日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

学用患者だった

2006-12-07 19:55:06 | Weblog
昨日ブログを書いていて、そういえば私も以前に患者のようなボランティアのような経験をしたことを思い出した。かれこれ半世紀も前の大学院生時代のことである。

奥歯が虫歯だった。痛み出すと、母が教えてくれたのではないかと思うが、正露丸を適当に砕いて痛み出した歯の穴につめる。もちろん糖衣錠ではない。クレオソートが効き出すと神経が一時的に麻痺するのか、痛みが軽減する。しかしこのような誤魔化しが何時までも続くわけはない。遂に歯医者へ行く決心をした。

そのころ私は中之島の阪大理学部に通っていて、あのあたりに理学部、医学部に加えて歯学部があった。歯学部に進学して友人に、何本か抜歯しないと卒業できないから「歯を抜かしてね」とかねて頼まれていたので、彼女に連絡した。何か手続きをすると無料になるとのことだった。

もう細かいことは記憶にないが、多分学用患者として扱われたのだと思う。友人はまだ学生だったが、指導者の指示に従って診療するのである。麻酔に抜歯、術後処置など、どういう経緯を辿ったのか覚えていないが、要するに友人のお役に立てたのだから、私はまさに実験台であったと云える。患者であると同時に実験台として協力したのだ。手続きの際に、なにか条件が書かれていたのかいなかったのか、その記憶も残っていない。

学用患者制度なんて今でもあるのだろうか。大学の付属病院で診療して貰う患者は、まだ医師免許を持たない学生に診療されることもあると承知して訪れているのだろうか。病院側も、その様なことがありうる、と患者に了解を取った上で、学生に患者を診させているのだろうか。

云うまでもなく、医学生が一人前の医師に成長する過程で、臨床実習は欠かせないが、患者との関係はどうなっているのだろう。聴診器を当たられるだけでは何も気にならないが、抜歯もそうだが必ずや医学生が、もしくは免許とりたての医師が始めて人体にメスを加える瞬間があるはずである。その時の患者はまさに実験台になっているのだが、それが患者にも分かり、また了解しているようなシステムになっているのだろうか。

このあたりの『きちんとした手続き』を一度拝見したいものである。

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