静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

フルトヴェングラー指揮でベートーヴェン/交響曲第7番を聴く(1950年EMI盤)

2012年11月30日 22時20分13秒 | ベートーヴェン
 11月30日であり、なんとなくフルトヴェングラーの、それも昔から馴染みの演奏に手が伸びる。
 彼は私が生まれる3年前の今日亡くなった。




ベートーヴェン/交響曲第7番


管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団




指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー



録音:1950年1月



 1971年の初春以来、クラシックのレコードを漁るようになったが、最初のころのフルヴェンとの出会いは、どれもが新鮮で刺激的なものだった。
 この演奏は、最初、3番「英雄」との2枚組ブライトクランク盤で聴いた。
 何度も何度も聴いた。
 高校受験も間近に迫った1月だった。
 父が「たいがいで勉強しろよ」と言わんばかりに、スピーカーの前に坐している自分の後ろから無言で見つめている、その気持ちを背中で感じたこともあった。
 その時に鳴っていたのが、この7番だったことをよく憶えている。

 当時は、主に激しい部分を憑かれたように聴いていたし、そういう部分がフルトヴェングラーの魅力の最もたるものだと思っていた。


 今日、この演奏を久しぶりに通して聴いた。
 以前とはずいぶん印象が違う。
 いろいろと・・・・。
 まず、ウィーンフィルの音の独特な味わいが耳をとらえる。
 ひなびたようで滋味いっぱいのホルンやヴィブラートほとんど無しの木管群の美しさ。
 弦のソフトで、ピークをずらしたようなアタックなどなど・・・。
 第3楽章までは、こういう「美質」を最大限に生かしながらの余裕の指揮ぶり。
 特に第2楽章はすばらしい。
 イ短調からイ長調に転じる中間部での弦の悠々として雄弁な響きは、今日一番新鮮に聴けたひとときだった。
 終楽章のアッチェランドは、初めて聴いた時も驚いたが、今日もよかったな。
 こういう演奏は、どこがどうとか言う前に、もうすっかりお馴染みであり、聴いた瞬間に久しく会っていなかった旧友と再会したかのような懐かしさでいっぱいになる。
 あのとき、あんなに熱中していたお前に対して、今はこんなに冷静に接していられる自分に流れた歳月を思いながら、昔よりすっと「普通」になった「フルヴェンのベト7」を聴いた今日の夕方でした。
 ちょっと前に新しく出た盤で聴くと、例の「女声混入」も、ずいぶんと「ムニャムニャ」処理されていたし、音も随分と聴きやすくなっている。
「蔵」よりも「デルタ」よりも、私はこれを採る。


Wilhelm Furtwangler: The Great EMI Recordings
クリエーター情報なし
EMI Classics



Symphonies Nos 5 & 7
Beethoven,Wiener Philharmoniker,Furtwangler
EMI Classics






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