのでした(*^m-*)ププ♪
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ハリー! (RAMAママ)
2005-11-26 00:35:28
こんばんは!偶然、同じ日に私も「どろんこハリー」と「ハリーのだいかつやく」をUPしたんですなんかうれしくなっちゃいました



“静か過ぎる時は、読み手としてはすこし不安がよぎるものです”

…ホントそうですね!だれか突っ込みでも入れてくれると、もっとリラックスして読めるのに…と毎回思っています。

 rucaさんの記事はすごく勉強になります。

ありがとうございます
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そろそろ… (みぃ)
2005-11-26 06:21:40
ぬくぬくセーターが嬉しいですよね。

うちもまたこの絵本読んであげたくなりました。

まみいごさんの小三のお兄ちゃんとおなじつっこみを私が心の中でしてますが、うちのこどもたちからそのつっこみが出てくるのはもう少し先でしょうね。

私もrucaさん見習って今年は最初の扉の部分にたっぷり時間をとってみます。いつもお休み前は早く寝かせたくて急ぎ足なのです。反省。
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大好きな本です。 (percy)
2005-11-26 08:48:10
おはようございます。

私の好きな本だったので、書かずに入られませんでした。

ハリーシリーズ、うちにもあります。

最近は、あまり息子たちのリクエストに入ってこなくて残念なんですが。

1年ぐらい前に、ハリーのセーターを読んだとき、にいには、しきりに悪い子だ。って、言っていました。今読んだら、どう思うのかしら?気になり始めました。

rucaさんに読んでもらったら、もっと違う感想がでるのでは?と思いました。読み手の工夫も大事ですね。
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学校というチャンネル (海 五郎)
2005-11-26 15:42:11
こんにちは。

ハリーのシリーズはハリーがしゃべらない分、絵が語っている部分が多いので、子どもたちが絵を読むテンポに合わせる必要がありますよね。

あまり間を取ると、物語のリズムが壊れてしまうし、なかなか難しいものだと思います。

でも、そうやって読み手がいろいろと考えて読んでいるということや、読み手のその絵本に対する愛着というのは、必ずや聞く側に伝わるものではないでしょうか。

きっと、rucaさんの思いは子どもたちに伝わっていると思いますよ。



ところで、学校のなかで子どもたちと何かをやるということは、子どもたちのチャンネルは「学校チャンネル」になっているということです。

ぼくも自分が手がけているワークショップを学校の授業のなかで何度かやらせてもらった経験があるのですが、別の場所でやるときとはまったく子どもたちの反応が違いました。

時間をかけたプログラムであれば、徐々に子どもたちの方も「ここではこんな反応してもいいかな」といった具合にほぐれてくるのですが、短時間だとふだんの授業そのままに終わってしまうわけです。

まあ、これは理屈ではないのでどうしようもないのですけどね。

先生以外の人が教室にやってきて絵本を読むなんてことも、一昔前なら想像もできなかったことです。

rucaさんのやられているようなことから、少しずつ学校そのものも、子どもたちの学校に対する印象も変わってくるのだと思います。



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お誉めの言葉、嬉しいです (ruca)
2005-11-27 15:45:43
山猫編集長、こんにちは。



いやぁ~、そんなに誉めてもらって‥

とても嬉しいです。

「読み聞かせボランティア養成講座」というのが、今年のはじめに、市の主催であったのですよ。そのときに講師で来て下さった先生から、いくつかの大切なことを教えて頂いたのですが。その中で、こどもたちを甘くみてはいけない、というのがあって。たかが、絵本、たかが本読みと思ったら、それは聞いてくれる子供達に大変失礼だと言うのです。

だから、子供達の前に立つ時には、本の中味を吟味することはもちろん、何度も何度も繰り返して練習してから読むように、と言われました。小学校での読み聞かせは、全体で15分。2人で分け合うので、だいたい一人が1冊5分から7分程度の本を読むわけですが。手を抜こうと思えば、とっても簡単に済ませられるんです。でも、それじゃあ、聞き手に申し訳ないし、自分で自分が許せない。

1回1回が、自分自身の勉強ですね。はい。
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不思議 (ruca)
2005-11-27 15:54:48
まみいごさん、こんにちは。



何度出て来て頂いても、大歓迎ですよ。

ところで。鳥の巣の模様のこと、私も見るたびに「不思議~」と思っています。

でも、あのおばあちゃん、「どうやってあんだのかね?」と言いつつも、あんまり驚いた顔してませんよね?なんか秘密(あるいは、ばら模様になる秘伝)を知ってたりして、なんて‥。
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いろんな想い (ruca)
2005-11-27 16:00:42
RAMAママさん、こんにちは。



偶然、同じ時にハリーをupするなんて、気が合いますね、なんだかうれしいです。

前から、知っていた本でも、なんか急にその本が気になったり、とてもよく思えたり、すごく好き!ということに気がついたりすることってありますよね?(ないかな、私だけかな)ハリーのセーターも、ずっとずっと前から知っていたのに、なぜか去年は、小学校で読んでみようとは思わなかったのです。

他の方のその絵本に対する「想い」が伝わってきて、とても素敵に思えてくるから、絵本ブログはやめられませんね。
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使い分け (ruca)
2005-11-27 16:09:08
みぃさん、こんにちは。

私にも誰かすてきなセーター、編んで贈ってくれないかな?と思っているこの頃です(笑)。



眠る前の、おうちでの読み聞かせと、小学校での「ちゃんとした」読み聞かせは、やはりまるで別物ですよね。だいぶ前ですが、練習も兼ねてちょうどよいと、ふとんの中で同じ絵本(次回の読み聞かせと)を娘に読んだのです。そしたら、「その声じゃなくって、いつものママの声で」と言われました。いつもの声でどんなんだっけ?と思いつつも、力を抜いてだらっと読んだら、「そうそう、そっちのほうがいい」だって。なんか難しいです‥‥。
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