Beerかた手に独り言

建築とJAZZと酒をこよなく愛するオヤジの想い

旭山動物園

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート

先日、パウル.クレー展を観に札幌に行ったついでに、足を延して
話題の旭山動物園に行って来ました。
動物園と言えば、子供の世界と思いきや、3/4は大人でその来園者の数
には驚きました。

遊園地を併設した施設は旭山の中腹に位置し、一番下の正門から一番上の
新東門(大変眺めの良いレストランのある、管理事務棟)を結ぶ中央通路
を基軸にツリー状にそれぞれの施設が配置されています。

勾配の少しきつい傾斜地を上手に利用した施設は、螺旋形状の平面計画がされて
いて、動物達の水中、地上、空中での様子を連続的に見る事が出来、人の流れも
スムーズな動線計画になっています。
じっくりと観察が出来る溜りのスペース等も有り、動物達の何を観て欲しいかが
解る、本当に良く考えられた施設でした。

この動物園を観てつくずく思ったのは【コンセプト】の重要性と言う事です。
水中のペンギンはまるで空を飛んでいるようで、【鳥】なんだと認識させられ
猛獣館では少し手を伸ばせば届きそうな距離でその臨場感には驚きです。
また、チンパンジーの森では人間の方が見られている感覚でした。

このように【コンセプト】をストレートに実現させる事は大変難しい事であり、
飼育員の方々の強い想いと並々ならぬ努力の跡が感じられます。

現状は入場者があまりに多くて、完全に各施設のキャパシティーを超えて
しまっていますが、今度は平日に一日ゆっくりと行ってみたいものです。

今は古い施設も混在していますが、動物園としての完成形が本当に楽しみです。



あたりまえ

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート

仕事休めに窓から見える駒ヶ岳に目をやりながら、ふ~と恩師の言葉を
思い出しました。

まだ学生で東京でインテリアデザインを学んでいた頃の話しです。
秋の快晴の日の教室、いつもの窓側の席で製図板に向かい住宅の課題に取り組んで
いた私に【こんな気持の良いお天気の日は、窓を向いて図面を描いたらどうだ。】
と言うのです。
驚いて、キョトンとしている私に【その方が気持が良いだろう。】と.....

その当時の私にはその言葉の真意など解るはずも無く、恩師の口癖だった
【当たり前の事が当たり前だと解り、当たり前に出来なければならない。】
と言う事が、、

私達の世界では、【建築の設計は、住宅に始まり、住宅に終わる。】と
言われています。
それは、住宅の空間の中には他の建築空間の全ての要素が含まれていると言う
事と、家庭と言う単位が社会生活の基本になっているからに他なりません。
つまり、一番身近なテーマであり、一番複雑で難解なのが住宅設計だと言う事です。

昔、吉村順三さんの浜田山の家を見学させて頂いた時に、そのあまりに質素で
さり気ない空間に驚いた事を今でも覚えています。
今にして思えば、あれが【当たり前】と言う事のように思えます。

それなりに年齢と経験を重ねた今も、住宅を設計する事の難しさを痛感しつつ、
この【あたりまえ】と言う事が少し、解ってきたような気がします。



世界自然遺産

2006-09-26 | アウトドア・ドライブ
先日、少し遅い夏休みを取り、前々から行きたかった道東へキャンプに
出掛けました。
行きは寒冷前線の影響による大雨で鵡川で足止めをくいましたが、迂回で辛う
じて切り抜ける事が出来ました。

私の住む道南とは違い、その景色の雄大さには驚かされてスケール感が狂って
しまいました。
釧路湿原、霧多布、納沙布、風蓮湖、野付半島など、その中で人々の生活が当たり
前の様に営まれていて、自然に対する【畏敬の念】からなのでしょうか、ちょっと
控えめな印象の生活の様子に自然との共存を感じてちょっと感動しました。

世界自然遺産の知床も元々の経済基盤の違いなのか、羅臼側と斜里側とでは大分
印象が違い驚きました。

遺産指定後は観光客も一気に増えたようで、知床五湖の遊歩道はミュールやパンプス
を履いた人達で溢れ、みんな平気で木の根を踏み締め、暑さに顔を歪めて、まるで
何かに追い立てられるように歩いていました。
そこには、自然を愉しむと言うような雰囲気など何処にも有りません。
人から伝え聞く、同じ世界自然遺産のヨセミテ国立公園の様子とは大分違う
ようです。

その日は余りにも安直に立ち入る事の出来る世界自然遺産に驚き、痛し痒しの
複雑な気持でキャンプ場に着きました。

今また、南の沖縄もまたリゾートバブルに沸いているようですが、自然界の
浄化能力、再生能力には限界があり、それを超えた時に崩壊は一気に進み二度
と元には戻りません。
自然と付き合う為には【畏敬の念】の気持が必要で、これが最低限のルールの
ような気がします。


今、本当に守るべき物は何なのか、真剣に考えなければならない時期に来ています。


絶品 B級グルメ

2006-09-26 | 旨いもの
北海道、道南の木古内町でとても美味しいローストチキンを見つけました。

芦田商店(TEL01392-2-2705)と言うお店が販売しているのですがこれが
実にウマイのです。

一見、ごく普通の鳥モモ肉のローストチキンなのですが、食べやすい様に
きちんと筋や間接を外し、肉を開いた下処理がされています。
これを回転させながらじっく~り、じっく~り、ローストして行くと適度に
アブラが落ち、滴り落ちたアブラでさらに燻煙されて行きます。

この様子に香りが加わり、さらに食欲をそそられます。
その焼き上がりは、外はパリパリ、内はとてもジュウシーで肉汁が口一杯に
広がります。

1個200円で地元では人気らしく、飛ぶ様に売れていました。
只、残念なのは木古内の商店会でやっている月、2回日曜日に開かれるテント市
とお祭り等の時にしか販売されないと言う事です。

是非また、並んででも食べたい逸品です!

敷 地

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
私達の仕事は建築する場所である【敷地】の調査をする事から始まり、この
【敷地】をいかに読み解くかによってプランニングの方向性が決まって行きます。

【敷地】を読むと言う作業は、敷地の高低差、陽の差し方、風の吹方、景色
(眺望)、隣地との関係などその土地の置かれている環境を知ると言う事です。

本来、地名には名付けられた訳(大谷地と言う地名は大きな湿地帯で有ること、
二股川と言うのは二つの川が合流する所である事等)があります。

北海道の場合は殆どがアイヌ語が語源になっているのですが、その意味は叙情的
で、いかにアイヌの人々が畏敬の念を持って自然と接していたかを伺い知る事が
出来ます。

新興住宅地の場合は、この本来の地名を無視して名付られた地名が多く注意が
必要です。
また、敷地や廻りに生えている草木の種類等からも水はけの善し悪し等、土壌の
状態を知る事が出来ます。

刑事の世界では、捜査に行き詰ったら現場100回と言うそうですが私達、設計屋も
プランニングに煮詰まったら現場【敷地】100回なのです。

答えはいつも、現場【敷地】にあるように思います。

リターン トゥー フォーエヴァー

2006-09-26 | JAZZ・コンサート
久々の休日、思い立ってCDの整理を始めた時に目に留った思出の
アルバムです。

ジャズピアニスト、チックコリアの演奏で1972年9月にポリドールレコード
から、ECMレーベルで発売されたものでかの名プロデューサー、
マンフレートアイヒャーの手によるものです。
もちろん当時はアナログレコードです。
(CDのジャケットは小さくてつまらないです)

解説も敬愛する、今は亡きJAZZ評論家の油井正一さんによる名解説でNHK-FM
で始めて聴いたその、エレクトリックなその演奏は背筋がゾクッと
したのを覚えています。

このアルバムに出逢った事がきっかけで本格的にJAZZの世界に興味を持つ事に
なり、少しでも良い音で聴きたいと思う様になり、オーディオの世界にも足を
踏み入れる事にもなるのでした。

お陰で今はこのオーディオの趣味は仕事で大変役立っています。


あれから34年、今聴いても古さなど微塵も感じさせない演奏とジャケットデザイン
の大変素晴らしいアルバムです。

と言う訳でその日の作業はそこでストップ!
その後はビール片手にCDコンサートになってしまった事は言うまでもありません。

美しいか.た.ち-1

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
北海道はアルテピアッツァ美唄の廃校を再利用した、屋内展示場に設置されて
いる、屋外階段です。

避難用に設置されたものだと思いますが、螺旋の形が非常に美しい階段で昔
から其処にあった様な感じです。

建物本体からの距離感といい、コンクリートの階段部分の角度と言い中々な
造形で、さり気ない設計者の優れた技量を感じます。

階段の段数の割り方や角度の処理、ディテールなどついつい、分析をして
しまいます。
もっと、素直に物を見ようと思うのですが....中々そうは行きません。

このような、さり気ない仕事の内にこそ、本当の美しさがあるのかもしれません。
本当に、美しい階段でした。

暗黙のルール

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
私に事務所では、永い付き合いの建築業者さんが何社かありますが、その業者さん
との間での暗黙のルールがあります。

それは、現場内でお金(工事に関する金額)の話しをしないと言う事なのですが、
そのルールが最近は少し、崩れつつあります。

原因としては、受注競争が激しくなりギリギリの予算で受注をしていて余裕が無い
と言う事が一つと、職人さんの世代交代が始まっていると言うことのようですが
ちょっと、気になっています。

見積りについては、お互いに納得した上での工事のはずで、ましてや、仕事も
終わらない内にお金の話しでは無いだろうと言う事です。

不思議なもので、暗黙のルールを守れない人達の仕事でまともな仕上がりを見た
事がありません。
余りにも目に余る職人さんには、お引き取り願う事を過去には何度かありました。

それはチームワークが崩れ、現場に緊張感が無くなるからです。
緊張感の無い現場は即、事故に繋がり、ましてや良い仕上がりなど到底望む事は
できまん。

偽装問題が騒がれて業界全体のモラルが試されている今こそ、色々な意味で現場
の【質】を上げる良い機会かもしれません。

和気あいあいと、な~な~とは違うのです。

伝説のコンサート

2006-09-26 | JAZZ・コンサート
この間、テレビで岡本太郎の巨大壁画の除幕式の模様が中継されていて、
ジャズピアニストの山下洋輔が演奏していました。

大分、昔の話しです。
あれは、高校の2年の秋頃だったと思います。
台風で凄い嵐の夜でした。

場所は函館の【バップ】と言う全国的に有名なジャズ喫茶で、メンバーは
山下洋輔(ピアノ)、森山威男(ドラム)、坂田明(アルトサックス)と言う
最強トリオで、私は坂田明の真ん前で渡辺力の紐椅子に座って、金縛りにあった
様に聴いていました。

その当時の山下洋輔はピアノに火を着けて演奏したり、拳や肘打ちを繰り出し
ての演奏スタイルであちらこちらの演奏会場のピアノを壊していました。
挙げ句には、コンサート会場を貸さない所まで出ていました。
案のじょう、【バップ】のアップライトピアノもピンピン音を立てて弦が
切れていました。

この夜のコンサートの事は彼も著書の中で書いていますが、ファンの中では
伝説になっています。
本当に天候も内容も凄いコンサートで店を出てから傘もさす気になれず、
ずぶ濡れになって下宿に帰ったのを覚えています。

最近はCDショップに行っても、売り場はどんどん縮少され、好きなアーチスト
はどんどん亡くなってしまい、JAZZを愛する者としては少々寂しい思い
をしています。

いつかまた、最高のコンサートに出会える事を期待しつつ、
今夜はBill Evansで行きましょう。

禅燈寺 仁王門

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
先日、道南の木古内町の禅燈寺と言うお寺の仁王門を見て来ました。
1918年に建立された建物で密迹金剛(みっしゃくこんごう)と那羅延堅固王
(ならえんけんごおう)と言う二体の仁王像が安置されています。

けして豪華が建物ではありませんが、柱や梁、屋根垂木や蛙又など、構成部材の
サイズがとてもバランスが取れていてプロポーションの美しい建築です。

中でも、欄間等の彫り物は輪郭に斬れがあり、とても躍動感があって素晴らしい
透かし彫りで、職人さんの技量の確かさを感じます。

近頃は現場でもプロとしての会話が中々、通じなくなって来ています。
各、職人さん達の技術レベルの低下がとても気に掛ります。
人が育っていないのが気になります。

このような先人の素晴らしい【技】に触れると、いつも【技】の伝承と言う事を
考えさせられてしまいます。


現場主義の私としては、とても気掛かりな問題なのです。

セルフビルド

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
先日、オーナーさんが2年の歳月を掛けて、仕事の合間にコツコツと完成させた
コーヒーショップがオープンしました。

計画当初から自分で造りたいと言う要望で、それを踏まえてプランニングから、
工事計画、予算監理までをしてきました。

敷地の整地に始まり、水の確保の為の井戸掘り、重機を操作しての根掘りなど、工事
に当っての基本的な事柄はレクチャーしましたが、仕事の合間の御夫婦での作業は
とても大変だったと思います。

この2年を通じて、改めて思うのはアメリカのシェーカー教徒の人々がそうだった様に
【自分達の棲家は自分達で造る】これが、建築の原点だと言う事です。
そう言う意味でツーバイフォー工法の合理性を改めて感じてしまいました。

もし、少しでも自分でやってみたいと思っている方には是非、勇気を出して部分的
にでも、セルフビルドにチャレンジして頂きたいと思います。


建物は常に変化しています。
自分で造るとそれが見えてきます。

木材は生きています。


風【KAZE】

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
函館市内の病院の庭に彫刻家、安田侃の作品が展示されています。
風【KAZE】と言うタイトルのブロンズ作品です。
同じタイトルで大理石の物が東京都の庭園美術館にありますがどちらも素晴
らしい作品です。(個人的には陰影が美しい大理石の方が好きです。)

安田侃の作品にはいつも、【宇宙】を感じてしまいます。
厳しさ、優しさ、張り詰めた緊張感、など何か不思議な感覚です。
始めて、イサムノグチの作品を観た時もそうでした。

北海道、美唄市に【アルテピアッツァ美唄】と言う安田侃の作品を設置した
公園があります。
大理石の白と芝の緑がとても美しい公園で、廃校(旧栄小学校)を利用した展示
スペースもすばらしい空間に再生されています。
安田侃の想いが公園の隅々に行き届き、気持の良い緊張感で溢れています。

第15回村野藤吾賞を受賞したその公園は、私にとって建築を強く意識させて
くれる空間です。

本当に優れた彫刻は、それ一つだけでその空間を一杯に満たしてしまいます。

図 面

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
最近はめっきり、手描きの図面を見なくなってしまいました。
そう言う私もCADを使って図面を描き始めて7年になりました。

図面の中には、色々な情報と設計者の【想い】が入っています。
まだ学生の頃、宮脇 檀さんの図面を見た事がありますが、この【想い】が図面情報や、
緊張感と共に全面に現れていて、凄い図面でした。

手描きの図面には、線の勢いや強弱、濃淡、何度も修正した跡など描いた人の
【想い】がストレートに表れますが、CADの図面ではそうは行きません。
この【想い】の部分が中々、見えてこないのです。

CADの場合は座標と数値で図面を描いて行くのですが、そこには手描きの様な
【こんな感じ】などと言う曖昧さはないのです。

この、曖昧な所がある意味、表現の個性に繋がるのですが.....
これからは、CADにも必要な部分かもしれません。

図面の中の見えいる情報よりもむしろ、見えていない部分の方が大切なのかも知れません。

そう感じるのは、私だけでしょうか?

三十三間堂への道

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
先日、知人からとても素晴らしい画集をいただきました。
函館出身の東京でグラフィックデザインの仕事をされている、谷地田 孝さんが京都東山の
三十三間堂の仏像をモチーフにして、墨彩による仏画の個展をされた時のものです。

谷地田さんの想いがストレートに表現されていてとても、感動しました。
是非、一度原画を見てみたいと思っています。

作品の一部は三十三間堂の方に奉納されるそうです。

カタログ

2006-09-26 | 建築・デザイン・アート
毎年、この時期の楽しみがあります。
それは、各メーカーさんから新年度版のカタログが送られてくるからです。

面白いもので、そのカタログの中からその企業の理念や方向性、内部事情など、様々な物が見えてきます。
アイデンティティが確立されている企業はカタログの作り方も、数年に一度の大きなリニューアルがあるのを除けば、毎年、大きな変更はない様に見受けられます。

仕事柄、出来の良いカタログにはつい目が行ってしまい、自然に手に取る回数も増えます。
使ってみようと言う気にもなります。
特に好きなメーカーさんのカタログはどのように進化しているか、本当に楽しみです。

本来、商品が売れなければ役に立たないカタログですが、企業の【想い】で作るのがカタログ
の様な気もします。

     たかがカタログ、 されどカタログ!