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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

クリスマスの絵本・その4(サンタクロースと乗り物)

2005-12-11 01:50:49 | 好きな絵本

 クリスマス絵本その3で、サンタクロースに「こんなものはいかがですか」と、数々のユニークな道具を紹介する絵本のことを書きました。 今度は、サンタクロースが相棒のトナカイたちではなく、別の乗り物を使って、プレゼントを渡しにいくお話です。
 

『クリスマスのおくりもの』 ジョン・バーニンガム作 

ここに登場するサンタさんは、乗り物が大好きで、毎年何に
乗ってプレゼントをくばろうか、と考えているわけでは
ありません。やっと自分の家に帰り着き、トナカイたちをベッド
で休ませ、やれやれこれで眠れるぞと思ったそのときに、
袋の中に、ひとつだけ残っていたプレゼントを見つけてしまった
のです。できれば、もうぐっすりと眠りたい。パジャマに着替えて
しまったし、疲れて眠っているトナカイたちを起こすことは
できないし。 

けれども、サンタさんには見て見ぬふりなんかはできません。
まして、ひとつ残った贈り物の宛名は、「ハービー・
スラムヘンバーガー」。彼の家はとっても貧しくて、今までに
もらった贈り物はたったひとつだけ、それもサンタクロースから
のものでした。サンタさんは、パジャマのうえに 
サンタクロースのあかいコートをきて ながぐつをはき 

ハービー・スラムヘンバーガーの家がある、遠く離れた
ロリー・ポリー山のてっぺんへとつめたいふゆのよるのなかを
とことこあるきはじめました。 


ここからが、この絵本の「みせどころ」というか、
「よませどころ」というか・・・。

そんなにとおくまでいかないうちに 
じぶんのひこうきをもっているひこうきのり 
に出会います。そして、「もうしわけないが、
てつだってもらえまいか」
と切り出し、
事情を説明します。もちろん、ひこうきのりは快諾し、
飛行機で行けるところまでいってくれることになりますが、
雪が激しく降り、地面にぶつかってしまいます。
サンタさんは、また雪の中を歩きはじめ、ひこうきのりが
教えてくれたジープを持っているおとこを尋ねます。
そこでまた、「もうしわけないが~」と事情を話し、おとこと
一緒にジープに乗り込みます。 

飛行機・ジープ・の次は何でしょう? バイクです。
バイクの二人乗りで思いっきり投げ出されてしまった後は、
女の子のスキーの後ろに乗るんです。もちろん、話し掛ける
時の最初の言葉は、「もうしわけないが~」。
女の子も行けるところまで行ってくれようとするのですが、
スキーにひびがはいってしまいます。


 このように、心よくサンタさんを自分の「乗り物」に
乗せた人たちは、最終目的地まで行くことはできません。
でも、次の乗り物を持っている人を教えてくれたあとに、
こう言います。
「だいじょうぶ クリスマスには きっとまにあいます」

 
 繰り返しの会話が、予想できるおもしろさだとすると、
絵のほうは、予測できない大胆な構図や、工夫に満ちています。
 
 ジョン・バーニンガムさんの絵本‥。
そんなにたくさん読んだわけではないのですが。この
『クリスマスのおくりもの』に限って言えば、とっても
「映画的な絵本」だなあと思いました。
 たとえば絵コンテの中から、印象的なコマを選んで、それを
絵本の場面として効果的に表すためには、どんな手法を使おうか
って思っているのではないかなあ、なんて。絵だけを何度も
見ていうちに、そんなことを思いました。

そして、描いている本人が、一番この絵本を楽しんでいる
のだろうなあとも。



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4 コメント

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映画 (newsongs)
2005-12-11 11:00:50
この作品、先日他の方のブログでとりあげられていて、

図書館で借りてきて読んでみました^^

そりにも乗らず、歩いて山を登るサンタさんが

何とも印象的でした。



映画的、というのはなるほどと思いました^^

バーニンガムの作品はどれも大好きなのですが

確かに場面を考え抜いて選び抜き、描いているような感じがしますね。

もちろん他の作家さんもそうなのでしょうけれど

私にとって印象的な絵が多いです^^
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こんばんは (海五郎)
2005-12-11 23:42:11
この絵本、いいですよね。

訳が、たしか長田弘さん。

ぼくも今回紹介したかったのですが、どうやら手元にはなかったみたいで。

rucaさんがすてきな紹介をされているので、ぼくは来年以降のお楽しみに取っておくことにします。

返信する
エンターティナー (ruca)
2005-12-12 14:02:46
newsongsさん、こんにちは。



ジョン・バーニンガムさんの絵本を、色々思い浮かべるにつけ、ほんとに『絵本つくりのエンターティナー』だなあと、思ってしまします。

この「クリスマスのおくりもの」でも、ジープを走らせる場面で、すごーく小さくジープを描く事で、広大な荒地をひた走っているような、雰囲気が伝わってくるし、サンタさんがやっと家に帰り着くところでも、ブルーの画面に、家とサンタさんだけが描かれることで、ほんとに遠い、遠い道のりを経て、やっとたどり着いたことが、強く伝わってきます。



※この絵本について、他の方のブログも読んでみたくなりました。
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来年の予約記事??? (ruca)
2005-12-12 14:08:27
海五郎さん、こんにちは。



私も、クリスマス絵本の中で、かなりお気に入りのものがあったのですが、その本が手元になく、ちょっと残念な気持ちになっていました。でも、そうですよね、何も今回が最後じゃないのだし。『来年以降のお楽しみに取っておくこと』にします。



五郎さんの書かれる(予定)の、『クリスマスのおくりもの』の記事、楽しみにしています。
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