日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

「FD改ざん ここが謎」のここが謎

2010-09-27 11:06:48 | Weblog
今日の朝日新聞朝刊社会面の記事の一部である。


「FD改ざん」の文字が大きいが、私はどうも腑に落ちない。ところが「改ざん」の意味を辞書で調べてその理由が分かった。新明解(第五版)は《【改竄】 そこに書いてある文字を、自分に有利な字面に書き直すこと。》と説明している。この語義で解釈すると、問題の前田恒彦検事は自分、もしくは検察側に有利となるようにFDを書き換えたということになる。果たしてそうなのだろうか。私にはそうは思えないのである。

昨日の前田恒彦検事はやっぱりFD遊びをしただけではないのかでも述べたが、前田検事は日付がともに2004年6月1日であったオリジナルFDの「作成日時」と「更新日時」のうち、「更新日時」だけを2004年6月8日に書き換えているのである。そして上の朝日の記事にも《上村被告が作った偽の証明書の最終更新日時は「2004年6月1日未明」だったが、特捜部が被告側にFDを返却する3日前の昨年7月13日、「04年6月8日」に書き換えられた。》とか、《最終更新日時が書き換えられた当時、》とか、《前田検事は1月末、他部から特捜部に応援に来ていた検事から村木氏の公判でFDの最終更新日時が問題になったことを聞かされ、「FDのデータをかきかえてしまった」と告げた。》とか、「最終更新日時」という言葉はこれまでも含めて再々出てくるが、不思議と「作成日時」が2004年6月1日のままであったことには一言も触れていない。これが私には謎なのである。

前田恒彦検事はやっぱりFD遊びをしただけではないのかで私は「作成日時」と「更新日時」の持つ意味と違いをはっきりさせたつもりである。文書の作成に何時取りかかったかを示すのが「作成日時」で、一気に文書を仕上げてそれを保存すると、「作成日時」と「更新日時」が同じになる。オリジナルFDの文書が多分そうなのであろう。しかしこういう場合もありうる。最初は文書のタイトルだけを記していったん保存し、時間を置いて取りだしてて文書を完成して「上書き保存」すると「作成日時」はそのままで「更新日時」が変わる。最初に一気に完成した文書をもう一度取り出し、空行を一段加えただけで閉じようとすると、「・・は変更されています。更新しますか?」と尋ねてくるので「はい」を選ぶと、やはり「作成日時」はそのままで「更新日時」が変わる。

この最後の例で明らかなように、何時文書の作成に取りかかったのか、また何時文書が完成したのかを確認するには「更新日時」だけでは不十分で、必ず「作成日時」が必要になる。上の記事は《最終更新日時が書き換えられた当時、特捜部は「04年6月上旬」に厚労省元局長の村木厚子氏(54)=無罪確定=の指示を受けて証明書を作ったとの供述を上村被告から得ていた。この日時が「6月1日未明」の場合、村木氏の指示は5月31日以前でなければならず、最高検は前田検事が特捜部の見立てに合うように書き換えたとみている。》と述べている。しかし前田検事が特捜部の見立てに合うように書き換えるのであれば、私がここで述べたように「更新日時」を書き換えるだけでは不十分で「作成日時」をも同じように書き換えないと、「改竄」の意味をなさないのである。繰り返すが前田検事が書き換えたのは「更新日時」だけである。仮にこのFDを検察側が公判の場に「爆弾」のつもりで持ち出したとしても、私のような素人にでも一蹴されるのがオチである。

朝日新聞が(最高検も?)「更新日時」だけを強調してなぜ「作成日時」を無視しつづけるのか、そこが謎である。無理にことを大きくするためだろうか。

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