静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

下野竜也指揮名フィル定期(12月20日)

2008年12月23日 14時31分06秒 | コンサート
今年のコンサート聴き納めは下野竜也指揮名古屋フィル。
3年間、毎年一回ずつ定期に客演してくれました。
次年度は予定に入っていないのが寂しいですね。とても相性いいと思ってましたから・・・。



名古屋フィルハーモニー交響楽団 第353回定期演奏会

ツァラトゥストラ8~夜のさすらい人の歌~



アダムズ/ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン
フォーレ/ピアノと管弦楽のためのバラード嬰ヘ長調 作品19*
シューベルト[リスト編]/幻想曲ハ長調 D.760, 作品15『さすらい人』*
シューマン/交響的練習曲より第8変奏(アンコール曲)

(休憩)

ベートーヴェン/劇音楽『エグモント』作品84 全曲**


フィニーン・コリンズ*(ピアノ)
星川美保子**(ソプラノ)
松本宰二**(語り)

名古屋フィルハーモニー交響楽団

指揮:下野竜也


愛知県芸術劇場コンサートホール

2008.12.20 pm4:00開演


1曲目のアダムズを下野さんは「ワン、トゥ、スリー!」と掛け声と共に振り始めました。

「・・・一貫して表れる明瞭なリズムの刻みで始まり、すぐに4本のトランペットが加わって、全曲の基盤となる特徴的パターンを作る。リズム以外を担うパートは、さながら、突進するリズムのトンネルを駆け抜ける鞭打のようだ。とてつもないスポーツカーに乗ってしまってから、乗らなければよかったと思うほどの勢いだ。」(当日のプログラムより引用・・・文・水野みか子 名古屋市立大学大学院教授)


ジェットコースター系は全くダメな私ですが、ジェットコースターみたいな音楽は一向に構いません。
これは、とても気持ちよく聴けました。
下手側2階席は今回が初めてでしたが、第1ヴァイオリンの後方を除いて、ほぼステージ全景を見下ろす場所で、たくさんのパーカッションやシンセサイザー奏者さん達のめまぐるしい動きも一望できて楽しかったです。
音も、今までの芸術劇場コンサートホールでのコンサート中、一番分離良く聴けました。この場所、けっこういいのかも???でした。
ノン・ストップの「高速機械の早乗り」は4分程度で幕。のっけからダイナミックな響きに包まれて幸せでした。
下野さん、相変わらず切れ味鋭い振りで、今回は斜め横から指揮中の表情も楽しませていただきました。

2曲目のフォーレ、ピアノの音が(座席の関係でしょうが)とても粒々がよく聴き取れました。
開始後間もなく、どこからか携帯の着信音がクレッシェンドしてきました。
私の席からは遠く離れた所らしく、たいした影響はありませんでしたが、近くだった人は憤慨したことでしょう。
フィニーン・コリンズ氏は、体を左右に揺らしつつ使っていない方の手は指揮をするように宙を舞っていました。
音はコロコロと、けっこう剥き出しで聴こえていましたがゴツゴツした感じはなく、たぶん、1階席などエコーの多い場所で聴いていたら、かなりソフトであったことでしょう。
私の席では、(ピアノを斜め上から覗き込んでいるような感じで)音の粒々が、本当にキラキラ、コロコロと立ち昇ってくるようでした。
そうそう、この場所では木管のソロがとてもクリアーに美しく聴けました。
息の音までも聞き取れるほどの明確さと程よい反響が調和してましたね。

3曲目の「さすらい人」幻想曲は、やはり、あちこちでリストの響きがしてました。
原曲はよく聴きますが、この編曲を聴くのは確か初めてです。
シューベルトの短い交響曲のようにも、ピアノ協奏曲のようにも、リストのピアノ協奏曲のようにも聴こえる変化に富む楽曲でした。

アンコールで弾かれたシューマンは、曲名を思い出せないうちに終わってしまいました・・・・。


後半の「エグモント」全曲。

序曲はあまりにもたくさん聴いていますが、実演で聴くのは意外と少なく、もう20年以上聴いていないかも???って感じです。
全曲のディスクは、カラヤン盤、セル盤、大植盤と所持してますが、セル盤はチャイ4との併録で、もしかしたら全曲からの抜粋かも知れません。
カラヤン盤は曲間の語りを抜いた「全曲版」。大植盤は語りもすべて収録したノーカットの全曲ライヴです。
今回の演奏は、大植盤とほとんど同じように、曲間に語りを入れたものでした。
大植盤では語りとエグモント役を違う人で分けていましたが、今回の演奏では松本宰二さん一人の語りでした。
2回登場するソプラノ独唱は正面のパイプオルガンを背に歌われました。
ちょうと私の席と同じ目線の高さでした。

この曲、序曲以降の9曲、いずれも小粒ながら佳曲揃いです。
もっと演奏されてもいいのでは?とも思えましたが、でも、やっぱり序曲が最大の聴き物ですね。
下野さんの気迫、すごいですねぇ。
序曲のコーダを生で聴くと、こんなにも圧倒的で神々しく響くとは!
もう聴いててメロメロになってしまいました。

他の曲のどれもが、ベートーヴェン特有の高貴で情熱的な響きで過ぎて行きました。
アダムズ、フォーレ、シューベルト(リスト)と聴いてきて最後にベートーヴェンと来ると、やっぱり「聖なる」響きが際立ちますね。
薄暗い正面パイプオルガン前に、一点スポットを浴びて立つ真っ赤なドレスの星川さんは、清純なクレールヒェンの姿そのもののようでもありました。
第6曲「幕間音楽Ⅳ」での悲痛な和音は、「エグモント」序曲の序奏部にティンパニを追加していたバーンスタインの演奏を瞬時に思い出させました。
彼は、この部分の響きを序曲に重ねていたのでしょうか?
唯一、語りと音楽がシンクロする「メロドラマ」、その後半から響き始める舞台裏のスネアドラムの行進に、下野さんは猛烈にクレッシェンドを要求。
「もっと、もっと!」とでも言うかのように、掌を上下に震わせて鬼のような緊迫感を生み出していました。
語りがかき消されてもお構いなしとでも言うような、その気迫に、下野さんの激しい一面を見ました。
そして、最後の「勝利の行進曲」は序曲のコーダと同じ。
硬質マレットによるティンパニの打音がいやが上にも聴き手の心を高ぶらせて幕。
「第9」の熱狂とはまた違う、熱くて静かな感動のベートーヴェンでした。

これで、今年のコンサートは聴き納め。
来年は、2月の大フィル定期、大植さんのマーラー5番からスタートです(今のところ)。

コンサート前に名古屋のタワーレコード(近鉄バッセ店)に立寄りました。久しぶりでした。
ちょっぴり買っちゃいました。
店でブラブラ見ていると、あっという間に時間経っちゃいますね~

シモーノ・ナゴヤの過去記事↓

二度目のシモーノ体験は小生初ブラボー

初シモーノは最高のブルックナー、メサイアで痛快切れまくりのエピソードはコメントに






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