読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

Bランクの恋人  平安寿子  光文社文庫

2009-10-15 23:01:02 | 読んだ
本書は、タイトルにある「Bランクの恋人」をはじめとして他6編の短編小説集である。

いずれも「恋する女」がテーマである。
ただそれが、女性の視線から描かれたものだけではなく、男の語り口であったりする。

標題の「Bランクの恋人」は、男の語り口である。
語る男は「女にもてる」ということを人生の主題にしている。
なのに彼はイケメンでもなければ金を持っているわけではない。
「マメ」で「下手」なのである。

彼、七塚次郎は常時12~3人の女とつきあっている。
さて、そういう男がどうなるのか?
このあたりが、平安寿子の面白さなのである。

「アイラブユーならお任せを」でも、信友氏(54歳・自転車屋)が主人公である。
彼は、故・春風亭柳昇の教えである「愛してる」を言い続けてきた。
その言い続けてきた上に現在の幸せがある、と思い込んでいる。

そういう信友氏がどのような事件に巻き込まれるのか。
非常にわかりやすいキャラの主人公に対し、脇役たちがどのような動きをするのか?
これがこの物語の面白いところだろう。

次からの「サイド・バイ・サイド」「はずれっ子コレクター」「ハッピーな遺伝子」「利息つきの愛」「サンクス・フォー・ザ・メモリー」はいずれも女性サイドから描かれている物語である。

このなかでは「ハッピーな遺伝子」と「サンクス・フォー・ザ・メモリー」が平作品としては異色である。
他の作品はいわゆる「アラ・フォー」系の女たちが主人公であるのに対して、この2作品はわりと若い女が主人公である。

私的には「ハッピーな遺伝子」が好きである。
売れないミュージシャンでかつラーメン屋の店主・チャーリーを父にもつ・ルミが主人公。

ルミの両親は離婚している。
離婚した両親の間でルミはゆれている。
その『ゆれさ加減』がいい。
そして父親の人生訓というか座右の銘というか口癖というか、いい加減さをごまかすコトバで、ルミが嫌いな
「ドント・ウォーリー、ビー・ハッピー」
が、最後の効果的に使われている。

まっ、いずれも平安寿子ワールドを堪能でき、満足、満足なのである。

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