読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

剛の者 <お鳥見女房> 諸田玲子 小説新潮8月号

2008-08-06 22:41:14 | 読んだ
お鳥見女房シリーズである。

前回は、お鳥見女房こと矢島珠世の家の居候だった石塚源太夫と源太夫の妻・多津の出産を柱とした物語「安産祈願」であった。

今回は、珠世の父で隠居の久衛門が物語の柱となる。

久衛門はお鳥見役を長く勤めたからか鷹の習性が乗り移ったかのように「雀」を見ると、身体に緊張感がみなぎるのであったが、ある日、死んだ雀を埋めていた。

という出だしで、なんとなく「暗示」されているようである。

そして、珠世の夫・伴之助と息子の久太郎のもとへ、久衛門の旧知である品川の綱差・八兵衛から、将軍の鷹狩りの際に、もしも獲物がないときに放たれる「鶴」が明日の鷹狩りを控えて全滅したという知らせがはいる。

一大事である。
もし、将軍に獲物がなく、代わりに放たれる鶴もなければ、お鳥見役の責任者と鶴の飼育の責任者である綱差の八兵衛(知らせに来た八兵衛の孫)は切腹は免れない、という。
伴之助と久太郎にも災いは及ぶ。

昔、久衛門は同じような事件にあった。
そのときは、葛西の綱差である荘助が鶴を失くし、久衛門の奔走で八兵衛から鶴を借りて難を逃れたことがある。

それを思い出し、久衛門と八兵衛は即座に葛西へ向かった。

さて、鶴は将軍鷹狩りに間に合ったのか?

ネタバレになってしまうが、こういう物語では必ず間に合うことになっているのである。
しかし、矢島家ではひとつ失ってしまうものがあったのである。

その失ってしまった後の物語がいいのである。

お鳥見女房もこれで一つの区切りができたようである。

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