日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

「グローバルCOEプログラム」と高校野球甲子園大会

2007-07-03 08:47:09 | 学問・教育・研究
高校野球夏の甲子園大会を主催する朝日新聞朝刊(7月2日)に《大学院予算 狭く厚く  グローバルCOEプログラム 審査公表》の記事を見たものだから、自然と上のタイトルが思い浮かんだ。お互いに競争心を煽り立てるからである。

紙面にはCOEがキーワードとして紹介されている。その最初の部分は《COE「センター・オブ・エクセレンス」(卓越した拠点)の略称。大学同士の競争を活発にし、世界的な拠点作りを狙う。「21世紀」が「研究教育」を掲げたのに対し、「グローバル」は「教育研究」で、教育面も重視する。》(強調は私、以下同じ)と簡潔に説明している。しかし大学同士がなにを競争するのか、は見えてこない。

「グローバルCOEプログラム」の前身、「21世紀COEプログラム」でも、《文部科学省が大学の構造改革の方針(平成13年6月)に基づいて、各大学が競争的な環境の中で個性輝く世界水準の研究教育拠点を形成することを目的として創設された事業です。》と、『競争』に力点が置かれている。しかし何を競争するのだろう。

大阪大学は大学最新トピックスに《平成19年度グローバルCOEプログラムに7件採択》と報じて《 7件の採択は、全大学の中で最多です。》と誇らしげである。

慶応大学では3件が採択されたが、《この度の審査においては、21世紀COEプログラムでの活動実績と、それらを踏まえた今後5年間の研究計画と博士課程を中心とした世界最高水準の研究者育成計画が評価されました。》と報じている。「計画が評価された」との自己評価である。

人文科学系で1件が採用された関西大学では河田学長がコメントしている。《今回この申請が採択されたことは、関西大学にとってはもちろん、私自身にとりましても、まさに「快事」であり、何にも増してうれしい出来事であります。》と手放しである。

「グローバルCOEプログラム」に採用された大学のほとんどが、大なり小なりコメントを発表しているようである。『競争』を勝ち抜き、採択されたことが慶事なのだ。

「グローバルCOEプログラム」に平成19年度では111校から281件の申請があり、63件(23校)(採択率22.4パーセント)が採択された。しかし各大学から出された申請は、学内での競争を勝ち抜いてきたものであろうから、実際の競争は遙かに厳しいものであろう。しかし高校野球選手権大会では約4000校のなかから全国大会に出場できるのは50校ていどなので、この競争よりはましなのかも知れない。

高校野球の場合は、全国のトップを目指して地方代表各校が全国大会を勝ち抜いていく。勝負がはっきりしているから『競争』の結果も目に見える形で分かる。これに反して「グローバルCOEプログラム」で採択されたテーマなり大学は、いわば地方予選を勝ち抜いた代表校のようなもので、これから優劣を他と争う真の勝負が始まる筈である。しかし上に述べたように何を『競争』すればいいのか、具体的な試合の進め方とルールが見えてこないから、ひょっとして「グローバルCOEプログラム」では地方代表校選出で終わりかな、と思ったりもする。選ばれるまでは確かに『競争』だからである。

『競争』ということに私なりに疑問が生じたので、「グローバルCOEプログラム」の前身、「21世紀COEプログラム」について、インターネット上で公開されている数々の資料に目を通してみた。すると浮かび上がったのはある『虚構』なのである。何をもって『虚構』というのか、また改めて述べたいと思う。


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