幹細胞
医療のニュースで「幹細胞」という言葉が出てきますが、それは何ですか?
体を形作っている細胞の種類は約250位あるといわれています。神経や血液、肝臓などの組織や臓器はそれぞれ特徴的な細胞で出来ています。肝細胞というのは、こうした様々な細胞に変わることが出来て、必要に応じて新しい細胞を供給しています。また、自分のコピーも作ることが出来ます。
幹細胞には、どうして、そうした能力があるのですか?
人間の体は、もとは1個の受精卵で、それが分裂して様々な細胞が出来たものです。これを「分化」といいます。分化が最後まで進んだのが組織や臓器の細胞です。こうなると別の細胞にはなれません。一方、幹細胞は、分化が途中までしか進んでいません。だから別の細胞に変われるんです。
幹細胞には、どんな種類がありますか?
赤血球、白血球など血液の細胞に変わる「造血幹細胞」、脳や脊髄の神経細胞になる「神経幹細胞」が代表例です。造血幹細胞は主に骨の中に、神経幹細胞は神経の近くにあります。
iPS細胞は幹細胞ですか?新聞には「人工多機性幹細胞」とも書いてありましたが・・・
幹細胞ですよ。だけど、遺伝子を操作して作っている人工の幹細胞だから、体の中にはありません。受精卵から作ったES細胞(胚性幹細胞)も人工の幹細胞です。どっちもほかの幹細胞より分化が進んでいないから、あらゆる細胞になれます。これを「万能細胞」ともいいます。
医療には役立つのですか?
白血球を治す骨髄移植は、実は造血幹細胞を移植しているのです。iPS細胞で、目や神経の難病を治す方法も研究されています。
参考文献:読売新聞