沖縄の街角(旧名:北京の街角)

沖縄と天津でIT関係の会社を経営しながら、仕事を通して考えたことを発信する。

Googleの中国撤退

2010-03-25 12:44:37 | IT知識
「中国当局は、ユーザーが香港のサイト、Google.com.hkにアクセスするのをブロックするための明確な措置は取っていないが、外国のウェブ・コンテンツに対して政府が用いている広範なフィルターメカニズムは、香港サイトでの政治的にデリケートな検索結果を見えないようにしている。」

北京でwww.google.com.cnにアクセスすると、自動でgoogle.com.hkにジャンプする。
その検索サイトで天○門事○といれても、インターネットエクスプローラーではこの頁を表示できませんと出る。ちなみにgoogle.co.jpでもこの検索文字を入れる同じ表示が出る。
したがい、政府の長城ファイアーウォールのフィルター機能が的確に働いているようだ。

googleが検索機能を香港に置いた理由は上記とは別の理由であり、R&Dを含むグーグル中国自体は今後も中国に残すらしい。中国移動などとのパートナー契約は今後も続けるそうだ。
ウーン、なんか中途半端な撤退だね。

バブル崩壊の足音

2010-03-21 18:41:28 | 事業
第11期全人代で温家宝首相から「2010年は中国経済にとって、最も複雑な一年になる」との発言があった。この言葉から、中国経済が非常な危険水域に入ったと中国政府が認識していると思われる。中国経済がこれからどのように動いてゆくかは万人の気になるところだろう。
今年の5月から上海万博が始まる。GDPも8%以上の伸びである。
一見すると中国経済は絶好調にみえるが、実は大変な問題を抱えている。
不動産バブルは、いつはじけてもおかしくない状況である。

政府統計の2009年度CPIは、前年同期比で8月まではマイナス、その後11月からプラスに転じ、今年は1-2%のプラスになっている。実感ではインフレが統計数字以上にかなりの勢いで加速している。特に食料品、雑貨、ガソリン、光熱費、家賃などの生活必需品の値上がりが激しい。

2009年通年の中国国内向け新規融資額は9兆6千億元。これは政府の金融超緩和政策によるものだが、この融資額は前年比96%増というすさまじいものだった。しかし、この融資は、設備投資にはほとんど振り向けられず、大半が不動産投資と公共投資に使われてしまった。前年比倍ちかくの人民元が市場に流通し、それで不動産建設や不動産買占めが行われ、不動産バブルになった。不動産価格が上がりすぎたため、一般大衆は不動産購入をあきらめ、彼らのお金が自動車購入にまわされた。大半が自動車ローンを組んでいる。そして、自動車の販売台数はアメリカを抜いて世界一になった。

GDPの内訳を簡単にまとめれば、国内消費が40%、輸出と投資で60%。最近の3-4年は輸出の貢献が大きく、大体20%くらいであった。この輸出が2009年通年で前年比16%ダウンした。輸出が減った分を公共投資などで補っているため、2009年も8.7%を維持できた。
要は人民元を前年比倍近く流通させて、その大半を不動産投資、公共投資に使って維持されたGDP8.7%だ。更に輸出の60%は外資系企業によるものだ。

インフレを放置すると、経済弱者の不満が爆発する。だが、インフレ対策で金融引き締めをやると、不動産バブルがはじけ、成長のシナリオが崩れる。それだけではなく不動産バブルで利益を享受しているのは、権力構造に関係している団体が多い。バブルがはじけると、これらの受益者が大損をかぶる。

更に、国家主席の後釜をめぐって、権力闘争が、複雑に絡んでいる。
現政権とすれば、他派に足を引っ張られるようなことは絶対避けなければならない。
だから、経済成長を止めるようなバブルの崩壊は絶対避けたい。そうするとインフレ覚悟で、金融緩和を継続し公共投資に金を投入し続けるだろう。

インフレで物価が上がり、弱者を直撃する。行政に対する不満の爆発が今以上に頻発するかもしれない。しかし、武警という、軍と警察のあいのこのような強力な組織があるので、ほとんどの暴動は瞬時に鎮圧されるだろう。

政府はマイルドなバブルを目指して、住宅関係に今以上の規制をかけて、上昇カーブを落とそうとするだろう。そうやって時間稼ぎをする間に、実体経済が発展し、且つ世界経済が回復し、国民に購買力がつけばバブルは消化される。そうなって欲しいと心から望む。しかし、それには膨大な時間が必要であり、短期ではとてもそんな状態に到達できない。

市場主義経済をとっているかぎり、実態需要のない不動産を増やし続ければ、どんな結果が来るかは明白だ。GDPに占める国内消費が4割しかないことを見ても、現在の購買力はこの事態を解消するだけの能力はない。そうすると、時間稼ぎをしてもいずれバブルは崩壊する。もっとも、不動産投資は借金でやっているから、この借金の返済義務を免除にすれば、バブルははじけない。

バブル崩壊が有益な側面もある。バブルが崩壊すれば不動産価格は下がり、一般人が購入可能なレベルになるだろう。またバブル崩壊によって、富の再分配が進み、収入格差による不公平もある程度緩和され、不満の解消に役立つ。バブル崩壊によって一番損失を蒙るのは、利権をもった輩だが、彼らは金持ち階級だから、損失にも耐える富の蓄積があるはずだ。富の蓄積もないのに、不動産投資に手を染めてた輩は、破滅を免れないだろう。