Beerかた手に独り言

建築とJAZZと酒をこよなく愛するオヤジの想い

【幸せな夜】

2007-06-04 | JAZZ・コンサート
先日、何年かぶりに最高なコンサートと出逢う事が出来ました。
【中本マリJAZZ WAVE】とタイトルされたコンサート。

会場は函館の金森ホール、ちょっと早く着いた時間はとても美しい港の夕暮れで,
中に入るとちらほら顔見知りの姿があり、一番前のセンターテーブルに座りました。

    中本マリ    (Vocal)

大石 学トリオ
      大石 学 (Piano)
       米木康志 (Bass)
        原 大力 (Drums)

高槻ジャズストリートでの評判を聞いていて、同じメンバーと言う事で
楽しみにしていました。

うかつにもオープニングの第一声でノックアウトされてしまいました。

変わらないちょっとハスキーな伸びのある声、抑制の効いた低域からの歌い出し、
それは珠玉のバラードでの幕開けでした。

背中には電流が走り、目には涙、〈やられたと!〉・・・参りました!
こんな事は滅多にないのです!

大石トリオ演奏は生で始めて聴きましたが、三年程前から中本さんと
コンサート活動をしているらしく息もピッタリで、中本さんのリードによる
インプロヴィゼーションは素晴らしく中々の実力で、トリオとしての音楽性
も感じる事ができました。

元々函館でのコンサートはスケジュールには無く、Bassの米木さんが函館出身と
言う事もあり、伊達と札幌でのコンサートの前に急きょ決まったようです。

彼女のアルバムに【アフロディーテの祈り】(画像)と言うアルバムがあります。

1979年にロンドンでロイヤルフィルハーモニーオーケストラをバックに歌った
物で、ジャニス・イヤンやスティービー・ワンダー、ミシェル・ルグラン等が曲を
提供しています。

三木敏悟によるオーケストレーションが素晴らしく,神秘的な彼女の歌声がとても
印象的な作品で、私のお気に入りの一枚でもあります。

今回のコンサートを聴いて思うのは、彼女の音楽に対する真摯な姿勢は昔も還暦
を過ぎた今も、まったくぶれていないと言う事です。
それは昨今の形だけのJAZZに対するアンチテーゼであるとともに、本当のJAZZの
『魂』を強く感じました。

唯一気になったのは、ホールのPAです。
ボーカル用のモニタースピーカーの位置が問題で、彼女のマイクがその
モニタースピーカーの音を拾ってしまい、苦笑しながら自分の耳に手を当て声量を
調整しながら歌っていた。

さすが~・・・と感心しつつも、ホールの音響担当者に本当に腹が立った。

歌い手にそんな気使いをさせるなんて・・・情けない!!

とは言え内容的には大満足。
アンコールのPA無しでの【テネシー・ワルツ】は自信がなければ到底出来ない事
で、本当にハートにしみ入る歌でした。

コンサートが終わり会場を出て見上げた夜空には満月、真直ぐ帰る気になれず
余韻を楽しみつつ歩きながら、足はいつしかお気に入りのBARへ向っていました。

本当に忘れられない幸せな夜でした。