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居酒屋放浪記 NO.0021 ~徒士と戊辰戦争 <後編> ~「味の笛」(台東区上野)

2005-06-11 17:26:48 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋
  御徒町駅の構内を潜り、山手線の内側に入ると気のせいか街並みが賑やかになる。
  上野松坂屋はすぐ近くだし、アメ横も目の前という場所柄、夕方は買い物客でごった返す。
  前編で「御徒たちが住んだ町だろう」と書いた。『地図から消えた「東京の町」』(福田国士著、祥伝社黄金文庫)によると「徳川三代将軍家光の頃、幕府徒士組の屋敷がこの一帯に多く置かれ、俗称として御徒町、或いは徒士町と呼ばれていた」とある。正式に御徒町という町名になったのは明治5年のこと。ちなみにその当時の御徒町は現在の日比谷線仲御徒町駅周辺である。逆に現在の御徒町駅周辺が当時の仲御徒町だった。

  さて、御徒町駅北口からガード沿いを南へ歩く。
  昔ながらの青果店が歩道にも野菜をいっぱいに並べ、声を枯らして売っている。日は西に傾き、クリーム色の空が、山手線高架の向こうまで続く。恐らく、この風景は昔からたいして変わっていないだろう。

  青果店の軒3件向こうにある、立ち飲み屋「味の笛」。まだ夕方はやい時間から馴染みの客が熱心に詰めかけ、店内は活気に満ちている。夕方ぷらっと立ち寄ってビールを体内に補給し、帰宅の途に着く。そんな気軽さが大衆に支持される理由だろう。
  経営は確か、吉池グループだったか(多分)。そういえば、学生の頃、昼飯はほとんどが吉池のお弁当だったなぁ。またまたお世話になります。

  「味の笛」は1階が立ち飲みコーナー。2階は座って飲めるよう棲み分けされている。だから1階は昔ながらのコアなファンでごった返す。2階は椅子とテーブル付。立ち飲みというイメージとは裏腹に、2階は軽いノリで気軽に入れる。しかも、飲み屋なのにしっかり分煙。しかし、禁煙席に付いても、流れてくる紫煙はほぼ変わらないが・・・。

  立ち飲み屋の流儀はいささか難しい。カウンターで飲み物とツマミを購入、料金はその都度支払う。ここまでは至極簡単だ。問題は飲むスペースの確保だ。味の笛の場合、大抵満員だから、適当に空いているスペースを目ざとく確認する。そこで程好い場所を探したら、先客に愛想よく、「スンマセン」の一言でもかけ、場所の拡張をしてもらうのだ。飲む場所に割って入る人も入られる人も最低限のマナーがある。ここはやはりお互い一言が必要だ。

  しかし、味の笛を訪れる人には様々なタイプがいる。わいわい同僚と騒ぐ会社員をはじめ、どんな仕事をしているのか、想像もつかないおっさんがスイっと立ち寄って、ビール2杯とマグロのブツ切りを素早く平らげたかと思うとササッと店を出て行く。また、文庫本を熟読しながら、すっかりその世界に浸っている人。ボーっとしながら、ひたすら飲みに徹する人もいる。ここは一人で来てもちっとも恥ずかしくない。むしろ、一人で来るほうが自然だ。誰にも干渉されることもないし、ここで話し相手を探してもいいだろう。とにかく、おっさんにとってここは聖域だ。

  ビール一杯250円。セルロイドのコップに注がれたそれはスタジアムで売っているものより明らかに量は多い。それなのに、金額はインボイスSEIBUドーム球場の半額以下。こりゃぁ嬉しい。なんてったって250円ですぜ。350ml缶だって220円はするもんね。
  つまみも常時20種類は用意されている。マグロのブツ切り、タコ刺し、イカの一夜干が一皿300円前後。ポテトサラダ、冷奴が250円、枝豆は200円などなど。1,000円もあればかなり満足に飲むことができる。
  そして、何よりもこの雰囲気。喜びとため息が渦巻くまさに大衆の酒場に相応しい。
  嗚呼、素晴らしき哉立ち飲み屋。

  表題にある「戊辰戦争」は話の流れで割愛しちゃいました。また来週~っ。

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1 コメント

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あれー (まき子)
2005-06-12 14:12:08
前半が「つづく」だったからコメント入れを待っていたんですが

戊辰戦争は割愛っすね(笑)。

でも、おっさん聖域のお店、とってもいい感じです。

んでもって、スタジアムのビール700円が、そうとう悔しかったのが伝わります。

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