昔、昔~しまだ若かりし頃、東京でデザインを学んでいた頃の話しです。
東京FMの深夜番組に【アスペクト・イン・ジャズ(1973~1979)】と
言う番組が有りました。
私の敬愛するJAZZ評論家、油井正一さんがパーソナリティーを
務めていた『こんばんは、油井正一です』と始まる名物番組、
記憶ではTDKがスポンサーで毎週火曜日の深夜1:00~3:00だったと思います。
テーマ曲にジェリー・マリガンの【ナイト・ライツ】と言うアルバムの
中の【プレリュード・イン・マイナー】が使われていました。
Gerry Mulligan - Prelude In E Minor
元々は【ショパン24の前奏曲(プレリュード)第四番ホ短調】なのですが、
ボサノバに仕上っていてマリガンのバリトンサックスの音が漆黒の夜を連想させ
美しい素敵な曲になっています。
番組の前半は主に新譜紹介、後半は特集などで構成されています。
油井さんの深い話とちょっと講談調の語り口が好きで毎週、課題に追われながらも
楽しみに聴いていました。
とても懐かしい油井さんの声です。
アスペクト・イン・ジャズ 1977年12月7日(水)
いつも三畳の部屋でヘッドホーンをして聴いていたのですが・・・ある時、なにかの
拍子にジャックが外れたらしく隣の住人に大目玉をくらった事を覚えています。
無理もありませんネ!! かなりな音量!!さらに夜中の2時でしたから。
油井正一さんは私がJAZZを聴き始めてから一番信頼出来た評論家であり、
私にとってはJAZZの世界の羅針盤的な存在で、昨今の【好み論的】批評を
する人達とは違い、誰にでも公平な真の評論家でした。
スイングジャーナルの新譜紹介で自分がこれは良いと思っていたアルバムに油井さん
が★★★を沢山付けてくれた時等はニンマリとしたものです。
そんな敬愛する油井正一さんも1998年79歳でこの世を去りました。
油井さんのお陰で大分耳が鍛えられ、他の評論家の皆さんのお力を必要と
しなくなりましたので、それからはスイングジャーナルなどの購読も止めてしまいました。
そんなJAZZを取り巻く状況も大分様変わりをし、本場であるはずのアメリカでさえ
有名ジャズクラブが次々に閉店、昨年は日本でも1947年創刊のスイング・ジャーナルが
休刊になってしまいました。
決定的にJAZZを聴く人間が少なくなったのが原因ですが、その影響で
CD売り場もどんどん縮小しJAZZと切っても切れない関係のオーディオの
世界も同じで、今は本当にニッチな世界になってしまいました。
そもそも音楽は社会情勢と密接な関係にあり、社会が変われば音楽に対する
環境も変化して行くのは当たり前な事なのですが、昨今の蕎麦屋やラーメン屋など
何処にいってもBGMがJAZZなのにはちょっと皮肉なものを感じてしまうオジサン
なのであります。
実はこの【アスペクト・イン・ジャズ】今、衛星デジタルラジオ
(ミュージックバード)で再放送を始めています。
ちょっと、聴いてみたいですね~・・・
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