しばらく絵本について書かないうちに、今年度の「開き読み」は今日ですべて終了してしまいました。
当番だった2月23日5年生と、3月2日6年生のクラスでは、この本を↓読みました。
『エドワルド せかいでいちばんおぞましいおとこのこ』
ジョン・バーニンガム 作 千葉茂樹 訳
何年生のクラスでどの本を読もうか‥選書の段階が一番難しく、一番楽しいひとときですが、この頃は「直感」で選ぶことが多いような気がしています。
小学校で読む場合、話の運びや結末はもちろんのこと、学年に見合った内容かどうか、季節感、ペアの方が選んだ本との組み合わせなんかも考え合わせます。でも、理詰めでいっても、最後は「自分がそのお話が好きかどうか」になってくるし、ぐるぐるぐるぐる巡ったあげく、最初のひらめきに戻るといったこともよくあり、それならば直感勝負で‥という感じです。
この『エドワルド』もそんなふうに出会い、見つけた1冊でした。
「世界で一番おぞましい男の子」 おぞましいってなんでしょう? 普段ぜんぜん使わない日本語です。原題では THE HORRIBLEST BOY となっていて、horrible は terrible よりも、もっともっと手におえない状態なんだろうなあと思います。
さて、主人公のエドワルドは、ほんとにそんなに悪い子なんでしょうか。
エドワルドは どこにでもいる ふつうのこ。
あさ おきたら ふくをきて、
ごはんを たべて がっこうへ。
かえってきたら ゲームであそんで、
ごはんを たべて おやすみなさい。
こんなふうにお話は始まっていくのに、です。
物事には、必ずいい面とそうでない面の二つがあって、お話の前半は、エドワルドが何をしても、「よくない方の面」ばかりが大人の目につきます。読み手である私たちが、こんなふうに言われたエドワルドはどうすればいいんだろう、と思いっきりかわいそうになった時、お話の後半では、一転して「よい面」ばかりがクローズアップされ、おもしろいように、何をしてもエドワルドは誉められ、運さえも見方につけます。
エドワルドを中心にして考えると、彼の「いい面」「よくない面」になりますが、エドワルドに判断をくだす側に立ってみると、「彼のよいところを見つけられる(あるいは見つけようとする)大人」と「彼のいいところを見つけられない(あるいは見つけようともしない)大人」に分けることもできると思います。
教室で読むということは、担任の先生も一緒に聞いているということなので、ほんのすこし、それも意識しながら読みました。読んでいる私と、ペアのOさんと、先生以外は、なにしろ「現役のこどもたち」なのですから‥。
5年生、6年生はどんなことを思っていたでしょうね。
大人はこんなふうに誤解ばっかりするんだよな、とか、最初っからきちんと顔を洗ってから学校へ行けばよかったんだよ、とか、誰にだっていいところはあるよな、とか、大きな声を出したからって、逃亡中のライオンが檻の中にかえっていくかあ??とか。
そうそう、ライオン2頭がなぜか逃亡中で、クリーニング屋さんの前を歩いていた時、突然のエドワルドの大声に驚いて、自ら檻の中に戻っていく、という場面があるのです。
「たいしたもんだ エドワルド。
ぜひとも、てつだってくれたまえ」
そう言われて、サーカスのライオンの檻の中で掃除しゃちゃうところが、私はこの本の中で、一番好きです。
ジョン・バーニンガム作品のこういうところが、ほんとにいいなあと思います。
※ ※ ※
次回は、開き読みの最終日、3月16日に読んだ本のことを書こうと思います。
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子どもの自由奔放さをなくしてしまった私たちには、ドキッとさせられますね。
つい、大人にとって都合のよい子どもが「いい子」と思われがちです。
バーニンガムの絵本は、親や先生にこそ読まれるべきかもしれませんね。
お嬢さんの受験と卒業式、お疲れ様でした。
そして、おめでとうございます。
3月は気候的に不安定な日が多いですが、記念日的な行事
も重なると、心身ともに、ゆらゆらさせられますよね。
くっちゃ寝さんのところは、「青春」って感じの
女の子がお二人なんですね~。まだまだちょっと想像
できないけど、楽しくもあり、大変なこともあり
なんでしょうか‥。
ところで、バーニンガムの絵本。
突然、サーカスのライオンが檻から逃げたりする、
「遊びの場面」がとっても好きです。
人生、笑いがないとね、って教えられているような
気がします。
そうそう、それと、くっちゃ寝さんにご報告。
3月30日から四日市へ帰省するので、4月の始めに
滋賀の美術館へ行かれそうです。新日曜美術館は
見逃してしまったのですが、くっちゃ寝さんの記事
とても参考になりました。
年齢にあわせて絵本を選ぶのって確かにとっても難しいですよね~。
でも、一番大切なのは、読み手がその本を好きなこと。その絵本を通して、聞いてくれる子供達に伝えたいことがあること・・・が一番大切だと思います。
ちょっと難しいかな?という内容の本でも、小さい子なりの新鮮な反応があって楽しかったりしますし、その時はよくわからなくても、同じ体験をした時に、この感覚「あっ!あの本のあの子と一緒だ!」と感じたりしてくれたらうれしいですよね。
この絵本は私も大好きです。久しぶりにTBさせていただいます。
コメント残してくれて、ありがとうございます。
言葉を交わすのは久しぶりでも、毎度毎度伺って
いるので、幼稚園のおべんとうバッグの方が、絵本
バッグより先にできたことも、よーく知っています。
松岡享子さんの「みしのたくかにと」も図書館で
早速借りてきました。
「エドワルド」は、図書館で偶然に出会ったと
思っていたけれど、TBしてくれたkayoさんの記事を
読んでいたことが、知らないうちに自分の中に
しみわたっていたのかもしれないですね。
そうやって、みなさんのおかげで、絵本が自分の
ものとなっていっているような気がしています。
実は時々読ませて頂いているのと、他の方のブログ等でも
お名前など諸々存じ上げていました。
「エドワルド」とても好きです。
娘と一緒に作ったフェルトのお人形は、すぐにエドワルドと命名されました。
この子が息子とよく似ていて・・・とても親近感を覚えたのでした。
私も小学校で子どもたちの前で絵本を読むお母さんをやっていますが
一緒に聞いてくださる担任の先生を意識して選ぶこともあります。
でも、やっぱり自分がノッテいないとダメですね。好きな本は静かなお話でも、ノッテることがよくわかったりしますもん。
またお邪魔させて頂きたいと思います。
上の本にも早速・・・
今日気付きましたが、同じ埼玉にお住まいなのですね。
どうぞ宜しくお願いします。
コメント残してくれて、どうもありがとうございます。
私もjasuminさんのお名前は、あそこやあそこや、あのお店のブログで何度も目にしていたので、こうしてお話できてとても嬉しいです。
早速駆け足で、jasuminさんのところを見させていただいたのですが‥埼玉県の、私とは違うK市にお住まいなのではないですか?荒井良二さんのワークショップが開催された美術館のあるK市だとしたら、あの「時の鐘」や、芋掘り遠足などで有名なK市ですよね。(もしそこだとしたら、母の実家がある市なので、わりと詳しいです)
私もK市在住なのですが、かつて鋳物の街として栄えたK市です。
jasuminさん、ことり文庫さんへもお出掛けですよね?
いつか会えたら楽しいですね。