私も現在進行形で、苦労していますが、不妊治療と仕事を掛け持ちで続けるのは、非常にしんどい。
「一度、仕事を辞めて、治療に専念しようか」という気になる日もあるけれど、私は個人的には、この「仕事を辞める」は最後の選択肢とするべきだと考えています。
今日は、その辺りを書いてみようと思います。
その前に。
前回の「仕事と不妊治療の両立は可能か」のエントリでも書いた、大前提をもう一度書いておきます。
不妊治療云々はもちろん、男女の性別も問わずの話として、仕事をするうえで
●仕事内容(やりがい)
●お金
●人間関係
この3要素のうち、2つで折り合いがついている(=大きく不満に思っていない)限りは、その仕事(職場)を続けることができる。
逆に2つが大きく不満な状態で、自身の努力で改善する状況も見込めないのであれば、その仕事(職場)は変えたほうがよい。
ここからは、「3要素のうち、2つで折り合いがついている」ことを前提に話します。
また、自分なりに考えての持論ではありますが、やはり、どうしても視野が自分の知る範囲に限定され、その視野の狭さが故に、読んで不快になる方もいるかもしれません。
その辺りは、寛大に斟酌いただいて、ただの一個人の意見として、読んでいただければ幸いです。
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私は、これまで、職種は大きくは変えないまま、3度の転職をしています。
転職って、相当のパワーがいります。
よっぽど、今の会社に不満を持っていたり、差し迫った状況でないと、動き出せない。
転職してからも、新しい人間関係をイチから築きなおさなきゃいけないので、慣れるまでは、かなりストレス。
また、転職(求職)活動は、自分をセールスする活動なので、それ自身もかなりのストレスです。
知り合いで
「自分の市場価値を確認するため、
本当に転職をするつもりはないけど、
中途採用面接を定期的に受けている」
という人がいます。
本当、よくやるなー!と感心します。
そしてもうひとつ。
転職(中途での入社)は、年を重ねるごとにハードルが高くなります。
例えば、現在36歳の私が
「ブランクもあるので、30歳のランクからでも構わない。」
といっても、会社は、私を雇ってくれません。
なぜなら、会社にしてみれば、それだったら、30歳の人を雇うから。
大体は、36歳だと、
「35~37歳の生え抜き社員がやっている仕事を
33歳ぐらいの給料からスタートで雇いましょう。」
というのが、会社側のスタンスでしょう。
本当は、「実際、入社後は、結局なかなか昇給しないから、
最初の給与交渉が肝心」という話もあるけれど、
この辺の話は、本筋ではないので、おいておきます。
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まとめると、これまでの転職経験を通じて、これらのことを自信持っていえます。
●辞めるのはいつでもできる。
●一度辞めると、元に戻るのは、なかなか難しい。
特に「人間関係」の柱をイチから築き直さなきゃいけないから、
慣れるまで、相当のストレスが要求される。
●年をとればとるほど、要求されるハードルは高くなる。
方や、これまた、重要なファクターですが、次のことも言えます。
◎治療に専念したからといって、うまくいく保障はどこにもない。
◎物質的余裕は精神的余裕をもたらす。
ひとつめについて、もちろん、「治療に専念したら、すぐに授かった♪」ケースも目にするけど、結果論でしかないんじゃないかな、と思います。
うまくいけばいいけど、うまくいかなかった時、仕事を続けるなら、上で述べた大きいストレスに立ち向かわなきゃいけない。
また、ふたつめは、労働量のバランスはあるけれど、(介護などといった家庭の拘束事情がないなら)、月200時間くらいまでは、働いてお金を稼ぐことも、一種の精神安定剤だと思うのです。
だって、不妊治療、すごいお金かかるし。
無事子供が授かってからも、お金かかるし。
だから、もし辞めるぐらいの覚悟があるのなら、その前にカミングアウトするなど、なんとか両立できるよう策を講じてからの方が、「保険が効く」というか、選択肢を多く残せると思うんです。
会社にとっても、その人自身がいなくなると困る戦力であったら、
新しく人を雇ってイチから教育するコストを考えると、
多少の融通をつけるように便宜を図るのではないか、と思います。
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最後の1文は、訂正です。
便宜を図るのではないか、と
思っていました。
だけど、いろんな人のブログを拝見していて、自分が思っていたより、会社の対応は厳しいのだ、という事がよく分かりました。
甘かったです。
産休・育休、育児をしながらの仕事に非常に理解を示す会社が、不妊治療には、目を疑う対応をしている実情があるんだ、と。
実際、不妊治療は、通院で拘束されるけど、残業でカバーできるし、
3ヶ月単位で考えれば、全く拘束されない期間もあるし、
育児しながら時短で仕事をする人よりも、時間の拘束は弱いと思うんだよね。
労働時間という軸で考えると、決して劣る戦力ではないと思うのに、
本人も働く意志が強いのに、便宜を図らないのは、なんとももったいない。
就業規則で扱わない分野に会社組織の本音が出るのかなぁ、と残念な気持ちになりました。
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私は、最初の転職をするまえに、職種も変えようとして、1年ブランク(つまり、ニート)期間を過ごしました。
その時の経験でのことですが、
これまで仕事をしていた人が、仕事を辞めると、
「これで、いいんだろうか」
と、落ち着かない気分になる時期が、恐らく必ずくると思います。
それが、一過性で終わるか、ずっと続くかは、人によると思うけど、一度は来るとおもいます。
そうした時に、できる限りの手を尽くし、考えるだけのことを考えて、辞めた経緯があれば、その決断に納得できるだろうと思います。
それでも、やっぱり、
せめて「育児と仕事の両立」と同じくらいに
「不妊治療と仕事の両立」に
理解を示してくれる会社が多くなって欲しいなぁ、と心から願います。
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