吉田屋のブログ。「新・自給ライフ研修旅館」を発信します!

「ミニマム」でいい「持続可能」であれば。あの日からそんなふうに思う。笑いながら汗を流し、ドンと構える社会を掴みたい。

ブルーベリー、生産者からの思い。 第二弾!

2009年05月30日 | 2011年3月までのブログ内容はこちら
■ブルーベリーの栽培ポイントその②「かん水」「防鳥」で汗をかく。

根が浅く、毛根をもたないブルーベリーは乾燥に弱く、
とにかく「かん水(水やり)」が重要です。
しかし、圃場には水道がありません。

標高が高くで井戸を掘るわけにもいきません。
近くに川も用水もありません。
そのため軽トラックに300リットルのタンクを積み込み、
往復4キロ距離を水汲みに行きます。

昨年よりエンジンポンプを利用し、比較的な時短になりましたが、
夏の干ばつ時期には1本の樹木に対して約5リットルのかん水が必要になり、
5月の果実肥大期から収穫までの間欠かすことができません。

また、果実が熟す約一か月間、鳥との戦いです。
昨年はほとんどが鳥に食べられてしまいました。
また、既述のとおり、かなりの暴風で簡易ハウス用のパイプでは歯が立たず、
パイプごと折れてしまいました。

失敗を糧に、今年は建築資材を使い
暴風にも耐えることができるネットを立てました。
地道な作業ですが、おいしいブルーベリーの実のためと思うと、
汗を流し費やす時間も惜しみません。

大きなネットを設営し、鳥害の心配はなくなっても、
カメムシやカミキリムシなどの害虫からも守らなければなりません。
受粉の要となる蜂や害虫を食べてくれるカマキリなどの益虫もいることですし、
農薬は使いません。

害虫を発見するとすぐに退治しています。
派手さはありません。地道な観察が実を結ぶのだと実感しています。


6月中旬から、私たちの初めての挑戦である「売るための収穫」が始まります。
そこにどんなドラマがあるのか、今から楽しみです。

■生産者になって思うこと

わたしは、農業分野の挑戦において、生産部分にかかわる機会が
これまでも多くあり、その中で感じた気づき・思いを3つの思いがあります。

①「相手は自然、待ってはくれない」 
 季節を感じながら、天候や天災の影響を受けながら、
 でも、育っていく・変化していく作物を相手にしていること。
 
 こうなる、こうしたい、という期待を全く持って裏切られるかもしれない。
 でも、生命力はだれにも止められない!やるしかない!というのが生産だ!

②「観察から導いて予測することが大事」 
 育つ・変化の中にもその作物によってのルールや方法があり、
 本や情報で知ることや経験することで知識として蓄積されていくことを、
 日々の観察から、次の展開を予測していくこと。

 予測には、観察のデータがないと裏付けできません。
 つまり観察することで初めてビジネスの計画が動き出します。

③「攻めの農業をプロデュース」 
 作物を「生産することだけ」の守りの農業から
 「ビジネス」や「仕組み」攻めの農業にジャンプできるかということ。
 
 ただ、生産農業をやっていても
 既存の農家さんや大規模な商業農家にはかないません。
 
 生産力という点で力を失った耕作放棄地に
  もう一度同じアプローチで挑んでも、
 新しい視点や感覚で生産農業から超越するプロデュース力が必要
 ということを強く感じています。

ここから発信する、攻めの農業の挑戦に、期待と応援を!!
(商品の注文は次回ブルーベリーブログにてお知らせいたします!!)

ブルーベリー、生産者から思い。 第一弾!

2009年05月28日 | 2011年3月までのブログ内容はこちら
私たちが本格的に農業にかかわるようになって2年、
ブルーベリーは3年になります。
1年、2年の成長期を経て、いま、市場にでようとしています。

これまで生産者・農業者として関わった
のろNOLOブルーベリーについて、紹介したいと思います。

■ブルーベリー栽培のポイントその①種類と品種

ブルーベリーの木には3つの<種類>に分かれます。
ノーザンハイブッシュ・サザンハイブッシュ・ラビットアイの3種あり、
ノーザンハイブッシュは寒冷地向きと言われており、
日本国内では北海道や長野県などで主に栽培されています。

サザンハイブッシュ・ラビットアイは温暖地向きと言われており、
西日本でも栽培されています。

NOLO農場には1.5反の圃場に139本のブルーベリーを栽培しています。
そのうち、ノーザンハイブッシュは30本、
サザンハイブッシュは49本、ラビットアイは60本になります。

種類は、主に、気象条件にあっているか?ということがポイントになります。
それぞれの種類から、また品種がわかれます。
NOLOでは現在22品種を栽培しています。

圃場は山のほぼ頂上にあり
西側の斜面に沿って緩やかな傾斜を感じることができる地形にあり、
谷間から吹きつける風の強い場所ですが、
年間の気温は、寒暖の差が十分にあります。

ブルーベリーは2月の休眠期に十分な寒さ(低温時期:気温7度以下)
にあたる時間が十分にないと春の覚醒(芽吹き)しません。
緯度経度からラビットアイが向いているかもしれないねと言われていましたが、
一部のハイブッシュ系の樹木にも結果枝(けっかし:花芽(実がなる芽)をつける枝)がつきました。

苗木の段階ではあまり区別はつきませんでしたが、
定植し成長するにつれて、それぞれの個性が表れてきました。

その土壌・風土にあった品種というのを見分けるというのにも、
なんと3年の時間がかかりました。

また、剪定や、マルチング、追肥、などの手入れの状況によっても
同じ時に植えたにもかかわらず、育成状況は大幅に違っています。

手間暇をかけてもすべての樹木が十分な収量を得るようになるには、
まだまだ熟練の技・知識と勘と度胸が必要だと痛感しています。

~~第2弾へ続く!~~

「学生耕作隊、島根スタート!!」

2009年05月24日 | 2011年3月までのブログ内容はこちら
はじめまして、徳島出身の島根県立大学2年生の小谷彩香と申します。
私は半年前から吉田屋で半旅館半学生で
毎週末と大学の休みにずっとインターンをしています!

実はこの度、島根版学生耕作を結成し、
東出雲町の野呂地区での活動をきだすことになりました。

私はその学生耕作隊の隊長として今後活動を行なっていきます。
また様々な動きをご紹介できればと思います、宜しくお願いします!

学生耕作隊というのは、後継者不足や高齢化などに悩む日本の農業を
少しでも活性化したい。
しかし農村は若者を必要とし、若者は農業に強い関心を持ちながら、
農業の現場には若者の姿がない。

それは現場に足を踏み入れる「きっかけ」がないからだ。
それならば、若者が農業の現場に入れるようにしようという思いから、
2002年に、山口大学の学生たちを中心に結成されたNPO法人です。

これまでに延べ2000人の学生を農家へ援農に派遣し、
シニアの会員さんもいらっしゃいます。
今では若者自身が耕作放棄のお茶園や蜜柑園を後継創業し
若者の仕事につながっています。

そんな成功事例をもとに、全国に広がりつつあるこの取り組みを
島根でも行なおうと、山口県の学生耕作隊の支援を受けて
今回島根版学生耕作隊を結成しました!

そんな発足の日に農作業に参加してくれたのが、島根県立大学の学生13人です。
あいにくの悪天候の中、ブルーベリーのネットづくり、畑の耕し、
肥料まき等を力を合わせてやり終えました!

おばあちゃん、おじいちゃんが農業をしていても、
「手伝ったことがない」と 言っていた学生たちが、やり終えた後は、
「地元に帰ったらぜひ手伝いたい!」 「大変で疲れたけど、楽しかった!」
と言ってくれてとても嬉しかったです。

この体験が彼らの新たな一歩になってくれることを願いつつ、
これからも一緒に活動していけたらなと思います。

隊長としての初作業。
学生たちと上手くコミュニケーションをとっていけるかな・・・と
少し不安だったのですが、一緒に楽しく作業ができて一安心しました。

役不足なことも多々ありますし、農業に関しても初心者でひよっこの私ですが、
地域のおばあちゃん、おじいちゃん、吉田屋のスタッフの方々に
いろいろとご指導いただきながら、成長していけたらなと思っています!!

これから一体何が起きていくのか、わくわくドキドキしています。
地域の学生たちとともにおもしろ楽しく、田舎の良さを伝えていきたいです!

学生耕作隊 隊長 小谷彩香

ミッションに人も知恵も技術も集まる。

2009年05月20日 | 2011年3月までのブログ内容はこちら
こんにちは、旅館吉田屋の三原綾子です。
予告しておりました竹炭イベントは大成功のうちに終わりました。
ご参加いただいた地域の皆様、ありがとうございました!

当日は久々の晴天、田んぼに囲まれた畑の空きスペースにおいた炭窯を囲み、
いよいよ講座がスタート。まずは直径80センチ、高さ1Mの炭窯の設置。
火は約6時間という焚き時間ののち、24時間の冷却という短期間で竹炭が完成します。 
火をつけたとたん、もくもくと白い煙が空に向かってあがっていきました。
次から次へとまきを入れるのは山口から応援に来てくださった、
地域維新グループ竹炭担当の服部さんです。
竹炭は防臭、抗菌、湿度調整になるなど、生活に役立つ代物です。

しかし、火を点火して3時間程度たったとき、
どうしたことか突然煙が少なくなり、焚口側から火けむりが前へ出始めました。
このままでは熱が窯を通らず、うまく焼けないと様々な知恵を出し合いました。
技術を持ち寄り、知恵を持ち寄り、
たき口の下に半分に切ったパイプをしき、空気が通るようにしてみたり、
最後には竹をつめすぎたのではと外から木槌でたたいてみたり(笑)・・・。
こうしてすぐに知恵や技術を持ち寄る、
これぞ田舎のよさだと、再確認した出来事でした。

様々な工夫はほどこすものの状況は変わらず、
80度必要な煙が50度になった頃、
このままではいくら焚いても炭にならないかもしれない、
もう一度最初からやりなおそうと決意を固めました。
4ヶ月の赤ちゃんから80代のおじいちゃんまで、
様々な参加者の思いを背負い、
火を消すはずだった夕方16時、
自ら6時間焚いた火を消しました。
その後は様々な研究や工夫をし、明日の挑戦に備えました。

次の日の朝6時、集合時間よりもずっと前に、
窯の前で両手を組んで考え込む近所の方の姿がありました。
一晩ずっと考えたんだけど、と見解をみなで話し合い、
最善を尽くし、昨日と同じ10時に、再び火をいれました。

その後日中の暑さの中炭を焼き続けましたが、
炭焼きは深夜にまで及び、いつの間にか明け方にまで達しました。

83歳のおじいちゃん、自ら夜通しまきをくべてくださいました。
国鉄に勤めてた頃以来、30年ぶりの徹夜だったそうです。
朝7時から新聞配達の仕事のある近所のおじさんも、
明け方4時まで付き合ってくださいました。
おなかが減っただろうと、
隣の家のおばさんは家の庭のいちごを摘んだのだと、
ボールにいっぱいもってきてくださいました。

眠気と山の中特有の明け方の寒さと戦いながら、
朝8時、強く、太く、たなびく煙もだんだんと薄くなりました。
それは竹が全て炭になった合図でした。

24時間冷却が必要な窯は、地元の皆様の期待の声に答えたいと、
私たちが活動可能なその日の夕方に開けることになりました。
それは、窯開けまでに必要な時間を無視する10時間後の18時と設定しました。

胃が痛くなるほど緊張した窯開けの瞬間。
いよいよ窯あけです。
83歳のおじいちゃんがそっと蓋を開けると・・・
きれいな黒光りした竹炭が出てきました。

長い竹炭をすーっと引き出すと、
竹炭自体は上部は炭になっていましたが、
下3分の1は表面は黒かったのですが竹のままでした。
2本をたたき合わせ音を聞くと、きんきん、ではなくかんかん。
やはり下部は竹のままでした。
質のよい竹炭ではありませんでした。

しかし、充実感と感動でいっぱいでした。
参加者全員悔いはありませんでした。
この地域の太いもうそう竹はこの窯には適さず、
今の窯のままではうまく焼けません。
こうして改良の余地や課題が残ったのですが、驚くことに、
今後地域に合う窯にし、竹炭をつくろうと逆にやる気満々。

結果的に竹炭イベントには3日間で30名の参加者がありました。
何よりも、竹炭焼きの成果は、こんなにも多くの人がこの窯に集まり、
そしてそこにいた全員がそれぞれの技術や知恵を持ち寄ったことです。
できた炭は質はどうあれ、炭を焼くというミッションにこんなにも多くの人、
意識の高い人たちが集まり、一生懸命知恵や技術を持ち寄ったことだと思います。

きっとここから色々なビジネスや生活へも彩りが生まれるのだと思います。
竹炭窯を中国地方10箇所に設置するリース業、
炭を地域の皆さんに作ってもらいそれを購入・流通・販売させる炭ビジネスなど、
田舎のよさを実感した今、田舎維新への可能性は無限大です。
わくわくしています!

旅館吉田屋 若女将 三原 綾子

5月12日・13日「炭から隅まで住みよい町へ、竹炭講座開催!」

2009年05月10日 | 2011年3月までのブログ内容はこちら
皆様お久しぶりです、吉田屋の若女将 三原綾子です。
久しぶりにのブログは、イベント予告です!

全国で竹の繁茂による被害が進んでいます。
放置された竹やぶは増殖を続け、他の生態系へも影響を及ぼしています。
CO2を吸収する豊かな森を取り戻すために、
環境に貢献する竹炭づくりをしようと竹炭焼き講座を開催しました。

私が大学2年生の頃から理事長を務める、
行って楽しい・迎えて嬉しい石見銀山NPOは、
島根県で農地再生、後継創業者育成、
高齢者の仕事づくりなどを行っています。
活動としては、竹の繁茂の問題解決を行う竹やぶSOS基金
(竹の伐採、花器づくり、流通、販売)や
田舎で働き隊事業(農林水産省H20年度二次補正予算)など、
若者も巻き込みながら農村地域の地域活性化を行っています。

今回NPOが所属する地域維新グループが関わる方が開発された竹炭窯
(一基20万円、環境に貢献する継続的な仕事づくりを生み出すコミュニティー
ビジネス商品)
を利用し「竹炭を焼き地球を救おう!」と竹炭作りを行い、竹炭を作りました。
開催場所は国の有形文化財に登録されている築後200年の古民家である、
島根県邑智郡邑南町の稲積家。

竹の繁茂に長年困っていらっしゃった稲積さんが竹やぶSOS基金の活動を知られ、
NPOのある旅館吉田屋に泊りがけで尋ねてこられ、
地域づくりの第一歩にもと今回の竹炭づくりが実現すことになりました。

お近くにお住まいの皆様、ぜひご参加ください!
詳細は吉田屋にお問い合わせください。

旅館吉田屋 若女将 三原 綾子