朝7時過ぎ…。うわっヤバイ寝坊した!…と思ったら今日も休みでした。
どうやら変な夢にうなされていたようです。
さて今日はこの時間から既に上洛の身であるが故、二度寝なんて以ての外です。というかやりようが無い(笑)…。
時間は待ってくれないけど、まあ肩の力を抜いて久々の独り逍遥とまいりましょう。珍しく「地下鉄バス共通一日乗車券」なる物を購入して意気揚々と出たはいいが、初っ端からイレギュラーなネタを仕入れてしまった。駅構内のアナウンスで「地下鉄東西線が台風18号の大雨で浸水したため一部区間運転見合わせ…」との事。早くも台風の爪痕を目の当たりにして気が滅入ります。
気を取り直して駅前からバスに乗り、本日最初の目的地へ…。
スタートを飾るに相応しい魅惑の絶景は、何度訪れても悔いが無い圧巻の様式美です。
言わずと知れた「蓮華王院・三十三間堂」。早速拝観料600円を納めて中へ入ります。当然ながら内部の撮影は禁止です。できればフルサイズで1カットぐらい撮りたい所だが、それが出来ないのはストレスです。等身大の観音像がズラリと1000体も並ぶ光景は正しく息を飲みます。これだけ像があると「会いたい人に似た像が必ず居る」と言われるのも頷けます。しかしここに在る国宝の数が半端ない。いったい何躰あるんだろうか?…もうここに来ただけで元を取れた気分になるといっても過言…か(笑)。博物館とは違う緊迫感に心が浄化されます。
あまりに見事なため、拝観に1時間も要してしまった。アカン(汗)…この後のスケジュールが狂ってしまうぞ!
しかし今日の天気は雲ひとつ無い素晴らしい空模様です。朝はヒンヤリ肌寒かったけど、陽射しと共に気温も30℃位に上がってきました。でも湿度が低いのか幾分凌ぎやすいです。
一服した後、ちょっと焦りつつ少し早めに撤収してバスで京都駅に戻ります。
時計を見ながら駅界隈を徘徊、ポルタ(地下街)内にある老舗喫茶店イノダコーヒーに落ち着きました。アイスコーヒーとハムトーストで軽い朝食を取りました。流石にコーヒーは美味い。緊張が解れるねぇ~♪
さて、ここでこの旅に一人仲間が加わります。その名も謎の女「ユミ」という当ブログ初登場のキャラです。彼女とは10時過ぎに京都駅前で合流しました。100%京都人の彼女は気さくで会話が弾みそうな印象。楽しい旅になりそうです。京都人ならばと安心してたけど、彼女もあんまり京都の事を知らないと聞いて思わず大ウケしてしまいました。挨拶もそこそこに彼女と共に再びバスで移動、今度は三十三間堂手前の七条京阪前で下車、鴨川と並走する京阪線に乗り換えます。
ひとつ先の清水五条で下車して向かった先は「半兵衛麩」という麩と京ゆばの専門店。300年以上の歴史を持つ京の老舗です。ここでは「むし養い」という麩とゆばのコース料理を味わう事ができます。
このコース料理は予約しないと食べられないため、何日か前に電話で予約を入れておきました。「むし養い」とは何かと申しますと、直訳すれば「腹の虫に食物を与える」で、一時的に空腹を凌ぐという意味です。本格的な昼食ではなく軽いブランチといった所でしょうか。中に入るとそこは旅番組なんかに出てきそうな雅な「和」の空間。ガサツな自分は浮いてないだろうか?とつい目が泳いでしまいます(笑)。しかし上品でお洒落!京都って感じだなぁ~…。
麩とゆばは調理法で様々な味覚に変化します。どれも上品な味で、食ってナンボの僕には新鮮な体験でした。
食事にじっくり1時間、お昼過ぎに無事撤収して店を出ます。店の方が外に出て、我々が見えなくなるまでずっとお見送りをして下さいます。心に残る雅なお気遣いに感謝…。むし養いで胃も清められた感を抱いて、再びぶらり散歩を続けます。しかし陽射しが強い。軽く汗ばんできます…。
国道1号線を清水寺方面に歩いて途中から細い路地を上がって行きます。お次に向かった拝観地は、半兵衛麩から然程遠くない「六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)」。今年3度目の訪問です。本尊は十一面観世音。空也上人が疫病平癒の為に開祖した頃(963年)の作と伝えられています。
お堂に上がり参拝を済ませて御朱印を拝受。お香の漂う独特な空気に身が引き締まります。今回は時間的都合で宝物館はスルーしてしまいました。本当だったら空也上人像をじっくり拝観したかったんだけどね…。
続いてそこからほど近い場所に在る「六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)」へ向かいました。
ここは初めてお邪魔するお寺さんです。「六道さん」の名で親しまれているこのお寺、平安時代はこの寺一帯が「鳥辺野」という死者埋葬エリアであったため、この寺が「六道の辻」(現世とあの世の境界)と言われ、冥界への入口とされていたのだそうです。故にお盆時期は盛大な催しが開かれます。朱塗りの門をくぐるとすぐ脇で「文化財特別公開」の案内及び受付をやっていました。ラッキーな事に普段見れない本尊や寺宝などが拝見出来る(期間は9月30日まで)という事で、拝観料600円を納めて本堂に上がりました。
解説員と思しき方が寺の由緒、十界や六道の説明などをしてくれます。その後庭園にある「冥土通いの井戸」を拝見。この井戸は小野篁が冥土へ行く時の入り口という伝説があります。さらにその奥に最近発見された「黄泉がえりの井戸」も見る事ができました。という訳で予想以上に中身の濃い拝観が出来てとても良かったのですが、その分時間をハミ出してしまったので、お次の建仁寺拝観は別の機会という事にして止むなくカット、またまた尺の都合で運良くやってきたタクシーに飛び乗って次に行く「新京極」まで一気にワープしました。運転手さんが親切で、混雑する表通りを避けて裏ルートを走ってくれたので、あっという間に新京極真ん前に到着。ちなみに運賃は六道さんから新京極まで660円でした。
新京極はとても懐かしい。何せここに来るのが実に35年ぶりだからです。隣でユミが何やらウケている様ですが(笑)。京都に来た目的の殆どがこの地に集結しているといっても良い位、この新京極アーケードの中に寺社がズラリと鎮座しています。しかしオヤジの道楽に文句も言わず付き合ってくれるユミは本当に有難い。何より話し相手が居るというだけで気分も和みます。もしかしたらユミって存在は実は幻で、降臨した観音様か何かではないか?とさえ思ってしまう(笑)。早速探検開始。アーケードに入ってすぐの所に「染殿地蔵尊」があります。
お店とお店に挟まれた細い通路を入りますが、気にしてないとウッカリ通り過ぎてしまいます。
ここは安産祈願のお地蔵さん。自分には全く縁遠い文字列だが、ユミには御利益が授かりそうです(笑)。残念な事にここでは御朱印はやってないとの事。
次は「錦天満宮」。新京極に於いては唯一の神社です。
姉三六角蛸錦の言い回しでお馴染みの錦小路の突き当たりに在るのがこの神社。名の由来は通り名が先で、錦小路に建立したのでこの名になったそうです。ビルの谷間に立っている鳥居が両脇のビル壁にめり込んでいる光景は有名ですが、これは最初に鳥居があって、狭隘路地に後からビルを建てたためにこんな光景になってしまったのだそうです。そういえばこのネタ、テレ朝「ナニコレ珍百景」でもやっていましたね。
御祭神は菅原道真公。知恵・学問・商才・厄除・招福の神様として親しまれています。せっかくなので牛をナデナデして諸々祈願しました。
御朱印はありますが、御朱印帳に直に書くスタイルではなく、出来合いの物に参拝日を追記して渡されます。
続いて訪れたのが善長寺。浄土宗のお寺で立江地蔵尊を祀っています。別名「くさがみさん」と呼ばれ、無病息災・延命などの御利益があります。参拝はしたが人が居らず残念ながら御朱印も拝受ならず…。
続いてそのすぐ先にあるのが「蛸薬師堂・永福寺」です。
病気平癒や厄難消除に御利益があります。このお寺から真っ直ぐ横に伸びる蛸薬師通りの名はここから来ています。
仏前に「なで蛸」という木製の蛸像が座布団を敷いて鎮座していて、具合の悪い箇所をナデナデすると治ると伝えられ信仰を集めています。
また、この奥には阿弥陀様も祀られていて、すべて巡ると4種の御朱印を頂けます。
そのスグ隣にあるのが「寅薬師西光寺」。入り口が狭いため気をつけてないとウッカリ見落としてしまいます。場所はABCマート新京極店のお隣り。
中に入ると一般家屋の勝手口から縁側に入ったみたいな雰囲気なので少し躊躇してしまいます。脇にインターホンがあって呼び出すとご住職さんが出て来られます。
靴を脱いで狭い本堂に上がり、内陣の薬師如来、本尊の阿弥陀如来、そして腹帯地蔵尊などを参拝すると、用意している当寺の由緒を綴ったコピー資料と共に、寺町界隈の由来や何故この地にお寺が多いか等、丁寧に解説してくれます。お寺さん側との距離が異様に近いが故、アットホーム的で暖か味を感じました。寅薬師の名は、弘法大師作の薬師如来が寅の日・寅の刻に完成させた事に由来しているそうです。
更に新京極を上に進むと、スギ薬局新京極店のとなりに「東北寺・誠心院」があります。
藤原道長が和泉式部にお堂を与えた起源に因んで和泉式部寺とも言われています。参拝は自由ですが普段はお堂は閉ざされています。ここで時計をみたら当初の予定よりだいぶ時間をオーバーしています(汗)…。これは少し急ぎ足で回らねば!…。寺とも中で繋がっていますが、別の場所に和泉式部(心院専意法尼)の墓所(宝篋印塔)があって、これも自由に見る事が出来ます。
更にアーケードを上がって行くと、六角通りの突き当たりに「誓願寺」があります。
先の寅薬師でも述べていましたが、この辺一帯のお寺さんの総本山であるお寺で、本堂奥に本尊の大きな阿弥陀如来座像がデーンと鎮座しています。戦国時代の住職が難しくなりがちな説法に笑いの要素を取り込んだ書を作り、これが後世に「落語の祖」となった経緯から、このお寺は落語発祥の地と言われています。参拝した時もちょうど落語を披露している最中でした。じっくり耳を傾けている時間がないので次へ進みます。新京極のアーケードもだいぶ歩いて上の方にやってきました。MOVIX京都を過ぎて三条通りにさしかかると、角に「矢田地蔵尊」があります。
このお寺さんは先に訪れた六道さんと関係性があります。六道珍皇寺はお盆前に先祖を呼ぶ「迎え鐘」で知られていますが、この矢田寺は先祖を天に送る「送り鐘」で有名です。
ここの地蔵尊は別名「代受苦地蔵」とも呼ばれ、人々の病苦の身代わりになってくれる有難いお地蔵さんです。僕も腰を何とかしたいのでシッカリお参りしました。
さて、ここでそろそろ時間も危うくなってきました。矢田寺の斜め前にある老舗喫茶スマートに入って休憩する事にしました。
この先にもまだ寺があるのですが、とりあえずここで小休止です。なんか寺社巡りばっかりダラダラ綴ってしまいましたが、少なくとも興味のナイ人には退屈なブログとなってしまった事でしょう(笑)
しかし新京極ひとつ取ってみても、これだけ由緒あるお寺が林立しているのですから、京都は恐るべし!であります。
ここで同行してくれたユミが用事の都合でお暇という事になり、この後京都駅に戻る訳ですが、都合良く新京極を出た御池通りに地下鉄東西線・京都市役所前駅があります。しかし上手くは行かないもので、先にも述べた通り台風18号の鴨川氾濫で駅構内が浸水したため、運行休止になっていました(烏丸御池~小野間)。
さすが街中だけあってアクセスが全く不便でないのが助かります。地下鉄がダメなので市バスで京都駅に向かいますが、道路が混雑しているので少々時間を食いました。
京都駅に着いて、彼女は近鉄で帰路につきますが、僕も一駅だけ便乗する事にしました。
東寺駅で彼女とは流れ解散となり、お手手つないでのデート逍遥はこれにて終了。再び独り旅を続行です。
時間もそろそろ各寺社の閉門が迫っているので、徒歩数分の東寺が最後の拝観になるでしょう。締めくくりには相応しいビッグネームです。
教王護国寺・東寺。拝観は17:30までなので少し余裕があります。拝観料500円を納めて中を巡ります。
三十三間堂の「仏像の森」にはおったまげますが、こちらも負けじ劣らず凄いの一言!
大日如来を中心とする五智如来、不動明王を中心に五大明王、金剛波羅蜜多菩薩を中心に五大菩薩・四天王・梵天・帝釈天と圧巻の世界。最後の目の保養には充分過ぎるインパクトでした。
東寺の御朱印で始まった京都限定の御朱印帳も、最後の空白を東寺でフィニッシュを迎えて一冊完了しました。
東寺を満喫して17時過ぎ、ここである事に気付きます。道理で体調が優れないと思ったら、半兵衛麩以来何も食べてないまんま興奮状態が続いていたので、空腹に気付かなかったのです。もういい加減何かを摂取しなければ!
できれば京都らしいお食事が出来ればなぁ~なんて思いながら京都駅に向けて徒歩移動していたら、視界に飛び込んできたのはなんと(笑)
強烈な誘惑です。オイオイ、やよい軒なんて何処にでもあるだろ?…それより京都ならではって物を…と自分に言い聞かせますが、気が付いたらやよい軒で注文していました(笑)。
仕方ね~なぁと呆れながらもハンバーグ定食をご飯3杯でしっかり補給して京都駅に到着。ここで更に問題が発生。
イッパイ食ったから、今度はモーレツな睡魔が襲ってきたのです。朝から歩きっぱなしで仮眠も取ってないのだから無理もありません。駆け込み寺とばかりに再びイノダコーヒーへ入って休憩を取る事にしました。
いつもの弾丸ツアーならとっくに東京に帰ってる時間です。今回は試験的に丸一日の日帰り旅なため、予測不能な事態が起きているのです。
とりあえずトースト&アイスコーヒーでクールダウンして、早くもiPadでブログ作成を始めながら暫く身体を休める事にしました。しかし今日は新京極を中心に行きたかった寺社を殆ど巡る事が出来て本当に有意義な一日でした。改めて付き合ってくれたユミには心から感謝したいと思います。
さて、身体の充電も4~5割ほど快復したので、今度は地下鉄烏丸線に乗って北上します。
下りた先は丸太町駅。ここから徒歩でさらに北へ10分ほど歩くと「護王神社」に着きます。
時間的に御朱印拝受は不可能ですが、参拝は21時まで可能なので、夜道をテクテク歩いて訪れてみました。時間にして今20時頃。寺社の参拝はココが最後になります。何故ここに来たかというと、自分はギックリ腰をやったり足腰にかなり負担をかけている毎日で、この神社が足腰に御利益があるからなのです。
夜ともなると半袖では少し肌寒いです。再び丸太町から地下鉄で京都に戻り、待機時間の合間に近未来的な京都駅舎の異様な巨体に入り、ブラブラ駅探する事にしました。エスカレーターで上に昇って行くと駅前の美しい夜景が目に飛び込んできます。
この日帰り旅もそろそろ終わりを迎えようとしています。ユミとはLINEで色々話しながら今日一日を振り返りました。読者様もダラダラと長文につきあって下さって有難うございました。
京都駅の大階段ではイルミネーションでニクイ演出をしていました。結構キレイだったのでこの画像を最後に今日の日記は無事終了…