Officer's '70s Theater

'70年代の恐竜的ハイパワー車ファンが昔を懐かしむブログ

ホット・ショット!

2012-06-25 00:29:44 | 映画(航空)
Admiral Benson- BEST OF

※動画はドイツ語吹き替え版です。
1991年米国映画
原題:Hot Shots !
監督:ジム・エイブラハムズ
主演:チャーリー・シーン
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オープニングはトップガンのパロディー。本編の始まりはダンス・ウイズ・ウルブス。その後気が付いたものを列挙すると・・・
愛と青春の旅立ち、フルメタルジャケット、ライトスタッフ、ナインハーフ、ロッキー、スーパーマン。他にも有る筈ですが、米国TVシリーズのパロなど全く判らない人でも充分楽しめます。

次期主力戦闘機の機種選定をめぐる汚職事件が絡むシリアスな展開もありますが、基本は「徹底的なお笑い」です。

部隊が装備する戦闘機は英国製フォーランド・ナット。F86Fセイバーと同世代の軽量小型ジェット戦闘機で、水平飛行で音速を超える能力は有りません。
本国では採用されずインド空軍で活躍(印パ戦争で)しました。
映画内では「豪華な万能戦闘爆撃機」と説明されますが、誰が観てもMIG15並みの「快適装備を省いたホットロッド戦闘機」です本当にありがとうございました。
豪華さの表現としては、クロムメッキのサイドミラーが付いていたり、カセットステレオが付いていたり、縦列駐車が出来たりします。(;^ω^)

本家トップガン同様、F5フリーダムファイター(超音速機)が敵機役で登場します。明らかにナットより高速・高性能で、現実なら全く勝負にもなりません。('A`)
米軍が敵機を「ボギー」と呼ぶ習慣を皮肉って、トレンチコート姿のハンフリー・ボガードのそっくりさんが中に乗っていたりします。(笑

基地司令官「ベンソン提督」役のロイド・ブリッジスが非常に良い味を出しています。(第二作目では見事に出世してしまって大笑いするのですが・・・)

途中でボクシングのタイトルマッチ場面が出てきますが、そこで司会者が『本日の特別ゲストは、世界で最も有名なボクシング・ファンのヨハネ・パウロ二世!』と紹介すると(有名な)そっくりさんがリングに登場します。当時の「平和の象徴たるローマ法王」までパロってしまう徹底振りには感心するばかりです。

理屈抜きで笑いたい人向けの映画です。

The Red Baron

2011-12-09 18:57:30 | 映画(航空)
The Red Baron - Trailer

原題:The Red Baron
邦題:レッド・バロン
主演:マティアス・シュヴァイクホファー
2008年ドイツ映画

言わずと知れた「定冠詞付きの」赤い男爵=マンフレート・フォン・リヒトホーフェンを描いた映画です。
第一次世界大戦の撃墜王として有名であり、白黒映画の時代から何度も映画化されました。
1966年の「ブルー・マックス」には「主人公が憧れる英雄」として登場しています。
1971年に「Red Baron」としてカラー映画化された事がありますが、そのときは上層部との対立は控えめに描かれていました。最後の死因は英国機の銃弾によるものと言う歴史解釈でした。

本作品の特徴は下記4点です。
1)リアルな空中戦
2)リアルで悲惨な地上戦と野戦病院
3)軍上層部への反感
4)看護婦とのラブ・ストーリー
この映画には「今までとは違う切り口で、玄人好みの芸術作品を作る」というような意気込みが感じられます。というのは、下記の目玉シーンがバッサリ削られているからです。
1)ラノー・ホーカー少佐との45分に渡る激闘
2)ロイ・ブラウン大尉との最後の空戦
日本で例えるなら「坂本竜馬の映画を作ったが、新撰組との殺陣をカットし、近江屋での暗殺場面をカットしている。」ようなものです。
アメリカ映画であれば、このような削り方は絶対にしません。他国に輸出した場合に「予備知識の無い一般市民」から『面白くない』と言われてしまうからです。
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 彼の生い立ち、性格、戦果、負傷入院歴等、それこそドイツ国民は「まるで親戚のことのように」良く知っています。

 彼の最大の特徴は「空の騎士道」とも言うべき高潔さ、ストイックさ、真面目さです。彼は部下に『不時着して地上を逃げる敵パイロットを撃つな。我々の仕事は撃墜することであって、殺人ではない。』と命じました。その精神は第二次世界大戦のルフトワッフェにも引き継がれました。(個人的恨みや錯乱による違反者は存在する。)

 残念ながら敵である英米仏の連合軍は第一次世界大戦でも第二次世界大戦でも『不時着した敵パイロットは撃ち殺せ。』そして『敵の落下傘は躊躇わずに撃て。』と命令していました。(特に第二次世界大戦の英国兵は怨念に基づいて正確に実行した。)
理由・根拠は『そいつがいずれ戦線復帰して、味方を殺すから。』と『代換パイロットを育てるのに1年以上の期間と大きな手間と費用を要するから、一人でも多く殺せばボディーブローのように敵国の継戦能力を奪う。』というものです。

 敵空軍にとっては正に死神のような存在だったレッド・バロン(英軍の呼称。フランス軍は Diable Rouge「赤い悪魔」と呼んだ)ですが、その死に際しては敵軍からも惜しむ声が上がりました。

 彼の撃墜記録については敵味方を通じて何度も検証され、いつ・どこで・誰を撃墜したか、その結果は負傷か死亡か等、かなり正確に記録されています。
映画「ブルー・マックス」で主人公が「確かに撃墜したのに、残骸が見つからないから認定されない」という場面があります。ドイツ軍の撃墜認定事務は非常に厳格であり、「墜落した敵機の機体番号を切り取って持ち帰る」というリヒトホーフェンの行動は、狩猟者的な収集癖というよりも「手っ取り早い事務処理の為の証拠提出」の側面がありました。
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 同時期の敵空軍のエースについて日本では全く報じられませんが、フランス軍にも3名の英雄的エースが存在します。
フォンク:見越し射撃の上手な職人的中年パイロット
ギンヌメール:その若さから「ベイビー」と仇名された肉迫攻撃が得意なパイロット
ナンジェッセール:敵が多かろうが勇猛果敢に突進し怪我が絶えない「空の無法者」
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 空中戦のエースには2つのタイプがあります。
ひとつは「肉迫攻撃型」。空中衝突寸前まで敵に肉迫し、「弾を当てて落とさなければ衝突してしまう」という状態に自分を追い込み、極限の集中力を搾り出します。角度も高低差も遠心力も関係なく、発砲さえすれば当たる位置まで接近する。非常に単純明快ですが勇気の必要な戦法です。
リヒトホーフェン、ギンヌメール、ナンジェッセールがこのタイプで、第二次世界大戦ではエーリッヒ・ハルトマンが有名です。
このタイプの欠点は「敵機の破片に当たって自機が損傷しやすい。また、前方に集中しすぎて他の敵から撃たれやすい。」という点で、ハルトマンは16回も不時着又は落下傘脱出しているし、リヒトホーフェンはそれで致命傷を受けました。

もうひとつは「射撃の天才型」。敵機の未来位置を正確に予測し、「今は何も存在しない空間」に向けて発砲すると数秒後に敵機がその弾幕に飛び込み、何がなにやら判らないまま被弾・墜落するのです。
第一次世界大戦ではフランス空軍のフォンクがその筆頭で、ドイツ空軍ではウーデットの名が知られていました。第二次世界大戦では「アフリカの星」ハンス・ヨアヒム・マルセイユが有名です。
「空軍大戦略」で撃墜されて基地に戻った英国人パイロットが飛行隊長から『戦闘空域では同じコースを飛ぶなと指示しただろう!?』と叱責される場面がありますが、まさにこの事(敵の見越し射撃の標的になりやすい)を言っているのです。

モスキート爆撃隊

2010-06-08 14:27:05 | 映画(航空)
The original theatrical trailer to mosquito squadron

 633爆撃隊の二番煎じでデビッド・マッカラム主演の「モスキート爆撃隊」という後発作品が作られましたが、残念ながらVHS製品のみでDVD化されていません。飛行シーンや FLAK の映像が前作の633爆撃隊から一部流用されています。
 こちらは「ドイツ軍の秘密兵器であるV3号の製造拠点(洞窟の中にある)をモスキートが跳躍爆弾で攻撃する」という話で、英国人がいかに大陸間弾道弾に苦しめられ、それを嫌いであるかが判ります。
 ドイツ軍はフランスの古城を本部とし、その裏山の洞窟(以前はワイン樽の大貯蔵庫)をミサイルの秘密製造工場に改造しています。上空から絨毯爆撃しても被害を与えられないという設定は前作と同じです。

一般的な戦意高揚映画の特徴(やりすぎ・誇張)が良く出ている作品です。
1)敵のドイツ軍は情報機関が超優秀で、事前に作戦がドイツ軍に漏れている。よって実働部隊は非常に苦労を強いられる。
2)ドイツ軍は残忍・非情・狡猾で、命令に従わない神父を射殺したり爆撃目標のシャトーの中庭に英国人捕虜集団を人間の盾として抑留したりする。
3)被弾して墜落したパイロットが脱出後も勇敢に敵地上軍と戦う。自らの命を惜しまず負傷者を助け、英雄的な行動をする。(視聴する青少年への愛国心教育目的。)
4)ドイツ軍は金をかけて大規模な秘密兵器工場を建設するが、対する英国は安価なアイデア兵器と猛烈な訓練努力で敵を打ち破る。(現実にはドイツも財政的に苦しかった。)

 跳躍爆弾というのは英国がダム破壊作戦用に独自開発した自慢のアイデア兵器で、円筒形の爆弾にスピンをかけて投下することで障害物をジャンプしながら目標に向けて跳ねてゆくという兵器です。本来は水面を跳ねて進むのですが、この映画では芝生の上を跳ねて進みます。

633爆撃隊

2010-06-02 16:51:48 | 映画(航空)
Squadron 633

時は第二次世界大戦。ドイツ軍がノルウエーのフィヨルド奥に建設したロケット燃料工場が稼動した。音速で落下してくるV2号によって被害を受けている英国はこれを放置できない。
連合軍の得意な重爆撃機編隊による絨毯爆撃は、周囲の厚い岩盤に阻まれて工場に損害を与えられない。
英国空軍(Royal Air Force)はモスキート爆撃隊による野心的な攻撃を計画した。工場の上で盾になっている岩盤の下部をピンポイント爆撃で崩して、岩で工場を潰そうというのだ。
そのためには低空飛行→垂直旋回→爆弾投下→急上昇という危険なアクロバット飛行が必要となる。英国内で似た地形を探して、猛烈な訓練が始まった。
パイロットが不足しているのでインドやイスラエルなど雑多な人種の混成部隊となっているが、皆で力を合わせて敵を倒す事が大事だという教育的配慮が窺える。
ノルウエーのレジスタンスが攻撃直前に対空砲群を爆破除去する予定だったが、優秀なドイツの情報網はそれを察知するのだった・・・
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デ・ハビラント・モスキートという軽爆撃機はとても特徴的な航空機です。
最大の特徴は木製であること。木材の繊維に樹脂の液体を浸透させて圧縮し固めたもので、FRPの先駆けとも言えます。
ロシアでも同様の部材を使った単座戦闘機がありますが、組立工場で家具職人、ピアノ職人や建具屋を使って組み立てられるという利点があります。戦時中は板金工や機械工を動員出来る数に限界があり、金属機の生産数に限界があるという点が重要です。

戦争中には航空機用のアルミニウムが不足するので仕方なく木製機で代用した感もありますが、結果として出来上がった航空機は「高速と軽快な運動性で戦闘機としても使える万能機」になりました。
爆撃機の他に機首に機関砲を多数装備して地上攻撃機にしたり、高速を生かして偵察機にしたり、機首にレーダーを付けて夜間爆撃の先導機(パスファインダー)や夜間迎撃戦闘機にも使われました。

木製機を作った英国が驚いたのは、「金属部品が占める面積が少ないのでレーダーに映り難い」という事実でした。今で言うステルス性ですが、当時は(現在のような慣性航法装置が無かったので)基地のレーダーに映らないから管制官が夜間着陸誘導できないという理由で欠点と考えられていました。

戦時中に急場の間に合わせる為に作られた木製機はヨーロッパ戦線で連合軍の勝利に大きく貢献しましたが、金属機に比べて耐用年数が短かったので戦後は徐々に数が減ってゆき、静かに消滅しました。
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有名なスターウオーズの「Death Star Trench」デス・スター爆撃作戦のシーンはこの映画の影響を受けて作成されています。
また、この映画の音楽を聴いてからスターウオーズのエンデイング曲を聴くと、大きく影響を受けていることがわかります。
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狭い谷を超低空飛行で抜けるので、ドイツの迎撃戦闘機は断崖への衝突を恐れて限定的な攻撃しか出来ません。しかし岸壁に配置された多数の FLAK 対空機関砲が雨あられと弾幕を浴びせてきますから、まさに命懸けの作戦です。映画でも多数のパイロットが命を落とす悲壮な姿が描かれています。
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この機体のエンジン水冷用ラジエターは胴体と左右のエンジンの間の翼内に配置され、細長い開口部がありますが、そこを後下方に向けて流れる空気を利用して(経路を翼型断面にして)揚力を得る工夫がされています。
のちにF-1のJPSロータス・チームがこの構造をレーシングカーのサイドポンツーンに(上下反転して)導入したことがあります。大幅なダウンフォース効果を得て連勝し、他チームを驚かせました。
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空軍大戦略

2010-05-01 10:09:52 | 映画(航空)

もし、特殊な禁固刑にでもなって、残りの一生にたった一本の映画しか見る事を許されないなら、私はこの作品を選びます。
それは、骨董品の第二次世界大戦時のドイツ航空機が実際に飛行する姿を空中カメラで撮影した最後の作品だと思うからです。現在は CG でしかそれを表現できません。
 英米の航空機ならばファンが保存・補修したものが僅かながら稼動状態で残っていますが、敗戦国ドイツの航空機を実際に飛ばして撮影するのは非常に困難なのです。その撮影秘話は、一冊の本になるくらい多くのエピソードで彩られています。

<この動画のシーン>
 一人だけ白い派手な将校服を着ているのは、空軍大臣ゲーリングです。彼はいつまでたっても英国空軍を封じる事が出来ず、英国上陸作戦を始められないとヒトラー総統から叱責されていたので、部下の無能に怒っています。
 爆撃隊の責任者は「英国戦闘機が大群で襲ってくるのに、護衛戦闘機が近くに居ないので損害が多いのです。」と愚痴を言います。
 戦闘機隊の責任者は「戦闘機は(爆弾を積んでいるので重くて遅い)爆撃機に速度を合わせて飛んでいては敵機を狩る事は出来ません。」と言います。長年の経験に基づいて高速での一撃離脱戦法を採用していたドイツ戦闘機パイロットにとっては「速度こそ攻防一体の武器」であり、メッサーシュミット戦闘機はその目的の為に改良・特化した機体だったのです。
 逆に、英国のスピットファイアは最低速度が低く格闘戦が得意な機体でした。ちなみに日本の零戦はもっと軽量&低速で、より格闘戦に特化していました。

 元は戦闘機乗りのゲーリングですが、「ゆっくり飛ぶのが怖いのか?臆病者め!これは命令だ。爆撃機の傍を離れずに飛べ!」と無茶な要求を戦闘機隊に押し付けます。
 叱責したあとでゲーリングは「私は怒りに来たのではない。君たちを助けに来たのだ。支給が必要な装備が有るなら、何でも言ってくれたまえ。」と懐柔の言葉をかけます。
 そこで戦闘機隊の責任者は「我が飛行隊にスピットファイアを支給してください。」と言います。敵国の最新鋭戦闘機を購入出来る訳が無く、これは痛烈な皮肉です。しかし技術論で言うと、「用途に応じた装備の要求」という意味では全く正論であるところがミソです。
 実行不可能な要求を受けたゲーリングは、顔を真っ赤にして、怒って帰ってしまいます。この瞬間にドイツ空軍の運命は「敗北」に傾きました。もしドイツ空軍に日本製の零戦が支給されていたら、違う結果が出たはずです。

<メッサーシュミット>
 敗戦時に残っていたドイツ機は、少数の博物館や研究機関に送られたもの以外は全てスクラップにされました。製造設備や冶具も全部壊され、設計図は焼かれてしまいました。エンジンは、ただ博物館に置いておくだけで定期的に整備していなければ、樹脂部品の劣化と金属部品の錆びで動かなくなります。

 ドイツは戦争中に、同盟国以外に中立国であるスイスとスペインに最新型のメッサーシュミット戦闘機とハインケル爆撃機を(正式な外交ルートで)輸出していました。
 でもドイツの敗戦で交換部品が入荷しなくなり、外国軍のドイツ機は稼動数が減ってゆきました。スイスは中古ドイツ機をスペインに(部品取り用に)売却して米英の航空機に切り替えましたが、スペインは財政的に新型機調達が出来ませんでした。

 いよいよエンジンの修理・維持が困難になったとき、スペイン空軍は戦勝国イギリス製のロールスロイスエンジンを輸入して、改修したドイツ機に積みました。He111爆撃機のエンジン室は余裕があったので、外観的な変化は「排気管片側6本の位置が下から上に変わった」程度で済みました。
 Bf109戦闘機の機首は上部両側に大きな長いコブ状の張り出しを追加する改造が必要で、それによって操縦士の視界が悪化しました。
また、倒立v12気筒のダイムラーエンジンを正立v12気筒のロールスロイスエンジンに変えると、プロペラ軸が上に移動し、機体の重心も上に移動してしまいました。
結果として「スピットファイアの機首とメッサーシュミットの胴体を合体した、非常に乗りにくい戦闘機」が出来上がりました。
つまり、この映画で飛んでいるメッサーシュミットBf109とハインケルHe111のエンジン始動音は、スピットファイアと全く同じなのです。その音を聞くと、私はこの骨董品の機体が歩んだ数奇な運命を思い浮べてしまいます。

 こうしてスペイン空軍が長期にわたって古い機体を使い続けたために、この映画撮影時に残存機体(と経験豊富なOBパイロット)を集める事が出来たのです。いや、むしろ「この機会を逃したらスペイン空軍がジェット機を導入するから、プロペラ機はスクラップにされてしまい、もう永久に実機の飛行を撮影できない。」という事情が映画関係者の資金集めや撮影交渉を必死にさせたと言うべきでしょう。

<語学>
Get your brain a chance !
 フランス戦線で負けつつある英仏連合軍の新米パイロットが避難民の上で「勝利の旋回」を行ったことを飛行隊長が叱る言葉。「良く考えて行動しろ!」と上品に和訳すると「お前は脳味噌を使っていない白痴だ。」というニュアンスは伝わりません。

Stick me like Glue and keep your eyes open.
 新米パイロットを実戦教育する編隊長の言葉。「俺に糊で貼ったようにピッタリ付いて来い。そしてしっかり目を開けて観察しろ。」これだけでは意味が判りません。
 命がけの戦場では、敵も味方も教科書通りには動いてくれません。牽制のフェイントや欺瞞行為(フェイク)が乱れ飛びます。そんな中で上手に(頭を使って)立ち回らないと、命がいくつ有っても足りないのが現実です。
 最初は隊長に付いて行くだけで精一杯で、見た事の意味を考える余裕など皆無です。何度もそれを続けていると、そのうちに周囲の全体像を把握できるようになります。「さっきの行動の意味は何だったのか?」「全体の中での我々の役目は何だったのか?」が判るようになって初めて一人前の行動がとれるようになります。そうなる前に隊長を見失って迷子になってしまうような者は、残念ながら敵の餌食となって死んでしまいます。