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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

いつか感じた風の匂い

2006-05-19 11:05:49 | 好きな絵本

 この本も、「詩人が贈る絵本」シリーズの中の1冊です。

十月はハロウィーンの月
『十月はハロウィーンの月』

 ジョン・アップダイク
 長田弘 訳
 ナンシー・エクホーム・バーカート 絵





 原題は『A CHILD'S CALENDAR』 子供時代の1年間の、詩のカレンダーです。

本を開いて‥左のページにその月の詩と小さいカット、右のページ全体に、その月に
とてもふさわしい絵、という構成になっています。
 
 題名には「10月」が入っていますが、表紙に使われている絵は、JUNE 6月のものす。
でも、違和感を覚えないのは、パステルグリーンのチェックの地のせいでしょうか。

 
 今は5月なので、そのページの詩を、ここに残しておきたいと思います。

      May

    5月だ。子どもたちは
     外へ でてゆく。
    上着なし で
     キャンディー・ストアへ。

    5月だ。 リンゴの木 が
     枝いっぱいの 花を
    空中に 浮かべている。
     梨の木も。

    5月だ。父親は
     クワを とりだしてくる。
    家の横の 土のところに
     トマトを 植えるのだ。

    5月だ。そのあとは
     もう 何も しない。
    たぶん 野球を 見る。
     テレビを つけて。

 
月ごとの絵の中には、そこにしか吹いていない、その季節の風までもが
描きこまれています。
 5月の風は緑の葉を揺らし、6月の風は川面をなで、8月の風はブランコに乗る
女の子の髪の中で遊び、12月の風は、うっすら積もった窓枠の雪の上に佇んでいます。


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