Mちゃんに仕事を依頼しようと連絡した。
彼と2人で会う時はいつも西川口で会うことが多い。前回は「力」、その前は「とさか」で飲んだ。今回も「とさか」に行こうとなったが、Mちゃんと会ったら、足を引きずっていた。重度のヘルニアらしい。彼は「とさか」の階段すら上がれなかった。歩くのも辛そうだから、「とさか」の目の前にある中華で飯を食おうと提案したら、「もう一軒、兄さんを連れて行きたいとこがある」と言ってきかない。そこに行くことにした。ちなみにMちゃんは、自分を「兄さん」と呼ぶ。
そのMちゃんおすすめのお店は魚屋が経営する酒場だった。
魚屋といってもこぎれいで、なかなかにシャレオツ感のある酒場。メインはカウンターでランチョンマットが敷かれている。席はほぼ満席で女性客の割合が多い。
今日はもう日本酒だな。席についてそう直感した。
日本酒のラインナップもいろいろ。「香る酒」や「爽やかタイプ」、「コクのある酒」などの指南付きメニューが用意されている。知ってる酒もあれば知らない銘柄もあり、なんだかワクワクする。ただ、値段はちょっと高めだ。なので、ケチって、「松竹梅 豪快」熱燗を2合オーダーした。ちなみに1合は490円である。
やがて酒とともに、頼んでいないスープが出てきた。
「金目鯛の吸い出し」というものらしい。これ、お通しで220円。なかなか東京の酒場では見ない料理だから嬉しい。241円だから、全然OKでしょ。
Mちゃんのオーダーに倣い、「ひたし豆」(209円)と「お刺身盛り合わせ小」(979円)をとってみた。さすが魚屋。仕入れは断然いい。
料理は刺身の他、煮、焼き、蒸し、炒めなど、魚に合わせて様々なものが用意されている。
ちょっと残念なのはオーダーをとる人が不慣れで、店を回せてなかった。お店の規模が20人程度のキャパだから、一人の配置で充分だが、スキルが伴っていないと、ちょっと厳しい。オーダーがなかなか通らず、ロスになることもしばしば。名店の要素は厨房だけでなく、オーダー係の要素が大きい。心の余裕と客あしらいのスキルも求められるため、こればかりは誰でも出来るものでもない。かつて「居酒屋さすらひ」のアワードを受賞してきた店は概ね、オーダー係も優れている。なかなかオーダーが通りにくい、ミスオーダーが多い店は、オーダー係に問題があるケースがほとんどだ。
日本酒が空いた後は、「ホッピーセット」白に移行。
セットが543円。「中」は275円は微妙な設定。税抜きで計算した場合、「中」2杯のおかわりだと990円。ギリ1,000円以内。これは計算し尽くした設定だと思う。
自分的にはもっとがぶがぶ酒を飲みたいが、ここはあくまで魚と酒を楽しむ空間として使う店。こういうのもたまにはいい。
最後は握りを頼んで〆た。
会計は老人が担当していた。もしかすると店の店主かもしれない。ただ、タブレット端末を流暢に使いこなし、自分のカード払いにもサクサクと操作をしてすぐに会計した。爺さん、なかなかやるなと思いながら、店を後にした。