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最近ちょっとお疲れ気味

富山県城端町は「感性価値」の町?(後編)

2008-04-14 00:24:26 | ニュース・雑感
前編からの続きです)

 しかしなぜTrue Tearsというアニメの舞台が城端町なのか、というと、担当したアニメーション制作会社P.A.WORKSが城端町の会社で、同地を訪問した監督が町並みや風景を気に入ったからだそうです。調べてみると、P.A.WORKSは下請けとして「攻殻機動隊」ほか過去にかなり有名な作品を手がけているので、業界では割とメジャーな会社であるようです。アニメーション制作会社といえばほとんど東京に集中している中、富山の地方都市に立地するこの会社はかなり異色な存在でしょう。

 この件で城端町についてちょっと興味がわいたので、いろいろと調べてみたのですが、大変興味深い事実を知りました。

 「パロ」というアザラシ型の介護用癒し系ロボットがあります(写真)。そんなのロボットじゃなくて本物の犬や猫の方がいいんじゃないの?と思ったのですが、開発した産業技術研究所によると「ペット動物を飼育するアニマル・セラピーは、心理的効果、生理的効果、社会的効果が認められているが、アレルギー、人畜感染症、噛み付き・引っかきの事故などから、特に医療・福祉施設において、実際の動物を導入することは難しい。」(産業技術総合研究所)ということなので、こうしたアニマルロボットの存在意義は高いのだそうです。「パロ」は「愛・地球博」にも出展されて好評を得ているほか、すでに国内外の医療施設でその癒し効果が確認されています。
 このパロを生産・販売しているのが、これまた城端町にある知能システムという会社なのです。どうも開発者が城端出身であることが背景にあるようです(南砺市役所)。

 さて、ちょっと話題が変わりますが、経済産業省が新たな産業政策の柱として「感性価値」というキーワードを最近打ち出しています。

(以下引用)
我が国が引き続き、暮らしぶりを向上させ、活力のある発展を遂げるためには、従来のものづくりの価値軸(性能、信頼性、価格)に加え、新たな着眼点からの価値創造が必要になっています。
そこで、経済産業省では、生活者の感性に働きかけ共感・感動を得ることで顕在化する商品・サービスの価値を高める重要な要素を、「感性価値」として着目し、日本の強みを活かしながら、我が国産業の競争力の強化と生活の向上のために産学官が一体となり取り組んでいくべき事項を、今後の産業政策の柱とすべく検討してきました。
これまで大臣懇談会等を通じて各界の有識者から大変貴重なご意見を頂きながら、今般、その検討内容を「感性価値創造イニシアティブ」として取りまとめ、2010年度までを「感性価値創造イヤー」と定め、感性価値創造の実現に向けた施策を重点的に行います。
(引用終わり)

 出所:平成19年5月22日 経済産業省 「感性価値創造イニシアティブ」の策定について(PDF)

 そして「感性価値」に基づく製品等として、様々な事例が「事例集」(PDF)にて紹介されているのですが、ポップカルチャーの代表として「ポケモン」とマンガが紹介されているほか、癒し系ロボットの「パロ」も紹介されています。
 アニメ、そして癒し系ロボットという、感性価値が重要とされる製品を生み出す企業が共に城端町という小さな地方都市に立地している、という事実は単なる偶然であるかもしれません。しかし、優れた感性を育む、自然環境が豊かで「越中の小京都」と評される趣のある町並みが残る城端町だからこそ、交通アクセスが不便であっても両社が立地しているのではないか。そんなことをふと想像してみました。



(2008.4.23追記)
 この投稿にTBを付けて下さったしまうま技研さんの情報によると、
(1)P.A.WORKSと知能システムは同じ城端にあるというよりも、同じビルに入居していると言った方が的確。
(2)アニメ「True Tears」の作中やOPに登場する山々は、多分、立山連峰ではない。
 とのことです。しまうま技研さん、ありがとうございました。

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4 コメント

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Unknown (デハボ1000)
2008-04-14 15:39:36
城端は若いころ行って(駅でね袋を持ち込んで)結構風光明媚なところです。
ただアニメに関しては、地方での人材発掘があるようですね。アニメ自体はセルアニメの時代は人材集約型でしたが、いまやコンピュータ製作なので、データ送信が可能ならば、世界中で出来るということのようですね。確かに東京都(中野・練馬が多いらしい)が圧倒的に多いそうですが、大阪・京都にもあります。
>涼宮ハルヒの憂鬱
は京都アニメーション(京都府宇治市)という大手がやってますね。
城端 (kunihiko_ouchi)
2008-04-15 00:56:11
デハボ1000さんコメントありがとうございます。
富山出身の同僚曰く、城端はアニヲタが徘徊すると確実に浮いてしまうような情緒あふれる良い町なんだそうです。
京都アニメーションのことは注意書きしようと思っていたのですが、指摘されてしまいましたね。らき☆すたも京アニによる作品ですし、注目株のアニメーション制作会社ですね。
Unknown (niwatadumi)
2008-04-16 12:33:22
こんにちは。
富山在住時,城端は静かな街でした。
今も星空は美しいようです。僕のブログからリンクしているこちらのブログでご覧下さい。
→ http://blog.nsk.ne.jp/stella/
きれいな星空ですね (kunihiko_ouchi)
2008-04-16 23:59:13
niwatadumiさん、コメントありがとうございます。
本当に良い町のようですね。
首都圏や関西のアニヲタの皆さんは、さすがに城端となるとそう簡単には押し寄せることはできないでしょうね。筋金入りの方にとってはむしろ「聖地」としての価値が高まるのかもしれませんが。