lightwoブログ

競馬のスポーツとしての魅力や、感動的な人と馬とのドラマを熱く語ります。

最後まで

2007-11-18 19:29:05 | 競馬観戦記
何かを諦めること。
それが大人になるということ。

何も知らなかったあの頃は先のことを想像しても
所詮自分の知っている範囲を越えない。
大人がこんなに詰まらなくて夢が無いことを知らないから。

平凡でいることに幸せを感じ変化を望まない日々。
毎日が当たり前のように過ぎていつの間にか月日が流れていく。
期待することもされることも無くなっていく。

私も大人と呼ばれる年になった。
同じように君も年をとった。
一線を退いてもおかしくないほどに。
そういえば今日が最後のレースだってね。

折り合いさえつけば。
力を発揮できれば。
スピードはトップレベルなのに。

そう言われ続けて。
そう言われることに慣れて。
そう言われることも無くなった。

先頭を走る君を早くも追い抜いていく者がいる。
レースの主導権を奪いスピードで押し切る。
彼はまるで全盛期の君みたいだ。
そう、君は彼のような実績を残せるものだと思っていたんだ。

彼は力強く上がっていくが、君はズルズルと下がっていく。
そんな光景にも誰も失望したりなんかしない。
だってもう誰にも期待されていないんだから。
たとえ夢を見ていても先回りして最初から諦めているのだから。
それが当たり前のことなんだから。

力強く抜け出した彼に後ろから刺客が迫る。
思わず負けるなと応援してしまう。
彼はそんな期待に応えるようにゴール前でもう一度伸びた。
先頭でゴールを駆け抜けもう一つ勲章を手にした。
彼も今年で引退ということで、栄光に包まれてのものになりそうだ。

君は結局最下位でのゴールとなった。
もう限界だと自他共に認める結果。
精一杯最後まで走りぬいた。
もう思い残すことは何も無い。
そうだろう?


最近読んだ本にこんな一節がある。

昨日という日があったらしい。
明日という日があるらしい。
だが、わたしには今がある。

君もきっと同じような気持ちで走ったんだろう?
昔、凄く期待されていたとか。
この先どう生きていこうとか。
そんなこと関係なく今日のレースを走りきる。
それだけを考えて。


私の引退はまだまだ先だ。
しかし、無邪気に夢を見られるほど若いわけでもない。
先のことを冷静に想像できるくらいの経験は積んでいる。
でも、そんなことは関係ないんだよな。

とりあえず、今感じたことを今書いてみる。
そこから始めてみることにする。
これにどんな意味があるかなんて考えずに。

君のように限界まで。
君のように最後まで。