静かな場所

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ベートーヴェン/交響曲第6番“田園”(フルトヴェングラー指揮1943年盤)

2011年06月06日 22時14分00秒 | ベートーヴェン
 梅雨の晴れ間の今日は暑かった。クールビズなんて言ってられず、冷房のスイッチを勝手に入れて、相棒と2人で肉体労働。段ボールの山を1階に下ろしたら、ほかにもう何にもやる気がなくなっちまった。
 さて、今日は6番「田園」。


ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」


管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団



指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー



録音:1943年12月22、23日



 フルヴェンの田園だが、音のクリアなEMI盤ではなく、1943年、ウィーンのムジークフェラインで録音されたセッション盤。この演奏はLPで、たしか日本コロムビアから出たものを、友人に借りてカセットにダビングしたものを長らく愛聴してきた。
今、手元にあるのはPREISERレーベルのCDだが、記憶にあるLPの音は、もっと美しく明瞭であったような気がしている。
 フルトヴェングラーの振る「田園」は、とにかく、まずは冒頭の遅さ。そのテンポに起因する、ぽつぽつと語り始めるかのような独特の雰囲気、まるで朝の深い靄の中にほんのりと田舎の風景が透けて見えるような、その雰囲気が特徴であり、それはまるで、拍節や小節の縛りから解放された無拍子レチタティーボみたいであり、皿に盛ったとたんに原形を保てず崩れ溶けていくレアチーズケーキみたいでもある。
 その詩的なアプローチは、けっこう好きであり、一方、カラヤンやトスカニーニ、スタインバーグらのような快速アプローチの「田園」も、私は好きで、中間的な演奏も好きである。とにかく「田園」が好きなのだ。
 この演奏は、録音が古いながらも、ムジークフェラインでのとろけるような美しい響きをよく捉えており、オーケストラの美音と相まって素晴らしく聴き応えのする演奏であると思う。さすがに高音域の艶やかさは一歩二歩譲るが、中声部、低音部のふくよかさや木管、ホルンの美しい響きはため息が出るほどだ。
 特に絶美の第2楽章はたまらない。田園の魅力を語る時に何度か書いたかと思うが、第2楽章の79小節あたりからの木管の絡みが私はツボであり、ここで涙腺をやられることが多いが、そのルーツがこの演奏である。以前、ながら聴きでよくこれを鳴らしていたが、この箇所に来るとペンを止めてしばし耳を澄ませたものである。連続針音のヴェールが、その非現実性を助長し、つまりはノイズまでもがこの演奏の魅力を形成するのに一役買っている。ここまで惚れ込んだら「アバタもえくぼ」「贔屓の引き倒し」。まあ、そういうのもいいじゃないですか。
 WFの「田園」では珍しく第1楽章提示部の反復を実施しているが、これは本当のところはどうなのだろう???しかし、まあ「田園」にはウィーン・フィルの音がお似合いで、ベーム盤も私は気に入っているし、モントゥーも良い。でも、刷り込みは、快速スタインバーグである。






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
最高の田園 (furtwan)
2011-06-07 12:01:54
こんにちは。
この「田園」、最高の「田園」と思ってます。
最初に聴いたときにいたく感動しました。
フルトヴェングラー/ウィーンフィルの初スタジオ録音なのですが、あまり取り上げられていません。
最近、フランスのフルトヴェングラー協会からCDが出て、再び評価されるようになってます。
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>furtwanさん (親父りゅう)
2011-06-07 20:31:01
orooroさんですね。
2005年の「未完成」以来のコメント、ありがとうございます。
たしかに、「田園」でどれを選ぶかとなると、この演奏に手が伸びることが多いです。
私は「協会盤」には不案内ですが、一般に入手しやすいディスクで音質が良いものが出てくれることを願っています。
復刻が盛んなWFですが、そういうのがあまり出てこない演奏もけっこうありますね。
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